履歴書への「留学経験」を書く正しい方法と短期留学のアピール方法

海外留学は就活や転職活動における自己PRの要素として非常に魅力的であり、履歴書に書こうとする方も多いでしょう。しかし、「語学留学は学歴になる?」「短期留学はどう記載すればいい?」などの疑問を持つこともあるかと思います。本記事では、履歴書の学歴に書ける留学の種類、自己PR欄や資格欄での留学アピール方法、留学経験の正しい書き方や記入例について解説します。履歴書や面接で留学経験を効果的にアピールするのにお役立てください。


履歴書に書ける留学等の種類

留学には、正規留学や交換留学、語学留学などさまざまな種類があります。せっかく海外に行き多くの学びや体験をするのであれば、種類を理解した上で履歴書に正しく書いてしっかりとアピールしたいところです。ここでは、履歴書に書ける留学等にはどのような種類があるのか解説します。

正規留学

1年以上海外の学校に在学することで履歴書に学歴として記載できる留学を正規留学と呼びます。

正規留学では、日本の大学等に進むのと同じように、海外の大学に進学して学位の取得を目指します。すでに語学力のある人が現地にて専攻する分野を学ぶ形式であり、後述する語学留学とは異なります。

国が違うだけで日本と同じように、現地の学生とともに大学へ通学して現地の言葉で学ぶため、正規留学は学歴として履歴書に記載できます。

ただ、正規留学は高い語学力が求められるうえに、カルチャーショックが影響で退学する方も少なくありません。もし1年未満で退学、帰国してしまった場合、正規留学であったとしても履歴書の学歴欄には記載できなくなりますので注意しましょう。1年未満での帰国であれば、自己PR欄などに記載する形になります。


交換留学

交換留学も、条件が合えば履歴書の学歴欄に記載できる留学の形態です。

交換留学とは、日本の大学等に在籍したままで、海外の姉妹校・提携校に通うものです。現地の学生と一緒に現地の言葉で授業を受けるため、正規留学と同様に高い語学力がなければなりません。

正規留学との違いは、在籍しているのはあくまでも日本の学校であるという点です。授業料は海外の学校ではなく日本の学校に支払い、帰国後日本の学校にて学位の取得を行います。

大学なら4年間通うのではなく、半年から1年程度の限られた期間のみ海外の学校で学びます。退学をしなかったとしても、交換留学期間が半年程度の場合は履歴書の学歴欄に記載しないようにしましょう。

語学留学

語学留学は正規留学や交換留学と違い、履歴書の学歴欄にかける留学ではありません。

語学留学とは、海外にて語学習得のために行う留学のことで、留学先となる国にある語学学校へ通います。語学学校に通うのは現地の学生ではなく、同じように語学習得のために留学してきたさまざまな国の人たちです。

語学学校は大学等の教育機関とは異なり、研修期間という扱いになります。つまり、学位取得が目的ではなく、語学研修が目的となります。

正規留学と比べると期間が短く、人によっては数カ月程度ということも少なくないため、履歴書の学歴欄に書くことは避けましょう。

期間の短い語学留学は履歴書に書かないケースもあります。ただし、語学留学によって語学力が高まり、外国語検定やその他資格を取得できた場合は積極的に記入しましょう。


ワーキングホリデー

ワーキングホリデーも、正規留学と違って履歴書の学歴欄に書ける留学ではありません。

ワーキングホリデーとは、日本と協定を結ぶさまざまな国々へ行き、異文化交流をすることが目的のものです。ワーキングとついているように、滞在資金は短期労働にて稼ぎます。

学位取得を目指す正規留学や語学習得を目指す語学留学と違い、ワーキングホリデーでは体験を通した学びを目的とします。そのため、履歴書の学歴には記載できません。もし履歴書にワーキングホリデーについて記載する場合は、自己PR欄を利用しましょう。


海外ボランティア

海外ボランティアも、履歴書の学歴欄に書けるものではありません。

海外ボランティアとは、自身が持つスキルや知識などを活かして、海外の人々や現地支援をするものです。つまり、正規留学のように学問知識を学ぶためでもなく、ワーキングホリデーのように体験学習でもないというわけです。海外ボランティアとはすでに特定の分野にて知識・スキルを持つ人がそれを現地に提供することが目的となります。また、海外ボランティアは数日程度の短期参加できるものも少なくありません。期間の面からも、学歴として記載できるものではないといえるでしょう。

履歴書に記載する場合は、自己PRを利用しましょう。


履歴書への「留学」経験の正しい書き方

海外留学は人生のうちでそう多く経験できるものではありません。せっかく留学したのであれば、それを履歴書に書いてアピールしたいものです。続いては、留学経験を履歴書に記載する場合の正しい書き方を解説します。

留学期間・国・学校名を正確に書く

履歴書に留学経験を書く場合は、留学期間・国名・学校名を正確に書くことが大切です。採用担当者に情報が正しく伝わるように、正確に書きましょう。

そもそも履歴書は公文書であり、記載する情報はすべて正確であることが求められます。たとえば、アメリカの大学に正規留学したのであれば国名は「アメリカ合衆国」と正式名称で正確に書きましょう。もちろん学校名も同様に正式名称で書かなければいけません。その際、応募先企業が国内であればカタカナ表記、外資系ならアルファベット表記と書き分けると丁寧な印象になりやすいのでおすすめです。


誤字脱字なく和暦・西暦を統一する

履歴書に留学経験を記載する場合は、誤字脱字に注意して、和暦・西暦を統一しましょう。これは、履歴書を書く際の基本中の基本です。

また、算用数字・漢数字、どちらを使ってもよいですが、表記を統一します。ただし、海外の大学名で数字(算用数字)が使われている場合もなくはありません。採用担当者の混乱を避けるために算用数字で統一した方がよい場合もあります。


学歴に記載できるのは正規留学・交換留学のみ

学歴に記載できるのは、学位取得を目的とした1年以上の留学であることを覚えておきましょう。

この条件を満たせるのは、正規留学または交換留学のみです。両者は、他の留学等の経験と違って、学位の取得を目指して現地の学校に通います。そのため、1年以上であれば学歴として記載することができます。

語学留学も語学を学ぶものではありますが、学位取得を目指すものではありません。そのため、1年以上であっても学歴には書けないので注意しましょう。


履歴書への留学経験の書き方をケース別で紹介


留学経験は人によってその形がさまざまです。こちらでは、留学経験のケース別に履歴書への書き方・記入例を紹介します。


正規留学

正規留学は海外の大学等で学ぶ留学ですが、履歴書の書き方としては日本の大学等に進学した場合と違いはほとんどありません。ただし、国名を正式名称にて記載する必要がありますので、その点には注意しましょう。

以下で正規留学の履歴書への記入例を紹介します。

【正規留学】

学歴・職歴

平成◯◯年

3

県立◯◯高等学校卒業

平成◯◯年

8

アメリカ合衆国◯◯大学◯◯学部◯◯学科 入学

平成◯◯年

5

アメリカ合衆国◯◯大学◯◯学部◯◯学科 卒業

入学・卒業年月は国によって異なりますので、間違えないようにお気をつけください。


交換留学

交換留学は、日本の大学に籍をおいた状態で海外の大学にて学ぶ形態の留学です。そのため、正規留学とはやや異なる書き方をします。

以下で交換留学の記入例を紹介します。

【交換留学】

学歴・職歴

平成◯◯年

4

私立◯◯大学◯◯学部◯◯学科 入学

平成◯◯年

4

平成◯◯年3月までアメリカ合衆国◯◯大学に交換留学

平成◯◯年

3

私立◯◯大学◯◯学部◯◯学科 卒業

最終的には日本の大学で学位取得しますので、卒業は日本の大学になる点も注意しましょう。


休学後の留学

大学を休学中に留学するというケースもあるかもしれません。その場合、休学や留学した年月を記載します。

以下に休学後の留学の記入例を紹介します。

【休学後の留学】

学歴・職歴

平成◯◯年

4

私立◯◯大学◯◯学部◯◯学科 入学

平成◯◯年

4

アメリカ合衆国◯◯大学へ留学のため1年間休学

平成◯◯年

3

私立◯◯大学◯◯学部◯◯学科 卒業

休学して留学する場合、留学期間が1年以上でなければ学歴欄には書けません。1年未満であれば、休学した事実のみを記載しましょう。


大学中退後の留学

大学を中退後に正規留学するというケースもあるでしょう。その場合は、中退した事実を記載した上で正規留学の学歴を記載します。中退した事実を記載しないと空白期間ができたり、日本の大学へ入学したのに卒業していないという矛盾が発生したりします。採用担当者を混乱させないため、経歴詐称等のリスクを回避するためにも必ず中退したことを書きましょう。

以下で、中退後の留学の記入例を紹介します。

【大学中退後の留学】

学歴・職歴

平成◯◯年

4

私立◯◯大学◯◯学部◯◯学科 入学

平成◯◯年

5

私立◯◯大学◯◯学部◯◯学科 中途退学

(アメリカ合衆国◯◯大学にて◯◯を専攻するため)

平成◯◯年

8

アメリカ合衆国◯◯大学◯◯学部◯◯学科 入学

平成◯◯年

5

アメリカ合衆国◯◯大学◯◯学部◯◯学科 卒業

記入例のように中退理由を書くようにしましょう。


社会人になってからの留学

留学は学生だけでなく、社会人になってから行う場合もあります。学生時代と異なるのは、一度就職しているという点です。その事実を記載した上で、留学したことを記載しましょう。

以下に社会人になってからの正規留学の記入例を紹介します。

【社会人の留学】

学歴・職歴

平成◯◯年

4

私立◯◯大学◯◯学部◯◯学科 卒業

平成◯◯年

4

◯◯株式会社 入社

平成◯◯年

8

一身上の都合により退社

(アメリカ合衆国◯◯大学で◯◯を専攻するため)

平成◯◯年

8

アメリカ合衆国◯◯大学◯◯学部◯◯学科 入学

語学留学の場合は、退社した事実までを学歴・職歴欄に記載し、留学経験を自己PR欄に記載しましょう。

 

履歴書で短期留学や語学留学をアピールする書き方と記入例・例文

語学留学や短期留学、その他海外での経験は学歴に記載できません。しかし、将来につながるよい経験であれば、資格や自己アピールに記載できます。語学留学などをアピールするための、履歴書の書き方や記入例・例文を紹介します。

語学力は資格欄でアピールできる

語学留学は自己PR欄だけでなく、資格欄でもアピールできます。

語学留学は正規留学と異なり、語学研修等形であるため学歴に書ける留学ではありません。そのため語学留学の経験は一般的に自己PR欄に記載します。

しかし、語学留学を通して英語力が高まったのであれば、資格欄でアピールした方がよりよい印象を採用担当者に与えられる可能性が高いです。たとえば、TOEIC 600点以上、英検なら準1級以上であれば、強いアピールになるのでぜひ記載しましょう。

書き方のポイントと記入例を紹介します。

履歴書の資格欄も学歴と同じように正式名称、正しい年月で記載しなければいけません。他にも、和暦・西暦を統一するなど、基本的なルールを守って記載しましょう。

【TOEIC】

免許・資格

平成◯◯年

TOEIC Listening & Readingスコア ◯◯◯点 取得

スコアそのものに有効期限はありませんが、一般的には履歴書に記載する場合は過去2年以内のものを書きます。

 

【英検】

免許・資格

平成◯◯年

実用英語技能検定試験 ◯級

 

【TOEFL】

免許・資格

平成◯◯年

TOEFL iBTテスト ◯◯点取得

TOEFLはテスト名も記載しましょう。


ワーホリや海外ボランティアは自己PR欄で

ワーキングホリデーや海外ボランティアは正規留学と違い、学問的な学びではなく体験から学びを得るのが特徴です。そのため、履歴書の学歴には書けませんし資格にも書けません。

ですが、せっかくの貴重な海外経験ですからアピールしたいものです。もしワーキングホリデーや海外ボランティアを履歴書に書くのであれば、自己PR欄を活用しましょう。

書き方の手順ですが、まずはワーキングホリデーや海外ボランティアでどのような経験をしてどんな実績があるのか洗い出しましょう。そして、応募企業で求められる能力をイメージして、マッチしそうなものを厳選して記載します。

以下で自己PRへの記入例を紹介します。

【ワーホリや海外ボランティアの自己PR欄記入例】

自己PR

私の強みは行動力があることです。

卓球部だった私は、カンボジアの貧しい子どもたちにスポーツの楽しさを伝えるため、海外ボランティアに参加しました。最初は言葉も通じず苦労しましたが、子どもたちと触れ合う中で意思疎通ができる程度になりました。そして、卓球の技術や楽しさも伝えることができ、ある子は「僕はカンボジアの代表になる」とまで言ってくれました。

この経験を通し、どんな苦労があっても前に踏み出す勇気と行動力があれば、人間は成長できるし人との絆が生まれることを実感しました。

御社でもこの経験を活かし、一歩前に踏み出す勇気と行動力で会社とともに成長していきたいと思っています。


履歴書に留学経験を書くときのポイントと注意点

履歴書に留学経験を記載すれば、ほとんどの場合面接で聞かれます。それを意識して履歴書を作成することが大切です。ここでは、履歴書に留学経験を書く際のポイントと注意点を解説します。

 

得たもの・学び・発見を明確にしておく

どのような種類の留学であっても、その経験で得られた学びや発見は明確にしておくことが大切です。留学経験があることを履歴書に記載した場合、面接で深掘りされることが少なくありません。留学した事実は履歴書でわかりますので、採用担当者は「どんな成果があったのか」を知りたがっています。深堀りされたときにスムーズに応えられるように、留学経験で得られたことを洗い出して明確にしておきましょう。


留学経験が企業とどう結びつくのか考える

自身の留学経験が応募企業でどのように活かせるのか考えることも大切です。

採用担当者は、自社のコンセプトや業務にマッチするような人材を求めています。たとえどんなに素晴らしい留学経験が履歴書に書かれていたとしても、その経験が企業と結びつかなければアピール力は半減してしまいます。

まず、企業研究をしてどのような人材を求めているのかを把握しましょう。そして自分の留学経験を洗い出して、共通点や活かせるポイントがないか整理しましょう。


短期留学等は学歴に書かない

短期留学やワーキングホリデーなどの体験をメインにした留学は学歴に書かないようにしましょう。学歴として履歴書に記載できるのは、1年以上の正規留学または交換留学です。それ以外の留学等については、自己PR欄や免許・資格欄を利用してアピールします。

もし短期留学等を学歴欄に記載してしまうと、採用担当者が誤解してしまうかもしれません。また、学歴詐称などを疑われることもあるでしょう。


留学しても書かないほうがよい場合も

留学経験があったとしても履歴書に書かないほうがよい場合もあります。

1年以上の正規留学や交換留学であれば、明らかな学歴なので書かなくてはいけません。しかし、それ以外の語学留学などの経験は必ずしも書かなければいけないわけではありません。短すぎる、企業と結びつきにくいなどの留学経験であれば、書かないという選択もすべきです。たとえば、語学留学したもののTOEIC等で点数を取れていないならば、イメージダウンにならないためにも書かないほうがよいでしょう。


貴重な留学経験を履歴書で正しくアピールしましょう

今回は、履歴書への留学経験の書き方や短期留学等のアピール方法について解説しました。学歴に記載できる留学は、1年以上の正規留学や交換留学だけです。それ以外の留学等については、自己PR欄や免許・資格欄を通してアピールするようにしましょう。

また、履歴書に記載する場合は、面接のことも考えることが大切です。面接経験を深堀りされた際にスムーズに応えられるように、企業との結びつきを考えながら得られた経験を洗い出しておいてください。本記事を参考に、留学経験を活かせる履歴書を作成していきましょう。

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