企業の中途採用枠に応募する際、職務経歴書に「書くことないのだけど…」と苦戦する方は少なくありません。とくに社会人経験が浅い方は、アピールポイントに悩みがちです。そこで今回は、職務経歴書が書けない状況別に理由と対策をまとめました。また、基本の書き方から採用者へ好印象を与える書き方、職種別の押さえておきたいポイントもあわせて解説します。
職務経歴書に書くことがないと思う理由は、自分に自信がない・華々しい実績がないなど人によってさまざまです。中でも、経歴に不安が残る場合に職務経歴書を書けないと思うケースが多いでしょう。ここでは考えられる状況と対策例を、ケース別に解説します。まずは根本的な原因を追求してみましょう。
第二新卒で社会人経験が浅く、職歴が短いために能力やスキルが身についていないのでは?と感じる方は少なくありません。たしかに、入社して数年で大きな成果を残したり、専門的な知識を身につけたりするのは難しく、ほかの応募者と比較すると書ける内容は少ないでしょう。ですが、企業側も第二新卒であることは理解しています。
この場合、職務経歴は無理してエピソードを作るのではなく、事実を記載するに留めておきましょう。「仕事への熱意」や「将来のビジョン」、「最低限のスキル」「課題の乗り越え方」を重点的にアピールしていくことがポイントです。以下のように、自主的に考えたことや、行動したことを記載するとよいでしょう。
【例1】新規顧客のアポ取りを平均より〇件増やすことに成功しました。
目標以上の件数をクリアできないことが大きな課題でしたが、なぜできないのか自己分析し、上司に指導を仰いだところ成果に繋がりました。
非正規雇用の期間が長い方は、社会人経験が少ないとみなされるため一見マイナスポイントにも思える要素です。しかし実は、考え方によってはアピールポイントになることもあります。本来、アルバイト歴を職務経歴書に記載する必要はありません。しかし、企業が求める人材と活かせるスキルが一致する場合には、積極的にアピールしましょう。アルバイトから得た経験や成果、業務効率化のための工夫を自己PRとして記載することが可能です。
【例1】商品知識の理解を自主的に深めることで、お客様にスムーズにご案内ができるようになり、商品の売上に貢献できました
【例2】新人の教育指導にあたり、業務フローを分かりやすくマニュアル化しました
正社員経験がない方で、いわゆるニートと呼ばれる方は、なぜ空白期間があるのか上手く説明できないケースが多い傾向にあります。社会人の経歴がまったくないのであれば、「職務経歴はなし」と記載し、「なぜ働いていなかったのか」を説明できるようにしましょう。
応募先企業で活かせるスキルがあれば自己PRに盛り込みます。空白期間で得た知識や、努力してきたことを志望動機に繋げることが大切です。
たとえば資格試験の勉強のために働いていなかった方は、以下のように表せます。
【例1】試験勉強をする中で○○業界について学び、経営学を学びました。そして、経営管理に興味を持ち、中でも会計業務に携わりたいという思いが強くなりました。
社会人経験はあるのに、前職がルーティンワークだったことで数字や具体的な実績が出せない方もいるでしょう。しかし、「時間内に業務を遂行する」「スケジュールを管理する」など、定型業務も仕事において重要なスキルのひとつです。
パソコンスキルが高い方も、アピールポイントといえるでしょう。職務経歴書では、定型業務だからこそ気づけたことを強調します。業務を行ううえで改善したこと、工夫したことを掘り下げてみてください。
【例1】業務フローの見直しを行い、作業を効率化したことで業務にかかる時間を従来より〇%削減できました
【例2】ミスが発生しやすいフローを見つけ、業務マニュアルに対策を追加しました
【例3】マニュアルにないイレギュラーが発生しましたが、他部署と連携して臨機応変に対応しました。
そもそも職務経歴書は、ただ経歴を見るだけのものではありません。なぜ企業から職務経歴書の提出が求められるのか、事前に理解しておきましょう。書くことないと悩む前に基本を押さえておくことで、ご自身のアピールポイントが見えてくるかもしれません。
職務経歴書は、応募先企業に自分がどんな人材なのか、応募先企業と自分にどんな共通点があるのか伝える手段です。今までにどんな会社でどのような仕事を務め、何のスキルを身につけたのか、仕事にまつわる経験や情報を記載します。
履歴書と誤解されやすいのですが、学歴や職歴といったプロフィールを記載するのが履歴書、具体的な業務内容や数値を用いた情報を記載するのが職務経歴書です。
職務経歴書には決まった形式がありません。分かりやすく書くのが基本ですが、内容によってはライバルとの差別化を狙うことも可能です。
職務経歴書に悩む方のほとんどが、自分には特別な経験がなく、アピールできる点がないと思いがちです。しかしアピールできる点がないというのは間違った考え方で、ミスをしてしまった経験や、自分の欠点も自己PRになり得ます。
そもそも企業の採用者も、特殊な能力や素晴らしい成功談を求めているわけではありません。では、採用者は応募者のどこを見て適した人材か判断しているのでしょうか。それぞれ以下で解説します。
ここでの能力は、特別なスキルを指すのではありません。応募先企業が必要とする実務能力があるのか、経験を自社で活かせるかという点がポイントになります。
前職が大企業であっても中小企業であっても、ただ経歴を並べるだけでは採用者に自分の魅力を伝えることはできません。上述したような具体的な取り組みを記載し、採用者に採用後の活躍を想像させるような内容にするのがコツです。
どんなに優秀な人材でも、仕事に対する姿勢が応募先企業の求めているものとかけ離れていれば、採用には至らないでしょう。
前職で華々しい経験がなくても、仕事をどのようにこなしてきたのか、どのように困難に立ち向かったのかといった部分を採用者は見ています。
熱意のこもった志望動機を伝えることももちろん重要ですが、採用者には志望動機の根拠や本気度も見られています。
熱意の裏づけとなるような職務経験の記載があれば、より応募者への信頼度が増し、よい印象を与えられるでしょう。
応募者を採用すれば、同じ組織の一員として働くことになります。当然、採用者から見て一緒に働きたいと思える人材か、円滑に業務を進められる人材かという点がポイントになるでしょう。
職務経歴書では、自分の伝えたいことを分かりやすく記載しているか、また読みやすい書き方をしているかといった点も重要視されています。
ここまでどんな小さな経験もアピールポイントに繋げることが大切だと説明しましたが、まだ職務経歴書に書くことないと思い悩む場合は、以下の方法を試してみてください。切り口を変えて考えることで、思わぬ発見があるかもしれません。
職務経歴書を書くときにまず初めにすべきことは、今まで経験した仕事や資格勉強をすべて洗い出すことです。書き出すことで忘れていた記憶や、上手くいかなかった経験が見つかるかもしれません。また、今までの人生を振り返り、仕事やプライベートが充実していた時期や、生きることに意欲的だった時期を考えてみてください。
洗い出したできごとに、そこまでに至った経緯や自分の考え、実際に行動に移したことを肉づけしましょう。実績になりそうなエピソードはないか?数値で表せるできごとはないか?自分のモチベーションを高める理由や原動力は何か?とひとつずつじっくり考えてみてください。
いくつかエピソードが揃ってきたら、それぞれのできごとに共通する要素を抜き出してみます。たとえば、「ミスをしたことで成功した経験」「周囲と協力して成功した経験」など、エピソードを表すタイトルをつけてみてください。
完成したタイトルが、ご自身のアピールポイントとなる強みです。このステップを踏めば、自分の能力や経験を整理でき、職務経歴書に記載すべき事項を見つけやすくなります。さらに、内容に一貫性が生まれ、より採用者に伝わりやすくなるといったメリットも得られるでしょう。
自分の長所が分からないという方も少なくありません。このようなときは、まず短所を書き出してみましょう。
短所を長所に変換してみることで、アピールポイントに繋げられる可能性があります。たとえば以下のように言い換えることが可能です。
・ネガティブ→分析力がある、慎重な考え方ができる
・発言力がない→傾聴力がある、協調性がある
・熱しやすく冷めやすい→新しい分野にもチャレンジできる
また、長所も短所も含め、家族や友人、上司、後輩、同僚といた身近な人物に自分の評価を聞いてみるのもおすすめです。
第三者からの評価には、自分では想像もできなかったヒントが隠されているかもしれません。「どんな性格?」といったざっくりとした聞き方ではなく、「頼りたいと思う場面」や「どんな仕事を任せたいか」など具体的に聞くとよいでしょう。
職務経歴書に記載したい内容がまとまったら、あとは記載していくだけです。しかし、職務経歴書を書くときはいくつか注意点も存在します。書き出して失敗しないよう、事前にポイントを押さえておきましょう。
自分のアピールポイントを伝えたいあまり、細かいエピソードや主観的な内容を盛り込んでいないでしょうか?あくまでも職務経歴書は、自分を採用するメリットを簡潔に採用者に伝えるものです。
アピールポイントが余談や必要のない情報で埋もれてしまっては、せっかくのチャンスが台無しです。企業側が興味を持ちそうな内容を意識し、もっとも伝えたいポイントを簡潔に盛り込みましょう。
記載する経歴には、専門用語や難しい言葉は並べないほうが無難です。同じ業界であれば問題ないですが、会社によっては聞き慣れない言葉の可能性もあります。専門用語はほかの言葉で表す、または補足を入れるなど、採用者がスムーズに読める文章を心がけましょう。作成した文章を、第三者視点でチェックすることをおすすめします。
職務経歴書は、第一印象を左右するツールでもあります。職務経歴書を見た採用者から、最低限のビジネスマナーが身についていないと判断されることだけは避けましょう。
主なチェックポイントは、以下にまとめています。職務経歴書の内容だけでなく、提出後のことも考えて細部まで気を配りましょう。
【職務経歴書の第一印象を左右するポイント】
・採用者がメールや封筒を見て職務経歴書と判断できるか
・職務経歴の記入欄は、見出しや改行が適切に使われているか
・記載した文章に、誤字脱字・言葉選びに間違いはないか
・提出する書類は折れたり、汚れたりしていないか
誤字脱字や、言葉の意味を間違って使っているといったミスは、ビジネスではいい印象を与えません。メールまたは郵送で提出する際も、基本的なマナーには注意を払いましょう。
また、採用者は自分の業務と並行して、数多くの職務経歴書をチェックしています。文章のレイアウトやボリューム感、書類の扱い方が丁寧かなど、ひと目で「印象がよい」と思える書類を作成することが大切です。
そもそも「職務経歴書を書くのが初めて」という方は、内容が決まっても書き方でつまずくかもしれません。ここでは基本の書き方と例文を解説していきます。職務経歴書の書き方が分からない方は、当てはめながら記載していきましょう。
職務経歴書に記載する基本項目は以下の通りです。
職務経歴を要約した文章を記載します。内容にもよりますが、100~300文字に収めるのが理想的です。
ものがたりのあらすじをイメージして記載しましょう。なお、このとき自分の思いや主張は盛り込まず、数字で示せる事実のみを記載します。
【記入例】○○株式会社に入社後、現在まで□□・□□・□□(具体的な業務内容)に携わってきました。
20XX年からは一貫して△△の業務を任され、業務効率化のために○○○○(行動や工夫したこと)を実施。X年後には、□□□□(数値で表す)の成績を残せました。
職務経歴書のメインとなる部分です。「どこで」「誰に」「何を」「結果」を具体的に記載しましょう。書き方の形式にもよりますが、会社名、勤務期間、従業員数、雇用形態、業務内容、実績に分けて記載していきます。空欄ができないよう記載できる事項はしっかり埋めてください。
今までの業務に関連する資格や、応募先企業で活かせそうな資格を記載します。パソコンスキルであれば、WordやExcelといった具体的な使用可能なツール名を入れましょう。語学スキルがある場合は、「簡単な会話が可能」「メールでのやりとりが可能」のように、語学レベルが分かるように記載します。
最後に自己PRで自分の強みや人柄をアピールします。長々とした文章にならないよう、箇条書きは3つ前後、文章は4~5行程度に収めましょう。記入する際は、アピールポイントと根拠、応募先企業での活かし方の順に記載すると分かりやすくなります。
職務経歴書にフォーマットはなく、自由に書くことが可能です。ただし、書き方の形式には種類があり、編年体式、逆編年体式、キャリア式から選びましょう。
編年体式は古い経歴から順に記載するもっともベーシックなタイプで、逆編年体式は最新の経歴から記載するタイプ、キャリア式は経歴を職務分野ごとに記載するタイプとなっています。
社会人経験が長い方は逆編年体式、キャリアを積むために転職を繰り返してきた方はキャリア式を選ぶのが一般的です。いずれも、内容は箇条書きまたは文章で記載します。
今回は第二新卒や職歴が浅い方向けに、編年体式の箇条書き・文章の記入例をご紹介しましょう。
【編年体式・箇条書きの記入例】
箇条書きは、一文が短いため採用担当者が読み取りやすく、アピールポイントを目立たせやすい点がメリットです。一方で、短い文章になってしまうため、ストーリーが想像しにくいといったデメリットもあります。伝えたい内容が盛り込みきれないときは、面接の際に口頭で補足する工夫も取り入れましょう。
<見本1>
会社名:○○株式会社 ○○支店配属
在籍期間:20XX年〇月~20XX年〇月
事業内容:住宅・不動産の売買
資本金:○○円 従業員:○○人
業務内容:展示場来場者への接客・反響営業、一般家庭への訪問営業
一般家庭を対象とした注文住宅の商談・契約手続き
実績:
接客件数 平均〇件/月
契約件数 20XX年度 目標○件 実績○件(○〇千万円) 達成率〇%
20XX年度 目標○件 実績○件(○〇千万円) 達成率〇%
※○○支店 受注件数1位
【編年体式・文章の記入例】
文章で書く場合は、ストーリー性が生まれるため結果を得るまでのプロセスや背景を伝えやすくなります。ただし、アピールポイントをつい盛り込みすぎてしまったり、文章が長々としてしまったりと、伝えたい内容を伝えきれない可能性もあるでしょう。文章で記載する際は、アピールポイントを的確に伝えられる文章構成が重要です。
<見本2>
在籍期間:20XX年〇月~20XX年〇月
○○株式会社へ入社後、○○支店へ配属。
一般家庭を対象に、注文住宅の提案・販売を行う。飛び込み営業及び、展示場へ来場されたお客様への接客による反響営業に従事。
月平均〇件の接客を担い、20XX年度には目標〇件に対し〇件(○〇千万円)を達成。20XX年度には目標〇件に対し〇件(○〇千万円)を達成し、達成率〇%と過去最高値を記録。
同年、全国〇店舗数のうち、○○支店が受注件数1位となった。
職務経歴書は、応募先企業の職種ごとに書き方を変えるとより魅力的な内容になります。ここまで一般的なポイントを解説してきましたが、重視する条件は企業や職種によって異なるものです。最後に、職種別の押さえておきたいポイントをご紹介しましょう。
営業職は、取り扱う商材が有形か無形かによって必要なスキルが変わってきます。また、営業スタイルもBtoB、CtoCによって異なるため、誰を対象にどのような手法で業務に当たったか記載しましょう。
営業職は数字がもっともアピールポイントになります。件数や達成率、受賞履歴など、できるだけ数値を盛り込みましょう。
事務職は営業アシスタントから経理まで業務の幅が広い職種です。数字で結果を残しにくい職種ではありますが、逆手に取れば応募先企業との共通点も見つけやすいといえます。
業務の効率化やコストカットの事例などをアピールできると、ほかの応募者との差別化が図れるでしょう。パソコンを使う場合は、スキルのレベルや処理件数、作成できる書類の種類もアピールポイントになります。
接客が業務の中心となる販売・サービス職は、実は営業職とアピールポイントが似ています。扱うものや販売の対象を明記したうえで、売上や受賞歴といった社内評価のほか、顧客からの評価も強みとなるでしょう。
販売・サービス職から未経験の業界へ転職する際は、業種に関係なく活用できる能力を考えてみてください。たとえば、「お客様のニーズに応える力」や「教育・指導に関しての工夫」などです。
IT・通信系技術職は、専門的な知識を要するため、即戦力となる実務経験者は需要が高い傾向にあります。基本的な知識をスクールで学んだだけという方も、自分が使えるスキルを最大限にアピールしましょう。大きなプロジェクトに関わっていた経験や、売上達成、コスト削減といった実績もあるとなお好印象です。
日々最新技術がアップデートされる業界でもあります。スキル向上のために勉強を行った経験があれば、仕事への意欲をアピールポイントにできるでしょう。
職務経歴書は、特別な経験やスキルを記載するものではありません。自分のしてきた経験から、いかに応募先企業とマッチする強みを見つけられるかが最大のポイントです。経歴には数値や具体的な内容を用いて信頼性をもたせること、応募先の職種にあわせた強みを記載することを意識しましょう。職務経歴書に「書くことがない」とお悩みの方は、ぜひこの記事を参考に自分の魅力を再発見してみてください。
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