未経験の職務経歴書の書き方|未経験業界や職種に応募するときのコツ

未経験からの採用を目指すには、職務経歴書の書き方やアピールポイントを工夫することが大切です。関連する経験やスキルがないと思っていても、視点を変えれば、効果的なアピール材料になるケースも少なくありません。
今回は未経験者の業界や職種に応募するケースを想定し、職務経歴書の書き方や職種別の例文をご紹介します。
企業が未経験者を募集する理由

企業が未経験者を募集する理由の1つには、できるだけ幅広い応募者から選考を進めたいという考えが存在します。特に経験者が集まりにくい職種では、できるだけ多くの母集団から採用を行うために、未経験者にも枠を広げるケースが多いです。
そして、もう1つの理由として挙げられるのが、他業界や他業種の経験・スキルへの期待です。異なる業界で経験を積んだ人材は、社内に新しい風を吹き込む貴重な存在となる場面も少なくありません。
そのため、業界や職種が未経験だからといって、応募をためらう必要はありません。企業の意図を理解すれば、未経験である点を武器として活用することも可能です。
未経験者が職務経歴書でアピールできる4つのポイント

未経験である以上、経験者と比べると「どのように貢献できるのか」をより分かりやすく示すことが重要になります。今まで培ってきた経験やスキルを洗い出し、適切な形でアピールできるように整理しなければなりません。
ここでは、未経験者が職務経歴書でアピールすべきポイントを4つに分けて見ていきましょう。
ポータブルスキルをアピールする
「ポータブルスキル」とは、携帯できるスキルのことです。具体的には、コミュニケーションスキルや責任感、リーダーシップといった能力のことであり、業界や業種の垣根を越えて持ち運べるのが大きな特徴です。
未経験者の場合、応募先の業種に関するスキルは保有していないのが一般的であるため、職務経歴書ではポータブルスキルを中心にアピールすることとなります。まずは、自身がどのようなポータブルスキルを持っているのか、過去の経験をさかのぼりながら丁寧に分析してみましょう。
そのうえで、ポータブルスキルは目に見えにくい性質を持っているため、客観的な表現でアピールする必要があります。具体的な数字やエピソードを絡めながら、アピールしたいスキルの説得力を持たせましょう。
前職での経験をアピールする
職務経歴書では、今までの職務経験について詳細に記載します。他の業界で働いた経験があるときは、前職で得た経験やスキルも前向きな評価ポイントになり得るため、自信を持って盛り込むとよいでしょう。
また、第二新卒で職務経験が浅いときには、仕事以外の部分でも活かせる経験がないかを整理することが大切です。ボランティアやスポーツの経験、パソコンのスキルは、さまざまな職種で活きる可能性があるので、応募先の企業との相性を考慮しながらアピールポイントを探りましょう。
熱意や学習意欲をアピールする
未経験者の場合、熱意や学習意欲の高さも重要なアピールポイントとなります。特に中途採用では、新卒者のような手厚い研修が行われない可能性もあるので、自ら主体的に学びを深めていく姿勢が問われます。
未経験でも短期間で戦力になれることをアピールするため、自主性や積極性、向上心、粘り強さに関するポイントを盛り込むのも効果的です。たとえば、応募先の職種において資格の重要性が高いときは、「すでに勉強を始めている」「取得している」といった点をアピールすると、志望度の高さを知ってもらえます。
応募先企業への貢献をアピールする
職務経歴書では、単に自身の強みをアピールするのではなく、「応募先の企業でどう活かせるか」を常に意識しておく必要があります。熱意や意欲を伝えるようとするあまり、企業側の目線を忘れてしまえば、採用担当者の興味や関心を引きつけることはできません。
未経験者である自分を採用することで、応募先企業がどのようなメリットを得られるのかを丁寧に掘り下げていくことが重要です。そのためには、企業研究や職種に関するリサーチが欠かせません。
業界の特徴や応募先の企業のポジショニング、業務内容を詳しく理解し、自身の経験やスキルをどのように発揮していけるかを具体化しましょう。
職務経歴書の基本的な書き方・例文
職務経歴書は履歴書と異なり、特に決まったフォーマットがあるわけではありません。しかし、自身の経歴をアピールするうえで、以下の項目を盛り込むのが基本とされています。
職務経歴書の基本項目
・職務要約
・職務経歴・職務内容
・資格や免許
・活かせるスキル
・自己PR、志望動機
■職務要約
職務要約とは、職務経歴書全体を簡単にまとめたパートであり、いわゆる「つかみ」にあたる部分です。採用担当者の興味を引くためにも、長くなりすぎないように注意しつつ、特にピックアップしたい経歴や実績を絞り込んで盛り込みましょう。
職務要約の例文
○○○○株式会社に新卒で入社後、5年間にわたって法人営業に従事。大企業から中小企業までの幅広いクライアントに、ITソリューションを提案型の営業を行う。
主に既存クライアントとの関係構築を担当。××年には契約数で全従業員□□名中1位の成績を残し、営業所内のMVPに選出される。
■職務経歴・職務内容
今までの職務経験をまとめたパートであり、基本的には勤めてきた企業ごとに担当業務や役職、実績を書き込んでいきます。複数の職種を経験してきた方は、職種ごとにまとめるのも1つの方法です。
職務経歴・職務内容の例文
20○○年〇月~現在 株式会社□□□□
【事業内容】
不動産売買仲介事業、不動産分譲事業、不動産買取・リフォーム事業
【職務内容】
・首都圏での新規顧客の開拓営業(個人向け)
・資金計画の提案
・顧客データ管理
【実績】
・○○年〇月、契約販売数で首都圏約××名の営業員中1位を獲得
・18ヶ月連続で営業所内上位5%以内の契約販売数を記録
■資格や免許
資格や免許を取得した日付とともに箇条書きで記載します。数多くの資格や免許を持っている方は、応募先の企業との相性がよいものを優先的にピックアップするのが基本です。
また、勉強中の資格・免許があるときは、現在取得に向けて動いていることを記載することもできます。
資格や免許の例文
・普通自動車第一種免許 取得(○○年)
・2級ファイナンシャル・プランニング技能士試験 合格(○○年)
・宅地建物取引士 (○○年取得に向けて勉強中)
■活かせるスキル
自身のスキルのなかから、特に応募先の企業で活かせそうなものを端的にピックアップしてまとめます。書き方に決まりはありませんが、資格・免許と同様に箇条書きで記載するほうがスッキリと読みやすくなります。
活かせるスキルの例文
・PCスキル(Word・Excel・PowerPointの基本的な操作が可能)
■自己PR・志望動機
自己PRは自身の熱意を自由に表現する場です。未経験者の場合、入社への意欲や貢献のイメージを知ってもらうために、特に重要なパートとなります。
なお、職務経歴書では、自己PRと志望動機を分けて記載するケースも多いです。ここからは、応募する職種別に、未経験の方が自己PRをまとめる際の記入例を見ていきましょう。
【例文】職種別の未経験の職務経歴書の自己PR記入例

未経験で新たな業界・業種に挑戦する場合、自己PRや志望動機欄では、「自身の強みによって、どのように貢献したいのか」を明確に示すことが大切です。そのうえで、長くなりすぎないように「250~300文字程度」で収めることを目標にしましょう。
ここでは、主な職種別に自己PRの例文と書き方のポイントをご紹介します。
未経験の営業職
まずは、営業職に挑戦するときの自己PR例を見ていきましょう。
自己PRの例文
私の強みは、顧客1人ひとりの困りごとを素早く把握できるヒアリング能力にあります。
前職ではPCソフトのカスタマーサポートを担当しており、問合せ対応や商品説明、クレーム対応に従事してきました。商材が初心者向けであったことから、「トラブルの原因自体が分からない」というご相談も多くありましたが、丁寧にヒアリングしながら的確な状況把握が行えるようになりました。
社外で実施した顧客満足度調査では、サポート対応力で営業所内トップの評価をいただきました。
貴社の製品も一般のお客さまを対象としたものが多く、前職で培ったヒアリング能力を活かせると考えております。製品の魅力が正しく伝わるよう、丁寧なコミュニケーションにより、売上向上に貢献していく所存です。
営業職では、コミュニケーション能力や交渉力、課題解決能力が重要な資質となります。過去の経験を踏まえながら、アピールすべきスキルをじっくり検討しましょう。
また、扱う商材によっても求められるスキルが異なるため、応募先の商品・サービスの特徴を正しく把握しておくことも大切です。
未経験の販売職
続いて、未経験で販売職に挑戦する際の自己PRの例文を見ていきましょう。
自己PRの例文
私は細かなことにも気がつく観察力を強みとしています。
前職では飲食店で3年間ホールスタッフをしており、夜間の時間帯のリーダーとして接客に従事しました。アルコールを提供していたため、トラブルの原因には常に気を配っており、予兆を速やかに把握して事故を未然に防いだ経験も数多くあります。
地道な取り組みにより、大手口コミサイトで高評価をいただき、店舗全体の夜間売上が3年間で〇%増加する結果につながりました。
貴社の販売業務においても、今までに培った観察力や判断力を活かし、お客さまに喜んでいただける接客で売り上げの向上に貢献してまいりたいと考えています。
販売職では、コミュニケーション能力やとっさの判断力、そして最前線での接客経験が求められます。過去の経験で接客をしたことがあれば、たとえアルバイトであったとしても、自信を持って記載するとよいでしょう。
未経験の事務職
続いて、事務職に挑戦する際の自己PRの例文をご紹介します。
自己PRの例文
前職では当初営業スタッフとして入社をしましたが、経験を積むなかで顧客データの管理や、チームメンバーのサポートも担うようになりました。もともと、学生時代に部員○○人の野球部でマネージャーを務めていたこともあり、サポート業務は前線での営業活動以上に手ごたえを感じられました。
私の強みは、常に状況を先読みしながら動く習慣にあります。
前職では「次のフェーズで何が必要になるのか」「どのようなデータが求められるのか」を考えながら、先回りして手を打ち、チームメンバーや上司から感謝されることに喜びを感じていました。
企業を縁の下で支える仕事を突き詰めたいと考えていたところ、貴社の事務職の求人情報を見つけ、迷わずに応募いたしました。
事務職の場合は、前職からどのような経緯で志望に至ったのかを分かりやすく表現するのがポイントです。上記のように、過去の経験とも絡めることで、説得力のあるPRが行えます。
未経験の製造業
次に、製造業に挑戦する際の自己PRの例文をご紹介します。
自己PRの例文
私の強みは、綿密なタスク管理が行える点にあります。
前職ではITサービスを扱う企業でバックオフィス業務を5年行っていました。仕事では何よりもパフォーマンスの安定性が求められ、多種多様なトラブルがあっても、着実に期限内で事務作業を仕上げることを役割としていました。事前にすべてのタスクを整理し、効率的な手順を割り出したうえで、着実に実行していくスキルが身につきました。その結果、5年間で一度もミスや納期遅れをせず、社内でも仕事の正確性を高く評価していただきました。
貴社の製造業務においても、前職での経験と正確性を活かし、生産性の向上に貢献していきたいと考えています。
製造業においても、自身の経験と強みを踏まえ、応募先で活かせるかどうかを検討することが大切です。
未経験のエンジニア
続いて、エンジニアを目指すときの自己PRの例文について見ていきましょう。
自己PRの例文
私は大学で情報工学を学んだのち、ITサービスの法人営業に3年間従事しました。
前職では既存顧客のルート営業を担い、IT関連の課題を拾い上げながら、自社サービスを通じた提案業務を行ってきました。
3年間の業務を通じ、企業それぞれの細かなニーズの違いを肌で実感できたことが貴重な経験となっております。徹底したヒアリングとサービス研究の結果、3年目には上半期・下半期ともに営業所内でトップの成績を収めることができました。
今まで培った経験と大学で学んだプログラミングの知識を活かしたいと考えていたところ、貴社の求人情報が目に留まりました。
前職で得た経験を踏まえ、システムエンジニアとしての知識とスキルを積極的に習得し、短期間で戦力として貢献していく所存です。
エンジニアの場合は、関連する専門知識や学業の経験があると、有効なアピール材料になります。また、前職で得た経験をどのように活かしていくかは、面接で掘り下げられたときに備えてきちんと話せるように準備しておきましょう。
未経験のマーケティング職
続いて、マーケティング職を目指すときの自己PRについて、例文をご紹介します。
自己PRの例文
私の強みは、新たな環境に適応していく柔軟性にあります。
前職ではアパレルショップで販売員を5年間務めました。しかし、人員に限りがあっため、2年目からは接客業務と並行しながら店舗のレイアウト、仕入れ・在庫管理、SNS運用も幅広く担当しています。
特にSNS運用では、どのような発信なら興味を持ってもらえるかを追求し、写真の撮り方から細かなテキストまでこだわりを持って向き合いました。
販売戦略に興味を持って学びを続けていたところ、貴社の求人広告が目に留まり、迷わずに志望しました。
マーケティングは未経験ではありますが、持ち前の柔軟性と向上心を活かし、一日も早く戦力となれるよう尽力してまいります。
未経験で自己PRをまとめるときは、少しでも関連する経験・知識があれば、積極的にアピールしていくとよいでしょう。マーケティング職の場合、SNSの運用経験もプラスの評価につながる可能性があります。
どのような観点で工夫をしたのか、具体的に掘り下げることが大切です。
未経験の介護職
最後に、介護職を目指すときの自己PRについて、例文をご紹介します。
自己PRの例文
私の強みは、臨機応変な対応力にあります。
もともと人と接することが好きで、現在は百貨店で販売業務に従事しています。取扱商品の性質からご年配のお客さまが多いため、相手の年齢や表情に合わせて言葉遣いや声色を柔軟に調整するといった、その場に合わせた対応を心がけておりました。
「礼儀正しい」「悩みが解消された」というお褒めの言葉をいただく機会もあり、接客を通じて身についたコミュニケーション能力には自身があります。
介護の仕事は未経験ですが、持ち前の対応力とコミュニケーション能力を活かし、利用者さまに安心してもらえるプロフェッショナルとして貢献したいと考えています。
介護職の場合は、コミュニケーション能力や基本的なマナーといったポータブルスキルの重要性が特に高いといえます。前職やプライベートでの経験を絡め、アピールできるポイントやエピソードを探ってみましょう。
未経験者が職務経歴書を作成するときのコツ

最後に、未経験者が職務経歴書を作成するときのコツと注意点を確認しておきましょう。
「未経験者歓迎」でも熱意と可能性をアピールする
前提として、求人情報に「未経験者歓迎」とあっても、必ずしも採用されやすいとは限りません。応募者の能力だけでなく、企業の状況にもよるため、書類の作成にはきちんと力を入れましょう。
未経験であることを謙虚に捉えながらも、活かせるスキル・経験は積極的にアピールすることが大切です。また、採用にあたって特定の資格取得者が優遇されているときは、資格取得のための勉強を始め、真剣度を知ってもらうことも重要です。
企業や職種のリサーチを丁寧に行う
職務経歴書では、自身のアピールポイントが応募先の企業とマッチしているかどうかを十分に検討しましょう。企業が求めている人材像と合わなければ、経験の有無に関わらず採用には結びつきにくくなってしまいます。
企業がどのような人材を求めているのかをチェックし、応募する職種に求められる適性も確認したうえで、自身の強みとの関連性をじっくり考えてみましょう。企業や職種について丁寧なリサーチを行えば、職務経歴書だけでなく履歴書や面接にも活かされます。
どのような貢献ができるのかを簡潔に伝える
たとえ未経験であっても、きちんと社会人経験があれば、前職での経験やスキルは新しい業務に何らかの形で活かされていきます。しかし、採用選考では、どのように活かされていくのかを自分で明らかにしなければなりません。
応募先の企業に採用されたとき、保有しているスキルや経験がどのように発揮されるのか、どのような視点をもたらすのかを言語化できるように準備しておきましょう。
未経験ならではの強みが伝わる職務経歴書を書いてみよう

未経験の業界や職種に挑戦するときでも、職務経歴書でアピールできるポイントは数多くあります。どのようにまとめれば良いか分からなくなってしまったときには、自分に合ったテンプレートを参考にしてみるのもよいでしょう。
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