職務経歴書に退職理由は書くべき?書き方のポイントと注意点を解説

職務経歴書を作成するときには、自身の職務経験や職務内容について詳しく記載する必要があります。今までのキャリアを詳細に書く必要があるため、過去に退職した経験がある方は、退職した事実も記載することとなります。
今回は、職務経歴書に「退職理由」まで書く必要があるのか、また記載する場合はどのような点に注意すべきかについて見ていきましょう。
職務経歴書に退職理由は必要ない

職務経歴書には決められた書式がないため、自由に記載内容を決めることができます。しかし、結論から言うと、職務経歴書に退職理由を書かなくても問題ありません。
ここではまず、退職理由が不要な理由について、3つの点を確認しておきましょう。
ネガティブな印象を与える恐れがある
職務経歴書は、自身の職歴を通して強みや魅力をアピールするための書類です。過度に誇張をする必要はありませんが、採用されたときにどのような活躍ができるのかを示し、採用担当者によい印象を持ってもらうことは大切です。
職務経歴書には退職理由を記入しなければならないという決まりはないため、あえて記載すると、「すぐに離職してしまうのではないか」というネガティブな印象を与える可能性があります。また、本当にアピールしたい内容がぼやけてしまうリスクもあるため、基本的には触れずにおくのがよいでしょう。
職務経歴書のスペースを圧迫してしまう
職務経歴書は「A4用紙1~2枚程度」にまとめるのが望ましいとされています。長すぎれば、読み手である採用担当者に負担をかけてしまうため、過不足なくスッキリとまとめなければなりません。
情報を記載できるスペースが限られているため、あえて退職理由に費やすのはもったいないといえるでしょう。職務経歴書ではスキルや経験のアピールに専念することが重要であり、できるだけ前向きな内容でまとめるのがポイントとなります。
面接時に伝えたほうが誤解を招きにくい
職務経歴書で退職理由に触れないほうがよいとされるもう1つの理由は、書類では直接的なコミュニケーションを図れないという点にあります。スペースが限られた職務経歴書では、事実を記載したとしてもマイナスな印象を与える可能性があります。
また、採用担当者が気になったとしても、直接質問をすることはできません。顔を見ない状態でネガティブなイメージを持たれれば、その先の選考プロセスに進めなくなってしまう恐れもあるでしょう。
退職の事実については、職務経歴をまとめる過程で自然と記載することになります。退職理由について採用担当者が気になるようであれば、面接でも問われることもあるでしょう。
直接的なコミュニケーションを図れる面接のほうが、誤解を与えずに退職理由を伝えられるので、書類の段階ではあえて触れなくても問題はありません。
職務経歴書に退職理由を書いた方がよいケース

退職理由をあえて記載する必要はありませんが、必要に応じて書いたほうがよいケースもあります。ここでは、どのような場面で退職理由を明記したほうがよいのか、5つのパターンをご紹介します。
会社都合による退職の場合
会社都合による退職は、職務経歴の欄に「会社都合により退職」と記載します。ただし、一口に会社都合といっても、解雇だけでなく倒産や早期希望退職といったさまざまなパターンがあります。
そのため、理由として詳細を記載したほうが、誤解を与える可能性は低くなるでしょう。ただし、倒産や人員整理の場合は、後ろ向きにならないよう、ポジティブな書き方を心がけることが大切です。
また、早期希望退職のときは、会社都合といっても判断には自分の意思が存在します。どのような経緯でキャリアチェンジを判断したのか、その理由を簡潔に記載し、次のビジョンと絡めて説明するとよいでしょう。
前職を短期間で退職した場合
前職を短期間で退職している場合は、入社後に「早期離職してしまうのではないか」と懸念されてしまう恐れがあります。そのため、面接で問われる前に、職務経歴書でも理由について触れておくほうが無難といえるでしょう。
たとえば、結婚や配偶者の転勤のような家庭の事情があるときは、率直に記載するほうが印象はよくなります。家庭環境に変化があれば、居住地を移さなければならないため、退職もやむを得ないものと理解してもらえます。
また、病気療養で退職してしまった方も、やむを得ない事情で仕事を離れたことを知ってもらうために、理由を記載したほうがよいでしょう。不安を与えさせないためにも、「現在すでに完治している」あるいは「通院と両立できるようになった」という旨を記載するのがおすすめです。
一時的かつやむを得ない事情で退職したことがハッキリと伝わるため、ネガティブな印象を与えるリスクが軽減されます。
離職期間が長い場合
離職していた期間が長い場合は、職務経歴に不自然なブランクが生まれ、ネガティブな印象を与える可能性があります。出産・育児、資格取得といった明確な理由があれば、記載しておくほうが前向きな印象を与えやすいです。
特に、留学や資格取得で休みをとっていた方は、面接で問われたときに備え、その間に得られた経験を話せるように準備しておきましょう。離職期間で得られた経験が、新しい職場でどのように活かされていくのかを整理できれば、面接でも堂々と話せるはずです。
転職回数が多い場合
転職回数が多いと、職務経歴に「一身上の都合により退職」という表現が連続してしまうので、マイナスイメージにつながる可能性があります。単に「仕事が続かないだけではないか」と思われるのを防ぐためにも、転職を続けた理由について記載しておくほうがよいでしょう。
キャリアアップのための転職であれば、自己PR欄で、「前向きな成長を目指して活躍の場を広げてきた」旨を記載することが大切です。一方、キャリアに軸がないときでも、多様な経験を踏んでいることや視点の広さは、前向きなアピール材料となります。
転職を通じて柔軟性や多様な視点が得られたことと、得られた経験をどのように活かせるかを記載すれば、プラスの印象を与えられる可能性もあるでしょう。
転職経験がアピールにつながる場合
業界や業種によっては、転職による多様な経験がアピール材料になることもあります。たとえば、営業職の方であれば、いくつかの異なる業界での営業経験が強みになるケースも多いです。
業界ごとのニーズの違いや、業界や商材への理解を深めるためにした努力をピックアップし、応募先の企業でどのように発揮できるのかを記載するのがコツだといえます。幅広い経験が武器となるように、前向きな表現方法を心がけましょう。
退職理由を記載するときの注意点

今回ご紹介したように、職務経歴書では退職理由について詳しく触れる必要はありません。状況に応じて、書いたほうがよいと判断したときには、記載方法に注意してまとめましょう。
簡潔にまとめる
繰り返しになりますが、前提として職務経歴書は業務に活かせるスキルや経験をアピールするためのものです。スキルや経験のアピールに重きを置くことを優先に考え、退職に関する内容は、できるだけシンプルにまとめましょう。
ポジティブな表現を心がける
退職に至った理由については、ネガティブな表現を使わないのが基本です。たとえば、「職場でのパワーハラスメントによって退職に追い込まれた」「過剰なノルマでストレスを感じてしまった」といった表現は、事実であってもマイナスイメージにつながる恐れがあるので避けましょう。
とは言え、嘘の記述を行えば、面接時で問われたときに矛盾が生じてしまうリスクもあります。そこで、以下のようにポジティブな言い換えを心がけることが大切です。
言い換え例
・人間関係の悩み→周囲との連携を大事にしたい
・パワーハラスメントを受けた→思う存分に能力を発揮できる環境を目指したい
・長時間勤務がきつい→効率的な働き方を目指したい
・ノルマに追われた→長期的な信頼関係を構築したい
ポジティブな言い換えは、志望理由を記載するときや面接時にも重要なポイントとなるので、普段から心がけておくとよいでしょう。
「退社」ではなく「退職」を用いる
細かな表記方法の違いではありますが、会社を辞めたことを表すには、「退社」ではなく「退職」を用いるほうが適当です。退社には、「勤務が終了してから帰宅する」という意味もあります。
また、病院や金融機関を辞めたことを表すときに、退社では違和感を与えてしまいます。より正確な表現を行うためにも、職務経歴書や履歴書では、退社ではなく退職を用いましょう。
志望動機との関連性を意識する
転職をする場合、前職の退職理由は、応募先の志望動機と強く関連しているのが一般的です。そのため、両者に矛盾が生じないように、内容を細かくすり合わせる必要があります。
たとえば、前職の退職理由で「新しい業界でチャレンジしたい」と記載したにもかかわらず、志望理由で前職と同様の仕事内容を希望するような記述を行えば、矛盾を感じさせてしまう可能性があります。退職理由や志望動機は、面接でも問われやすいポイントとなるため、内容にはきちんと一貫性を持たせておきましょう。
退職理由は原則不要!必要に応じて記載すべきかどうかを判断しよう

職務経歴書は自身の経験やスキルを知ってもらうための書類であるため、退職理由については、特に触れる必要がありません。あえて記載すると、ネガティブな印象を与える恐れもあるので注意が必要です。
ただし、退職に至った事情によっては、記載したほうよいケースもあります。退職の経緯を踏まえて、どのように書くべきかを慎重に判断しましょう。
履歴書作成「ワンポチ」は、PC・スマホから手軽に履歴書・職務経歴書が作成できるサービスです。転職者向けのフォーマットやテンプレートも充実しており、カスタマイズしてすぐにご活用いただけます。
また、さまざまな業種に応じた例文も用意されているので、細かな表現やアプローチの参考にしてみるのもおすすめです。履歴書・職務経歴書の作成には、ぜひワンポチをお試しください。