履歴書の本人希望記入欄に書くべきことは?基本的なポイントと注意点を紹介

履歴書には、自身の希望について記載する「本人希望記入欄」という項目があります。「あくまで希望なのだから書き方や内容は自由なのでは」と思われることもありますが、記載方法によっては、採用担当者に与える印象が変わってしまう可能性もあります。
今回は、本人希望記入欄の基本的なルールと注意点について、具体的な例文とともに見ていきましょう。
履歴書の本人希望記入欄とは

本人希望記入欄とは、働くにあたって譲れない条件を書く項目です。具体的には、希望職種や勤務時間、勤務地を記載するスペースであり、採用されるにあたって企業側に実現してもらいたい内容をまとめます。
必ずしも希望が実現されるとは限りませんが、実際に働くことを想定し、必要な項目があれば履歴書の段階で伝えておくほうが誠実です。ただし、本人希望記入欄の内容によって、企業はどの程度まで要望を叶えられるかを検討し、採用時の判断材料とします。
そのため、過度に常識から外れたものを記載したり、書き方に失礼があったりすれば、評価がマイナスに働いてしまう可能性もあります。本人の希望記入欄とは言え、どのように書いてもよいというわけではないので、記載方法や内容には十分に気を配らなければなりません。
【例文】履歴書の本人希望記入欄の記入例

本人希望記入欄は、伝えたい要望に応じて適切な書き方を検討することが大切です。ここでは、さまざまなケースを想定して、パターン別の記入例と具体的なポイントをご紹介します。
希望する職種に関する例文
応募先の企業が複数の職種を募集している場合は、自身の経歴やキャリア志向に合わせて、希望職種を記載しても問題ありません。記載方法については、以下のように「求人票や求人情報に記載された名称に合わせる」のがポイントです。
記入例
営業職を希望いたします。
たとえば、応募先の企業が事務職と営業職を同時に募集しているときは、その記載名称に合わせる必要があります。「ルートセールス」や「法人営業」のように、記載されていない内容を付け加えないように注意しましょう。
就業に関する例文
就業に関する希望については、企業側に求める配慮を具体的に記載する必要があります。たとえば、前職の退職日が決まっており、就業可能日をズラしてもらいたいときは、以下のようにまとめるとよいでしょう。
記載例
現職の退職手続きを行う必要があるため、◯月◯日以降の入社(入職)を希望いたします。
また、「内定後、2ヶ月で入社可能です。」のように、よりシンプルな表現を用いることも可能です。なお、休みの希望を記載する際の注意点や例文については、以下の記事でも詳しくまとめられているので参考にしてみてください。
履歴書の本人希望欄の書き方は?「休み希望」を書いてもいい?書く場合のポイントと例文を紹介
勤務条件に関する例文
勤務条件に関する希望は、基本的には企業側に一方的な配慮を求める内容となるため、あまり無理のある表現を用いるのは好ましくありません。末尾を「○○とさせていただければ幸いです」として、可能かどうか伺うといった形にするのがよいでしょう。
たとえば、勤務地が複数ある企業での選考を受けるときには、以下のように具体的な理由を添えて希望を伝えるのが適切です。
記入例
母の介護のため、勤務先は東京・埼玉とさせていただければ幸いです。
また、勤務時間の希望があるときも、次のように具体的な理由と時間帯を記載しましょう。
記入例
子どもの保育園の送り迎えのため、毎週月曜日と水曜日は18時に退勤させていただければ幸いです。
勤務時間の融通を利かせたいときは、「遅くならないようにしたい」といった曖昧な表現は避け、できるだけ具体的な時間帯を書くことが大切です。ただし、「18時以降は残業できません」と断定してしまうと、一切の相談ができないという印象を与え、選考ではマイナスに働く可能性があります。
あくまでお願いベースであることを忘れず、丁寧な表現を心がけましょう。なお、年収に関する希望は、本人希望記入欄に記載せず、面接で問われた際に答えるようにするのがベターです。
ただし、記載してもよいケースはあるため、状況に応じた判断が必要となります。年収の記載に関するルールについては、以下の記事で詳しく解説されているのでご確認ください。
希望年収は履歴書に書いてもよい?書き方と面接時の回答例も解説
連絡方法や転職活動に関する例文
本人希望記入欄には、選考や採用にあたっての連絡方法も記載することができます。現在の仕事で連絡がとれない時間帯がある方は、あらかじめ本人希望記入欄にその旨を記載するとよいでしょう。
記入例
現在就業中のため、平日の9~17時はお電話に出られない場合がございます。
お手数をおかけしますが、メールでご連絡をいただくか、お電話の場合は留守番電話にメッセージを残していただけますと幸いです。
健康上の理由に関する例文
健康上の理由で、勤務条件の希望があるときには、履歴書の段階で記載しておくと安心です。健康面について触れる際には、「理由と希望の内容を具体的にまとめる」ことと、「業務への支障がない旨」を明記することが大切です。
たとえば、通院の必要があるときは、次のように記載しておくとよいでしょう。
記入例
業務に支障はありませんが、腰痛の治療で通院の必要があり、月に一度程度、午前中の休暇をいただければ幸いです。
具体的にどうしてほしいのかを記載することで、企業側もどのような配慮をすればよいのかが端的に把握できます。勤務条件に関する希望は、後から伝えようとしてもタイミングを見極めるのが難しいため、早い段階で明確にしておくことが重要です。
履歴書の本人希望記入欄に書かないほうがよい点

本人希望記入欄は、基本的に自由な記載が認められています。しかし、採用を目指すうえでは、記載を避けたほうがよい項目・内容があるのも確かです。
ここでは、記載を控えたほうがよい内容について詳しく見ていきましょう。
志望動機や自己PR
本人希望記入欄は、あくまでも仕事をするうえで伝えておかなければならない事項を記載するためのものです。フリースペースではありますが、志望動機やPRの内容は項目の趣旨から外れるため、記載を控えましょう。
志望動機や自己PRは、それぞれ内容にあった記載箇所が他に設けられているので、専用の欄内にまとめることが大切です。
給与等の待遇面の希望
前述したように、待遇面に関する希望は、本人希望記入欄には記載しないほうがよいとされています。書類選考の段階から希望年収を書くと、仕事のモチベーションについてマイナスイメージを与えてしまうばかりでなく、「TPOをわきまえられない」といった悪い印象を与える恐れがあります。
本人希望記入欄では、勤務地や時間帯といったやむを得ない事情に関連する事項にとどめておくほうが無難です。年収については、面接時や内定が出た後に交渉するほうが望ましいといえるでしょう。
細かすぎる希望条件
希望条件を記載するうえでは、あまり内容が細かくなりすぎないように注意しましょう。「○時~○時以外働けない」のように、勤務時間の柔軟性を下げてしまうと、採用されるチャンスを狭める結果となります。
また、過度な要求を行えば、自分の都合だけを押し付けているような印象を持たれてしまうリスクもあるでしょう。本人希望記入欄には、あくまで家庭の事情で優先すべき条件のみを記載するようにし、内容もできるだけ柔軟性のあるものにとどめておくことがポイントです。
応募要件に合わない要求
本人希望記入欄では、企業の応募要件に合わないものを記載すべきではありません。たとえば、応募要件に「転勤あり」と明記されているにも関わらず、「転勤は一切できません」といった要求を行えば、そもそも採用条件にマッチしていないと判断されてしまいます。
また、職種に関する記載を行うときは、企業側がどのような職種、人材を求めているのかを丁寧にリサーチしておく必要があります。自身の要求を一方的に伝えるのではなく、
応募要件をしっかりと確認してから、記載内容がふさわしいかどうかを慎重に判断しましょう。
勤務条件について、どうしても譲れないポイントがあるときは、面接時に事情を含めて伝えてみるのも1つの方法です。
空欄のまま提出してしまう
特に希望がないからといって、空欄のまま提出してしまうと、そっけない印象を与えてしまいます。また、採用担当者に「記入漏れ」と勘違いさせてしまう恐れもあるため、「貴社の規定に従います」という一文を入れ、空欄を作らないようにしましょう。
なお、応募先が一般企業ではないときは、「貴社」という表現はふさわしくありません。医療法人であれば「貴法人」、病院では「貴院」、銀行であれば「貴行」、学校であれば「貴校」が正しい表現です。
不安なときは事前に調べておき、応募先に合わせた敬称を用いるように心がけましょう。
履歴書の本人希望記入欄の書き方におけるポイント

おさらいも含めて、本人希望記入欄の書き方に関する基本的なポイントを確認しておきましょう。
希望する職種を記載する
応募する企業が複数の職種を募集しているときには、自らが希望する職種を記入しても問題ありません。ただし、先にも述べたように、募集要項や求人票に書かれている正式な職種名を書くようにしましょう。
職種が複数ある、もしくは似たような職種があるときは、業務内容にどのような違いがあるのかも事前にチェックしておくことが大切です。
勤務に影響する条件を記載する
履歴書の本人希望記入欄を書いておいたほうがよいケースとして、持病を抱えていたり通院をしていたりするケースが挙げられます。ただし、通常の業務を行う分には問題がないのであれば、無理に記入する必要はありません。
現在は健康な状態であっても、以前に仕事を病気で退職したといった事情があり、勤務上の不安があるようなら書いておきましょう。業務が原因で再発の可能性があるときには、本人希望記入欄に記載することで、原因になり得る業務から外してもらいやすくなります。
勤務地や希望入社日を記載する
応募先の企業や職種によっては、転勤の可能性も考えられるため、勤務ができるエリアであるかを事前に確認しておきましょう。あらかじめ転勤の可能性が示されているにもかかわらず、勤務可能な地域が限られている際は、理由とともに本人希望記入欄に書いておくことが大切です。
たとえば、従業員に家族の介護をしなければならないといった事情があれば、「育児・介護休業法」の規定により、企業側に配慮義務が生じます。履歴書の段階で事情を伝えておくほうが、企業としても対応しやすくなるでしょう。
(参考:厚生労働省『転勤についての配慮』)
また、企業側の勤務条件として、「リモートワーク可」や「時短勤務可」といった選択肢が用意されているときには、本人希望記入欄で触れるのも可能です。
記入例
同居中の親族の介護のため、リモートワークを希望いたします。
ただし、企業側の状況によって「最初の数ヶ月は出社が条件になる」ケースもあり、希望が叶えられないケースもあるので注意しましょう。なお、現在他の会社で就業中の方は、あわせて、入社可能日を記入しておくと企業側としても判断がしやすくなるでしょう。
連絡可能な時間帯を記載する
現在、仕事を続けながら転職活動を行っているときは、連絡のつく時間帯を書いておきましょう。電話やメールといった、希望する連絡手段も記入しておくほうが、採用担当者の負担にならないのでよいといえます。
ただし、連絡可能時間帯を記載したとしても、電話の折り返しやメールの返信は迅速に行うことが大切です。
履歴書の本人希望記入欄を書くときの注意点

履歴書の本人希望記入欄は、就業に直接的な影響を及ぼすような事情を記載するための項目といえます。具体的には、健康上の理由や家族の介護、育児による勤務形態の要望、複数の職種が募集されている際の希望職種を記載するためのスペースです。
年収といった業務との関係性が薄いとされる事柄は、本人希望記入欄には記載せず、面接時に相談するように心得ておきましょう。また、希望条件を記載するうえでは、できるだけ簡潔かつ失礼がないようにまとめる必要があります。
具体的な書き方については、今回ご紹介した記入例を参考にしながら、状況に応じてカスタマイズしていくとよいでしょう。
本人希望記入欄のルールとマナーを把握しておこう

本人希望記入欄には、業務との関係性が強い勤務地や勤務時間、希望職種を記載するためのスペースです。家族の世話や健康上の理由で制限があるときは、理由とともに希望条件を記載しておくと、採用時のやりとりがスムーズに進みます。
また、記載漏れと誤認させないためにも、特に希望がないときも「貴社の規定に従います」と一文添えてから履歴書を提出しましょう。履歴書や職務経歴書の作成が可能な「ワンポチ」なら、PC・スマホから手軽に操作が行えます。
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