就職活動や転職活動において、履歴書の資格欄は重要なポイントの一つです。自身のスキルや経験をアピールする場であり、採用担当者に最初の印象を与える重要な書類です。しかし、「勉強中の資格」を記載するべきかどうか悩む方も多いのではないでしょうか。本記事では、勉強中の資格を履歴書に書くべきかどうかについて、書くべき理由と注意点を詳しく解説します。
取得に向けて勉強中であれば、履歴書に「資格勉強中」と書いても問題ありません。資格の勉強は、向上心や責任感の表れであり、採用担当者に好印象を与えます。勉強中であることを伝えることで、資格取得への強い意志を示すことができるでしょう。さらに、応募する職種に関連する資格であれば、即戦力として期待される可能性が高くなります。
取得予定時期が明確であれば、あわせて記載します。具体的な勉強内容も簡潔に伝えましょう。さらに、資格取得が業務にどのように役立つかをアピールします。
ただし、過剰なアピールは避けることも大切です。また、取得の可能性が低い場合は書かないという選択肢もあります。
勉強中の資格や免許を記載する欄はスペースが限られているため、簡潔にまとめることが重要です。取得予定時期や受験予定日が明確であれば、あわせて記載しましょう。
・日商簿記〇級 〇月取得予定
・秘書検定〇級 〇月受験予定
・宅地建物取引士の資格取得に向けて講座受講中
また、勉強している内容を具体的に伝えることで、熱意や努力をアピールできます。
・簿記検定◯級:過去問を中心に学習中
・秘書検定◯級:実務経験を活かしながら、模擬試験で実践練習中
スペースがあれば、取得を目指す資格が、応募する職種や業務にどのように役立つかを具体的に説明する方法もあります。
・簿記検定◯級:経理担当として、正確な会計処理を行うために取得を目指す
・秘書検定◯級:営業事務として、顧客対応や資料作成に活かせる
ここでは、勉強中の資格を履歴書に書く際に注意したいことを解説します。
資格取得に向けて努力していることはアピールポイントになりますが、嘘の内容は絶対に書かないようにしましょう。
・これから勉強しようと思っているもの
・取得予定時期が明確でないもの
・合格可能性が低いもの
上記のように、まだ結果が出ていない資格を履歴書に記載するのは避けてください。特に、まだ勉強をはじめていない資格や免許を記載するのは、熱意が伝わりにくく、意欲が低い印象を与えてしまう可能性があります。
虚偽の内容がバレた場合、採用取り消しや懲戒処分を受ける可能性があります。罰則がなかったとしても、企業との信頼関係を損なうことにつながります。履歴書は、自分自身をアピールする大切な書類です。正確な情報を記載し、誠実な姿勢で臨みましょう。
履歴書に「資格勉強中」と記載することは可能ですが、短期間での取得見込みがないものは避けてください。その理由には以下が挙げられます。
・採用担当者に誤解を与える可能性がある
・取得時期が不明確だと、熱意や計画性がないと判断される可能性がある
・虚偽の情報と見なされる可能性がある
短期間での取得見込みがない資格でも、取得に向けて努力していることはアピールできます。この場合は、自己PR欄でアピールするのがおすすめです。
自己PR欄では、以下の要素を意識して記載しましょう。
・なぜその資格を目指しているのか
・どのように勉強しているのか
・取得したらどのように活かしたいのか
記入例を載せますので、参考にしてください。
・税理士試験を目指しており、簿記の知識を活かしながら税法の学習を進めています。企業の経営を税務面からサポートしたいと考えています。
履歴書には、応募先の業種に直接関係なくても、持っている資格は積極的に記載しましょう。潜在的な能力や可能性、多様な知識や経験をアピールできるためです。さらに、面接時の話題になることも多く、自己PRにつなげられるでしょう。たとえば、以下のような例が挙げられます。
・営業職に簿記検定2級の資格を持っている
・事務職にITパスポートを持っている
・企画職に英語検定準1級を持っている
これらの資格は、直接的な業務に関係ないと考える人もいるかもしれませんが、以下のような能力や可能性を示すことができます。
・簿記検定2級:数字に強い、論理的思考力がある
・ITパスポート:ITに関する基礎知識がある
・英語検定準1級:英語でのコミュニケーション能力がある
また、資格取得のために努力した経験や新しいことに挑戦する意欲などもアピールできます。
履歴書に資格を記載する際は、まだ取得していない「勉強中の資格」よりも、実際に取得している資格を優先的に記載しましょう。取得した年月日が新しいものから順番に記載することで、最新のスキルや知識をアピールできます。履歴書のスペースが足りない場合は、応募する職種に関連する資格を優先的に記載しましょう。保有している資格を全て記載したあと、残りの行に「勉強中の資格」を記載します。
資格の詳細な内容(級・段位など)は、記載しても良いですが必須ではありません。スペースが足りない場合は、選考職種に関連する資格を優先し、正式名称で記載することを忘れないようにしましょう。
ここでは、履歴書に記載すると有利になる可能性のある代表的な資格をご紹介します。
TOEICは、世界共通の英語試験であり、英語でのコミュニケーション能力が評価されます。グローバル化が進む現代において、グローバル人材を求める企業が増えており、TOEICスコアは重要な選考基準の一つとなっています。特に、グローバル展開している企業や、英語力を重視する企業では、TOEICスコアが重要視される傾向があります。企業のホームページや求人情報を確認し、TOEICスコアを必須としているかどうかを確認しましょう。
業界によって、求められるTOEICスコアの平均値が異なります。自分のスコアが業界平均と比較してどの程度なのかを把握しましょう。一般的には750~800点以上の場合、アピールポイントとなります。
日商簿記検定は、企業経済を理解するうえで必要な知識を証明する資格です。経理系だけでなく、営業や経営サポート、企画などで重宝される資格です。お金や物品の動きを把握するスキルが身につきます。特に、中小企業では、経理担当者が他の業務も兼任することが多いため、簿記の知識は重宝されるでしょう。また、経理担当者として経験を積み、管理職を目指すことができます。さらに、簿記の知識は、経営コンサルタントや会計士などの資格取得にも役立ちます。日商簿記検定は、難易度によって3級から1級まで分かれており、自分の目標に合わせて挑戦することが可能です。
パソコンスキルは、現代社会において必須スキルと言えるでしょう。業種を問わずに重宝されるため、就職・転職活動で有利に働きます。代表的なパソコンスキル系資格は以下のとおりです。
・Microsoft Office Specialist(MOS):マイクロソフト社のオフィス製品(Word、Excel、PowerPointなど)のスキルを証明する資格
・日商PC検定:基本的なパソコン操作スキルを証明する資格
・ITパスポート:ITに関する基礎知識を証明する資格
これらの資格を履歴書や職務経歴書に記載することで、採用担当者にスキルをアピールできます。
FP技能検定は、お金に関する幅広い知識と技能を証明する国家試験です。家計管理、資産運用など、個人のライフプランニングに役立つ知識を習得することができます。FP技能検定は、3級、2級、1級の3つのレベルに分かれており、自分の目標に合わせて挑戦できます。特に金融機関、保険会社、不動産会社など、金融関連の企業で役立つ資格です。コンサルティング業や一般企業でも、FPの知識は評価されます。さらに、高齢化社会や経済環境の変化により、FPの需要は今後も高まると予想されます。将来、独立開業を目指すことも可能です。
国家資格は、国家によって認定される資格であり、社会からの信頼性が高いという特徴があります。取得難易度が高いため、どのような職種を希望する場合でも、履歴書に記載することで自身の能力をアピールできます。資格取得によって、就職・転職活動での競争力を高められるでしょう。
複数の国家資格を取得している場合は、以下を履歴書に記載します。
・最も級の高いもの
・応募先企業で特に評価されるもの
国家資格は、取得に時間と努力が必要ですが、その分価値のある資格です。
ここでは、履歴書に資格を記載する際のポイントをご紹介します。
履歴書に資格を記載する際は、一般的に取得年月日の早いものから順番に記載します。これにより、取得した知識やスキルの鮮度をアピールできます。取得年月日が不明な場合は、合格証明書や合格通知書などの書類を確認しましょう。
もう一つの方法として、応募先企業と関係の深い資格があれば、そちらから記載しても良いでしょう。応募先企業にとって重要な資格をアピールすることができます。どちらの方法を選ぶかは、応募先企業や自身の状況によって判断しましょう。
履歴書に資格を記載する際は、正式名称で記載してください。たとえば、「日商簿記」ではなく、「日商簿記検定」のように正式名称を記載します。民間資格の場合、実施団体も合わせて記載しておくと、採用担当者にも分かりやすいです。たとえば、日商簿記検定(日本商工会議所)のような形になります。資格の正式名称が分からない場合は、公式サイトを見るのがおすすめです。多くの資格には、公式サイトがあり、正式名称をはじめ、試験内容や合格基準などの情報が掲載されています。
また、日商簿記検定のように種類がある資格は、「日商簿記検定2級」などのように、種類もしっかり書きましょう。
履歴書に記載する年号は、和暦または西暦のどちらか一方に統一する必要があります。どちらを選ぶかは自由ですが、学歴や職歴欄に記載したものと統一しましょう。年号が統一されていないと、読みにくいだけでなく、書類作成能力の低さをアピールしてしまう可能性があります。
間違った例
・学歴:平成14年3月 ○○大学 卒業
・職歴:2010年4月 ○○株式会社 入社
このように、年号が統一されていないと、いつ卒業・入社したのか分かりにくく、書き方が雑で、読みづらいという印象を与えてしまいます。きちんと年号を統一し、読みやすい履歴書を心がけましょう。
履歴書の資格欄に記載する「合格」と「取得」は、どちらか一方に統一する必要があります。一般的には、以下のとおりです。
・試験に合格して資格を得た場合は「合格」
・講習や研修を修了して資格を得た場合は「取得」
合格ラインが設定されている資格の場合は、「合格」と記載するのが適切です。また、複数の資格を記載する場合、どちらか一方に統一するのがおすすめです。統一することで、分かりやすく、読みやすい履歴書を作成できます。
履歴書の資格欄に何も記載するものがない場合は、「特になし」と記載しましょう。空欄のままにしてしまうと、記載漏れと勘違いされてしまい、印象が悪くなってしまう可能性があります。「特になし」と記載することで、資格を持っていないことを正直に伝えられます。
ただし、「特になし」という記載がプラスに働くことはありませんので、できるだけ避けましょう。資格取得に向けて勉強中の資格がある場合は、「〇〇資格(正式名称)取得に向けて勉強中」と積極的に記載することをおすすめします。
資格勉強中は、「向上心」「責任感」「意欲」といったアピールポイントになります。ポイントと注意点を踏まえ、効果的にアピールしましょう。業務に関係ない資格でも、潜在的な能力や可能性、努力家であることをアピールすることができます。
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