看護師としての資格を活かす場所は多くありますが、それぞれの応募先に合わせた自己PRを行っていくことが大切です。新卒や中途採用、キャリアにブランクがあるケースなど、状況によっても自己PRのまとめ方に違いがあります。
志望する勤務先の内定を得るためには、応募先のリサーチを入念に行って、どのような人材が求められているかを把握することが重要です。この記事では、看護師として応募をする際の自己PRの書き方や注意点などを解説します。
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看護師として自己PRの文章を書くときには、次の3つの点がポイントになります。
・文章は簡潔にまとめる
・具体的なエピソードを軸に考える
・強みやキャリアの棚卸しを行う
各ポイントについて解説します。
履歴書における自己PRとは、今までの経験やスキルなどをまとめたものです。よく自己PRと混同される志望動機は、「なぜ応募先の企業で働きたいか」といった観点から、魅力を感じた部分をまとめるのに対し、自己PRでは「自分の能力をいかに応募先の企業で活かせるか」に重点を置きます。過去の業務経験や培ってきたスキル、仕事へのモチベーションなどを書いて、どのような貢献ができるかを採用担当者にアピールするためのものです。
自分の強みについて大いにアピールすることは大切ですが、あまり長すぎる文章を書いてしまっても、うまく伝わらない部分があるので気をつけましょう。あくまで読み手の目線で、簡潔に文章をまとめることが大切です。
文章量として一概には言えませんが、1つのエピソードを軸に書いていくのであれば、300字程度にまとめるのが読みやすいといえるでしょう。一文をできるだけ短くまとめ、読みやすい文章に仕上げていくことがポイントになります。
自己PRを通じて、採用担当者に自分のことを理解してもらわないといけないため、過去の経験やスキルについて書くときは具体的なエピソードを交えることが重要です。単に「総合病院で5年の勤務経験がある」と書くよりも、次のようにまとめてみるとよいでしょう。
地域医療の中核となる総合病院で、整形外科に5年勤務していました。さまざまな年齢の患者様と接するうちに、治療だけでなくコミュニケーションを通じた心のケアも重要であることを学びました。貴院においても、他のスタッフと連携をしながら、患者様の立場に寄り添ったケアを心がけていきたいと思います。
上記のように、具体的なエピソードを盛り込むほうが、自己PRとしての説得力が増します。無理のない範囲で書けるエピソードを見つけ出し、自分の言葉で書いてみましょう。
いきなり自己PRの文章を書こうとしても、思うように文章をまとめられないことがあります。まずは、自分の強みや今までのキャリアの棚卸しを行うことが大切です。
自分ではなかなか気づきにくい部分もあるので、身近な友人や知人などに意見を求めてみるのもよいでしょう。棚卸し作業が完了したら、出てきた要素のなかで特にアピールしたいものに優先順位をつけていきます。
そのうえで、応募先の企業が求める人材像などと照らし合わせて、最も自分の言葉でエピソードが書ける強みやキャリアを選ぶことが大切です。自己PRにおいては、応募先の企業に対して「どのような貢献ができるか」が重視されるので、うまくアピールできるように文章構成を整えてみましょう。
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自己PRの文章を書くときは、一から考えるよりも参考となる例文をもとに検討していくほうがスムーズに進められます。ここでは自己PRを作成するときに役立つ例文を紹介します。
急性期病棟での看護経験を自己PRとして書くときの例文は、次のとおりです。
私は急性期病棟の呼吸器科に、2年間勤務をしておりました。緊急の手術に立ち会う場面も多かったため、いち早く患者様の状態を把握することに努めていました。
また、術後においても丁寧なケアを行うために、医師やメンバーと共にリアルタイムで情報共有を行っておりました。日頃から患者様の状態を把握しておくことで、病状の悪化を未然に防ぐことにつながったと思います。
貴院においても前職での経験を活かし、日頃の観察力とコミュニケーション能力を発揮して、質の高い看護を提供してまいります。
慢性期の看護経験を自己PRとして書くときの例文は、次のとおりです。
慢性期の看護では、長い目で患者様のケアを行っていく姿勢が重視されるため、前職においても患者様との信頼関係を築いていくことに努めました。長期にわたる入院生活で患者様はさまざまな不安を抱えていますが、できるだけ寄り添った看護が行えるように、日頃のコミュニケーションを大切にしていました。
初めはあまり口を開いてくださらなかった方も、会話のやりとりを続けていくうちに、「あなたと話していると元気が出る」と言っていただき、大きな励みとなりました。貴院での勤務においても、いつも笑顔でいることを心がけ、気軽に話しかけられる看護師でありたいと思っております。
回復期の看護経験を自己PRとして書くときの例文は、次のとおりです。
私はこれまで、回復期のリハビリテーション施設で3年間、看護師として働いていました。リハビリテーションは長い経過期間を必要とされる場合もあり、自宅になかなか戻ることができない不安を抱えていらっしゃる患者様と接してきました。
そのため、患者様の不安が少しでも和らぐように、私のほうからお声がけしていくことを日々心がけておりました。患者様とのふれあいを大事にしていくなかで、「もう少しだけ、頑張ってみたいと思います」とリハビリに前向きに取り組んでくださる患者様も現れ、精神的なサポートが大事であることを学びました。
貴院においても、患者様の話にきちんと向き合っていく傾聴力を発揮し、心に寄り添うケアを行ってまいりたいと思っています。
療養型施設での看護経験を自己PRとして書くときの例文は、次のとおりです。
療養型施設では、寝たきりの患者様も多く、思うようにコミュニケーションが取れない方に多く接してきました。自分の言葉で体調をうまく伝えられない患者様に対し、私は看護師として毎日の観察を重視していました。
バイタルチェックを行うときは、患者様の表情の変化も確認するようにして、症状が悪化することを未然に防げるように努めました。貴院での勤務においても、前職で身につけた観察する力を存分に発揮して、患者様が安心して過ごせる環境づくりを行っていきたいと思います。
クリニックでの看護経験を自己PRとして書くときの例文は、次のとおりです。
私は眼科クリニックで2年間勤務してきました。クリニックは定期的に通院される患者様が多く、気軽に立ち寄れる雰囲気づくりを心がけてきました。
待合室でゆっくりと過ごせるように、季節ごとの花を生けたり、リラックスできる音楽を流したりして工夫をしてみました。患者様からは「ここに来るのが楽しみになった」という言葉をかけていただき、患者様と寄り添うことが看護において改めて重要であることを学びました。
貴院でも、前職の経験を活かし、患者様にとって安心できる環境づくりを行っていきたいと考えています。
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看護師としての自己PRの書き方は、応募するときの状況によっても異なる部分があります。各ケースにおける例文について見ていきましょう。
新卒採用で応募するケースの例文は、次のとおりです。
看護実習の際に、患者様の食事介助をお手伝いしていましたが、思うようにうまくいかずに悩んでいた時期がありました。指導担当者に相談をしたところ、「食事が楽しい」という気持ちを伝えることが大切だと教わり、自分なりにできることを工夫してみました。
患者様ができるだけ楽しく食事ができるように笑顔で接し、コミュニケーションを積極的にとるようにしました。その結果、次第に全量摂取していただけるようになり、患者様の立場に立って接することが重要だと学びました。
貴院での勤務でも、常に患者様の視点に立って、適切なケアが行えるように努めてまいります。
中途採用で応募するケースの例文は、次のとおりです。
私はこれまで総合病院で5年間勤務しており、多くの患者様と接してきました。そのなかでも小児科での勤務経験が、看護師としての私の成長につながったと感じております。
小さなお子さんを抱えたご家族から感謝の言葉をいただくことで、患者様本人だけでなく、ご家族の心にも寄り添っていくことの大切さを学べたと思います。貴院は、小児医療に特化しており、地域における信頼も厚いものと感じております。
私も今まで培ってきた経験を活かし、患者様とご家族にとって信頼される看護師を目指していきたいと思っています。
キャリアにブランクがあって応募するケースの例文は、次のとおりです。
出産と育児に専念していた3年間は、看護師としての仕事からは離れておりました。ただ、限られた時間のなかでも業界紙には目を通すようにしており、最新の知識を得られるように工夫していました。
幸いパートナーや親が育児をサポートしてくれる状況がつくれるようになったため、再び仕事に復帰することを考えております。育児を通じて得られた経験は、これから接する患者様のケアにも役立つものと感じております。
言葉のコミュニケーションだけで患者様の状態を理解しようとするのではなく、表情や振る舞いなどを日頃からよく観察し、体調の変化を見逃さないことで、症状の悪化を未然に防ぐケアを心がけてまいります。
転職が多いケースの例文は、次のとおりです。
私はこれまでに多くの診療科で勤務してきました。異なる職場環境にあっても、すぐに適応できるのは自分の強みだと考えています。
さまざまな現場を見てきたからこそ、イレギュラーな対応にも落ち着いて向き合うことができます。貴院における診療スタイルをいち早く身につけ、即戦力として頼りにしていただける看護師を目指してまいります。
雇用形態を変えて応募するケースの例文は、次のとおりです。
以前はフルタイムで勤務をしておりましたが、出産・育児を経てしばらく現場から遠ざかっていました。子どもが学校に通い始めたことをきっかけに、再び働きたいと感じるようになり、貴院に応募させていただきました。
今は子どもと過ごす時間も大切にしたいと考えており、家庭と仕事を両立できる形で勤務できればと考えております。パートタイムでの勤務を希望しますが、限られた時間のなかでも患者様1人ひとりにお声がけをし、ご満足いただける質の高いケアを心がけてまいります。
履歴書に自己PRを書くときに気をつけておきたい点として、以下の4つが挙げられます。
・自己PRと志望動機の混同に気をつける
・スキルや経験だけを羅列しない
・ネガティブな表現は避ける
・自分の言葉で文章を考える
それぞれの点について解説します。
履歴書には自己PRの他にも、志望動機について書く欄が設けられているのが一般的です。どちらも同じようなものだと捉えてしまいがちですが、それぞれ異なる役割があることを理解しておきましょう。
自己PRはあくまで過去のエピソードについてまとめるものであり、今までの勤務経験や得られたスキルなどを書くものです。築いてきたキャリアを活かして、応募先の業務でどのような貢献ができるのかを書いていきます。
一方、志望動機はこれからどのように自分自身を成長させていきたいかを書くものであり、応募先を選んだ理由などをまとめていきます。
履歴書を作成する際は、自己PRと志望動機を混同しないように気をつけておきましょう。
自己PRは過去の経験やスキルについて書くものですが、単に事実を羅列するだけでは、職務経歴書と同じような内容になってしまいます。事実のみを伝えるのではなく、今までの経験から何を得て、今後の業務においてどのように活かせるのかを書いてみましょう。
説得力のある自己PRを書くには、自分の強みやスキルをただ述べるよりも、具体的なエピソードを交えるのがコツです。この記事で紹介した例文などを参考にして、自分らしい言葉でエピソードをまとめてみましょう。
転職する理由は、人によってさまざまですが、前職での不満などを自己PRには書かないように気をつけましょう。「なぜ以前の勤務先を辞めたのか」といった点にはふれる必要がありますが、待遇面や人間関係などに対する不満を理由として挙げてしまうと、ネガティブな印象を採用担当者に抱かれる恐れがあります。
仮にネガティブな体験が退職理由であったとしても、どのようにそれを乗り越えてきたのかを伝えるほうが、前向きな印象を持ってもらいやすくなります。例えば、異動の希望がなかなか通らずに同じ業務ばかり任されていたことが退職の理由であっても、「1つの業務を長く経験することで、スキルの向上だけでなく、忍耐強さがついて仕事のミスが少なくなりました。前職で身につけた経験は、貴社の業務においても活かせるものと考えております」といったように書くことは可能です。
自己PRの書き方次第では、ネガティブな体験も一つのアピールポイントになることを押さえておきましょう。
自己PRを作成する際に心がけておきたい点として、自分の言葉で文章を考えることが挙げられます。応募先ごとの例文はあくまで一例であり、そのまま用いてしまうと他の応募者との差別化が図れません。
応募にあたって、他のライバルたちも例文を参考にしている視点を忘れないことが肝心です。例文を参考にしながらも、自らの経験などを交えて、自分の言葉で書くように心がけましょう。
そして、書き上げた自己PRの文章はすぐに提出するのではなく、時間を置いて見直すことも大切です。自分なりにきちんと体験を消化することで、面接対策にもつながるでしょう。
看護師は専門職であるため、病院をはじめ多くの場所で活躍できる職種だといえます。応募するにあたっては、応募先の企業や自分の置かれている状況に応じて、自己PRをまとめていくことが大切です。
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