職務経歴書で書くべきスキルとは?まとめ方のポイントを解説

職務経歴書では、採用されたときに活かせるスキルや知識をまとめておくのが基本です。職務経歴や職務内容だけでは伝わりきらない、自身の強みをアピールできる場として、しっかりと有効活用したいところです。
今回は、職務経歴書に記載するスキルについて、細かな分類方法や状況に応じた書き方のコツをご紹介します。
職務経歴書に書くべきスキルのとらえ方

職務経歴書では、職務経歴をまとめた後に、活かせる知識やスキルを記載するのが一般的です。これまでのキャリアや経験を通じて、どのようなスキルを取得しているのか、どのように活用できるのかを示す重要な項目といえます。
ここではまず、「スキル」とは具体的にどのようなものを指すのか、4つの視点に分けて見ていきましょう。
特定の業務・職種に求められる「テクニカルスキル」
「テクニカルスキル」とは、職種・業種ごとに求められる専門的な知識・スキルのことです。業務上で必要になる資格や、ツール・ソフトウェアの使用スキルを指し、応募先の業種にマッチしたものを持っていれば高い評価につながります。
また、特定の職種での業界知識、あるいは就業経験そのものもテクニカルスキルに含まれます。たとえば、金融業界での相談業務経験や、介護士・看護師としての就業経験も一種のテクニカルスキルです。
どのような場面でも役立つ「ポータブルスキル」
「ポータブルスキル」は、「携帯できるスキル」という意味であり、業種・職種を問わずに生かせるスキルのことです。たとえば、スケジュール管理やタスク管理、企画力は、どのような仕事でも必要な能力といえます。
また、基本的なPCスキルや語学力も、高く評価されやすいポータブルスキルの1つです。テクニカルスキルのアピールが弱い、あるいは自身が持つテクニカルスキルと応募先の条件があまりマッチしないときには、ポータブルスキルでカバーするのがよいでしょう。
特に、PCスキルはほとんどの仕事で求められるため、活かせるスキルとして記載しておくのがおすすめです。
管理職の経験があるなら「マネジメントスキル」
「マネジメントスキル」とは、文字通りマネジメントに関する能力のことです。管理職としての採用ではもちろん、他の採用でも重視されやすいスキルであり、保有していれば高い評価につながりやすいといえます。
具体的には、プロジェクトリーダーとしての経験や、チームでの人材育成の経験がマネジメントスキルに該当します。また、チームを目標達成に導く戦略の立案経験もマネジメントスキルの一種です。
マネジメントスキルについて書くときには、率いたチームの規模や課題解決のためのアプローチ、具体的な成果もセットで記載するのがポイントです。ただし、マネジメントスキルがもっとも打ち出したいスキルである場合は、自己PR欄に詳しくまとめるように構成しても問題はありません。
アピールする知識やスキルがないときは「ヒューマンスキル」
「ヒューマンスキル」とは、「協調性」や「責任感」「柔軟性」のように、人柄に紐づいた特性のことです。第二新卒者や若手を対象としたポテンシャル採用では、比較的に重視される傾向が強いスキルでもあります。
職務経験が少なく、アピールできる知識・スキルがないときには、ヒューマンスキルを記載するとよいでしょう。ヒューマンスキルについては、自分では気づかない部分もあるため、身近な友人や家族に意見を求めてみるのも1つの方法です。
ただし、中途採用においては、やはり「ヒューマンスキルをどのように使って仕事をしてきたか」という、より具体的な記述が求められます。活かせそうなテクニカルスキルやマネジメントスキルがない場合でも、じっくりと自身のキャリアを振り返りながら、応募先の仕事で活かせる強みがないかどうかを粘り強く探っていくことが大切です。
スキルを上手にアピールするためのポイント

職務経歴書にスキルを記載するときには、採用担当者の目を意識して、好感を抱かれやすいまとめ方を心がける必要があります。ここでは、スキルを上手にアピールするために、おさえておくべきポイントをご紹介します。
応募先の仕事に合わせてスキルを書く
職務経歴書においては、単にスキルや知識だけをアピールするだけでは不十分です。採用担当者に興味を持ってもらうためには、応募先の仕事でどのように活かされるのかを意識しなければなりません。
たとえば、事務職であればPCスキル、経理であれば簿記の資格や経理の経験、語学が必要な仕事なら語学のスキルを優先的にアピールすることが大切です。単に持っている資格やスキルを羅列するだけでは、本当に知ってもらいたい強みが埋もれてしまう可能性もあるので、必要に応じて絞り込みを行いましょう。
また、どのようなスキルが応募先で活かされるのかは、しっかりと職種や業務内容を理解しなければ判断できません。事前に企業研究を行い、求められている人材像をできるだけ正確につかみとることが重要です。
企業のリサーチを丁寧に行えば、面接対策にもつながるでしょう。
具体的な数字を盛り込む
スキルや知識をアピールするときには、客観性がカギとなります。業務に活かせる資格や免許を持っていれば、必要なスキル・知識を持っている証明となるため、客観性は十分にあるといえるでしょう。
一方、資格を証明できないときは、単に「営業に自信がある」と伝えるだけではいま一つ魅力が伝わりません。経験に紐づいたスキルを示すときには、数字や実績に基づき、情報を具体化する必要があります。
具体的には、「前職では営業部250人中、売上2位を獲得しました」のように、数字で強みをアピールするのがコツです。営業のように数字が表れやすい分野ではなくても、「〇ヶ月連続で一切のミスなく納品しました」「○○のアイデアを実行して歩留まりを2%改善しました」といったように、書き方を工夫するとよいでしょう。
箇条書きや表を活用する
職務経歴書は決められた書き方があるわけではありません。しかし、スキルについて記載するときには、できるだけ箇条書きや表を活用するのがおすすめです。
複数のスキルや強み文章だけで伝えようとすると、どうしても読みづらさを感じさせてしまうため、アピールがうまく届きません。表を用いてスッキリとまとめ、テキストも箇条書きのように短く絞り込むほうが、情報を整理しやすいはずです。
ただし、見た目がスッキリするからといって、あまり多くのことを書き過ぎると、アピールポイントが曖昧になってしまう恐れがあります。多くのスキルや資格を持っている方でも、記載項目は3~5個程度に絞って、特にアピールしたいものを強調するとよいでしょう。
このときの判断基準は、前述のように「応募先の仕事内容や求める人材像に合っているか」という点を意識する必要があります。
【例文】職務経歴書に書くスキル別での文章例

ここからは、具体例を通して、職務経歴書にスキルを記載するときのポイントを見ていきましょう。
テクニカルスキルの例文
テクニカルスキルについて記載するときは、基本的に即戦力としての活躍が期待されるため、経験年数や実績も含めてまとめることが重要です。
記入例(エンジニアの場合)
【使用言語・ツール】
・OS:Windows 、Linux(各6年)
・言語:PHP/Java/Javascript
【経験業務】
・コーディング
・設計に沿ったプログラミング
・動作テスト、総合テスト
・要件定義、基本設計、詳細設計
応募先の企業も同業種であるときは、ある程度の専門用語を用いても問題ありません。また、スペースに余裕があれば、実績(「登録利用者数○万人へ成長」や「顧客成約数月間○○件達成」)にも触れておくとよいでしょう。
続いて、専門職のスキルのまとめ方について、記入例をご紹介します。
記入例(看護師の場合)
・外科系病棟、内科系病棟、精神科病棟での看護業務経験
・患者様の状態を的確に見抜き、適切なケアに結びつけるアセスメントスキル
・チームメンバーや他業種の人材と信頼関係を築くチームワーク、コミュニケーション能力
・病棟リーダーとしての後輩育成経験(約15名の人材管理、指導・育成)
・基本的なPCスキル(Word・Excel)
看護師の場合は、現場における細かなスキルや経験も武器になります。自身の経験に基づき、得られたスキルをできるだけ抽象化してみると、箇条書きでまとめやすくなるでしょう。
ポータブルスキルの例文
ポータブルスキルについて記載するときは、応募先との相性を慎重に判断して記入する必要があります。たとえ語学を得意としていても、応募先に求められていないときは、その他のスキルを優先的に記載するほうが効果的です。
記入例
・PCスキル:Word・Excelの基本的な操作、Photoshopを使った写真編集・加工)
・プレゼンテーションスキル:PowerPointの操作、クライアントへのプレゼン経験)
・語学力:TOEIC800点獲得(○年○月)
その他に、論理的思考力やクリティカルシンキング、コスト意識といったように、より細分化して記載することも可能です。ポータブルスキルについて触れるときには、「論理的思考:異なる利害関係にある相手に対して、説得力を持たせた議論を展開し、良好な協力関係を築いてきました」といった形で、簡単なエピソードとともに紹介するとよいでしょう。
マネジメントスキルの例文
マネジメントスキルをアピールするときには、具体的な経験とともにまとめることが大切です。主なポイントとしては、「マネジメントの範囲や規模を示す」「経験領域を客観的に示す」という点が挙げられます。
マネジメントに関する役職は、企業独自の呼称が用いられていることも多いため、どのような役割を担っていたのかを分かりやすく記載しましょう。
記入例
・マネジメントスキル:〇人の部署の部長職として、人材管理・育成に〇年間従事(就任後の人材定着率〇%改善、利益率〇%向上)
・ファシリテーションスキル:〇人規模の会議のファシリテーターを〇年間担当
ヒューマンスキルの例文
続いて、ヒューマンスキルに関する記入例をご紹介します。
記入例
・コミュニケーションスキル:年齢や性別、価値観に関わらず、どなたでも初対面から友好関係を築くことができます
・リーダーシップ:大学野球部のキャプテンとして〇名の部員をまとめ、創部初となる□リーグ〇位の結果を残しました
・目標管理スキル:部活動ではゴールから逆算して自らスケジュール・練習メニューを組み立て、引退までにすべての目標を達成しました。
ヒューマンスキルは、単にスキル名を記載するのみではアピール力に欠けるため、具体的なエピソードに触れるのが基本です。
【職種別】職務経歴書のスキルの書き方・例文

スキルをアピールするときには、応募する職種に応じた優先順位を意識することも大切です。「営業職」「接客業」「製造業」「事務職」の4つのパターンに分けて、スキルの記載例を見ていきましょう。
営業職のスキルの書き方・例文
一口に営業職といっても、どのようなスタイルで仕事をするかによって、重要なスキルも変わってきます。たとえば、IT分野における法人営業の場合は、以下のようなスキルが強みとしてアピールしやすいといえるでしょう。
記入例
企画提案力 | ・〇年間のエンタープライズ向けソリューション提案営業の経験 ・ヒアリングからニーズの発見、ソリューション提案までの流れを担当 |
商材知識 | ・クラウド、アプリケーション、ミドルウェア、AIの幅広い業界知識 ・専門用語を平たい言葉で説明できるプレゼン能力 |
マネジメントスキル | ・〇名体制のチーム営業におけるマネージャー経験 ・顧客データ管理、人材管理、メンバー間の連携構築業務に従事 |
法人営業であれば、対法人でのスキルや経験を優先的に紹介するのがコツです。また、扱ってきた商材に関する知識も、応募先の仕事内容によってはアピール材料となるでしょう。
接客業のスキルの書き方・例文
接客業では、自身の経験とスキルがどのように紐づいているかを端的に示すのがコツです。また、リーダーや店舗責任者の経験がある方は、マネジメントスキルに着目して記載するのもよいでしょう。
記入例
接客スキル | ・店舗における〇年の販売業務経験 ・顧客に合わせたコーディネート提案と隠れたニーズの気づきの提供 ・〇年における新規顧客のリピート率〇%達成(全国〇店舗中1位) |
人材育成スキル | ・店舗リーダーとして〇名の人材の育成に従事 ・就任後〇年間で人材定着率〇%から〇%へ改善 |
PCスキル | ・Word、Excelの基本的な操作 ・illustrator、Photoshopによるポップ制作、宣材写真編集 |
具体的な職務経験については、職務経歴・職務内容の欄で詳しく記載することとなります。スキルの記入欄はその後の項目であるため、無理にすべての情報を載せようとする必要はありません。
職務経歴・職務内容の欄を確認し、そのなかからどの経験をピックアップすべきかを丁寧に見極めましょう。
製造業のスキルの書き方・例文
製造業では、自身の職務経歴で得られたスキルを中心にまとめましょう。業務に必要な資格については、別途で免許・資格欄を設けて、そちらに記載するのも1つの方法です。
記入例
CAD使用スキル | 2D-CAD(Fusion360)、3D-CAD(SOLIDWORKS)ソフトの使用(〇年間) |
設計スキル | 車載系ランプの構造設計、機構設計(樹脂製筐体、センサ、LED) |
営業・折衝スキル | ・顧客へのヒアリング、仕様の折衝業務に〇年間従事 ・協力会社への発注・調整業務に〇年間従事 |
経験量が多いほど高評価につながるスキルについては、経験年数も併記しておくのがおすすめです。
事務職のスキルの書き方・例文
事務職の仕事は、業務に必要な資格を優先的にピックアップして紹介するという基本を守ることが大切です。また、業務で必須となるPCスキルについては、特に詳しく記載するとよいでしょう。
記入例
PCスキル | ・Word(一般的な表・資料作成が可能) ・Excel(IF関数、VLOOKUP関数、ピボットテーブルの使用が可能) ・PowerPoint(アニメーションの活用、図版作成が可能) |
経理業務スキル | ・経理業務全般の経験(〇年) ・月次決算、年次決算、税務申告、有価証券報告書作成 |
日商簿記検定 2級 | 20○○年〇月取得 |
ビジネス会計検定2級 | 20○○年〇月取得 |
一口に事務職といっても、一般事務から経理、法務と幅広い分野があるため、応募先の企業と自身の経験を十分に照らし合わせる必要があります。書き方次第で与える印象が大きく変わってしまうケースもあるので、企業や採用担当者の目線を意識して情報を整理しましょう。
スキルは具体的な活用方法をイメージしながらまとめよう

職務経歴書にスキルを記載するときには、採用されたときにどのような形で活用できるのかを踏まえて示す必要があります。特に中途採用の場合は、今までのキャリアと絡めながら、実践的なスキルを持っていることを知ってもらうことが重要です。
自身の強みをきちんとアピールするためにも、どのような書き方がよいかを丁寧に検討しましょう。履歴書作成「ワンポチ」は、PC・スマホから無料で履歴書・職務経歴書が作成できるサービスです。
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