職務経歴書は何枚書く?上手くまとめるコツと注意点を解説

転職活動を行う際には、職務経歴書の準備が必要です。企業の採用担当者にアピールするため、つい内容が多くなる方もいるかもしれません。一方、転職経験が少なく、書くことがないというケースも想定されます。

では、職務経歴書は何枚までにまとめるのがよいのでしょうか。本記事では職務経歴書を何枚にまとめるべきかを解説し、まとめるためのポイントなどもご紹介します。

職務経歴書は何枚までにまとめるべき?

職務経歴書は2枚程度にまとめるのが最適です。ここでは、職務経歴書を書くときに、長すぎるとNGな理由と、短すぎるとNGな理由を解説します。

職務経歴書が長すぎるとNGな理由

職務経歴書の枚数が多すぎると、採用担当者の読む負担が増加し、伝えたい意図をコンパクトにまとめられていない印象を与えかねません。人事の採用担当者は多くの書類を処理しており、長すぎる職務経歴書は注意を引く要素がない限り、読まれない可能性が高いです。

また、ファイリングや保管スペースの確保も考慮され、枚数が多くなると管理の負担が増します。そのため、職務経歴書は2枚程度にまとめるのが適切です。

職務経歴書が短すぎるとNGな理由

職務経歴書が極端に少ないと、適切な説明やアピールが難しく、採用担当者に「熱意が感じられない」という印象を与える可能性があります。一方で、社会人経験が浅い場合や特定の業務に専念してきた場合などは、2枚にまとめることが難しいこともあるでしょう。

このような場合は、内容を充実させ、過去の経験やエピソードを通じて応募先企業とのマッチングを具体的に示すことが重要です。無理に2枚に引き延ばすよりも、1枚にまとめて内容を質の高いものに仕上げましょう。

職務経歴書を書く前に準備すべきこと

事前準備を一切せず、いきなり職務経歴書を書くのはNGです。採用担当者に好印象を与えるためには、入念に準備しなくてはなりません。ここでは、職務経歴書を書く前に準備すべきことをご紹介します。

職務経歴書における5つの項目を確認する

職務経歴書には以下5つの項目があります。

・職務要約

・職務経歴

・資格・免許

・自己PR

・志望動機

職務経歴書を書く前には、各項目がどのようなものかを確認し、記入内容について検討しておくことが必要です。以下で、各項目について解説します。

1.職務要約

職務要約は、職務経歴書の「あらすじ」といえるものであり、200~250文字で簡潔に経歴を伝える項目です。印象付けのため、内容は一読で採用担当者に伝わるよう工夫しなくてはなりません。

採用担当者に職務経歴書全体を丁寧に読んでもらうために、職務要約は要点を押さえつつ魅力や適性を引き立てる必要があります。

例えば、営業職の職務要約の事例は以下のとおりです。

私は、3年間にわたり法人向け不動産会社で、その後4年間は医療機器メーカーで、営業職として新規の顧客獲得に従事してきました。最初の会社では毎年30件の新規契約を成立させ、後者では36か月連続で売上目標を達成しました。


現在はチームリーダーとして、6人の部下のマネジメントやタスク管理、育成に携わっています。

2.職務経歴

職務経歴では、編年体式と呼ばれる時系列に基づいて記載する方法と、キャリア式と呼ばれるキャリアごとにまとめる方法があります。

編年体式は勤務時期や企業名に焦点を当て、時系列で経歴を整理する方法です。一方、キャリア式はキャリアの流れを整理し、職種ごとに業務内容や実績を示します。それぞれの事例は以下のとおりです。

・編年体式の職務経歴の事例

【職務履歴】

●●株式会社 事業内容:アミューズメント機器の開発・運用等

設立:1980年 資本金5億円 売上高:50億円(2022年度)従業員数:400名

期間

事業内容

2015年4月~

2017年7月

2017年7月~

2019年3月

【アミューズメント機器開発チーム】

システムエンジニアとして、既存システムの運用、改修等を行う

プログラマーとして、7本のアミューズメント機器用ソフト開発を行う


〇〇株式会社 事業内容:スマホ用アプリ・ゲームの開発・運用等

設立:2015年 資本金3億円 売上高:100億円(2023年度)従業員数:500名

期間

事業内容

2019年4月~

2020年3月

【ゲーム事業部 開発チーム】

プログラマーとして開発を行う。

ゲームの機能提案を行い、採用され本番実装。

2020年3月~

2022年5月

クライアント企業へ出向し、プロジェクトマネージャーとして従事

2本のスマホゲームをリリースし、年間15億円の売上貢献


・キャリア式の職務経歴の事例

【職務経歴】

業務・役割

業務詳細

営業企画

部署名:〇〇株式会社 第一営業部

    株式会社●● 営業推進室

■主な実績

・2016年:営業本部販売実績20億円(前年対比15%)

・2019年:営業本部販売実績30億円(前年対比10%)

■施策例

・2016年:社内用営業ツールを提案し採用。キャンペーンを実施。

・営業マンのスキル均一化を図ることにより、前年比15%の売上向上に貢献。

営業

部署名:〇〇株式会社 関東第二営業部

■業務概要

・大企業向けのDX推進ツールの提案、および関連するシステム・ソリューションの提案

・2020年~2022年まで、年間部署売上高前年比4~6%を維持

■主な実績

・2020年:個人販売実績500百万円(内新規売上30%)

・2021年:個人販売実績700百万円(内新規売上45%)

3.資格・免許

職務経歴書には、取得している資格や免許の記載も必要です。特に、募集職種に関連する資格や免許に焦点を当てて記入します。

関連性の高い資格や免許を示すことで、自身の適性やスキルをアピールし、採用担当者に強みを伝えられるでしょう。

職務経歴書の資格・免許項目の事例は、以下のとおりです。

【取得資格】

・TOEIC公開試験 820点(2020年5月)

・ITパスポート試験 合格(2021年11月)


【勉強中の資格】

・日商簿記検定2級(2022年8月受験予定)

・営業職から経理職へキャリアチェンジを検討しており、現在勉強中。

4.自己PR

職務経歴書の自己PRは、経験やスキルを企業活動にどう貢献するかをアピールする項目です。自己PR欄を使って積極的に自身の強みや価値を伝えることで、採用担当者に適性や貢献意欲を印象づけられます。

以下で、営業職の自己PR事例をご紹介します。

過去5年間にわたり、注文住宅の営業を担当してまいりました。この経験から培われた強みは、お客様からの信頼を得るための専門知識です。


住宅の購入は重大な決断であり、その過程は慎重に検討されるものです。お客様の信頼を得ることなくしては、契約に至ることはできません。そのため、お客様が安心して相談できるよう、幅広い専門知識を身につけることを目指しました。具体的には、住宅購入に関連する資格を獲得することを目指し、入社3年目には宅地建物取引士の資格を取得し、4年目にはファイナンシャルプランナー2級の資格も取得しました。


これらの努力によって、お客様からの信頼を得られ、営業目標の達成に貢献してまいりました。また過去にご契約いただいたお客様から、ご家族や知人の住宅購入の相談を受けることもあり、リピートや紹介の機会も増えています。


貴社においても、早急に必要な知識を身につけ、お客様に真摯に向き合いながら、営業成績を向上させていくことを心から願っております。

5 .志望動機

志望動機は企業の魅力と自身のスキルを結びつけ、なぜその企業に転職したいのかを伝える重要な項目です。応募者個人の視点から企業の魅力を見つけ出し、自分のスキルや経験と結びつけると説得力が増すでしょう。

以下では、営業職の志望動機の事例をご紹介します。

私が貴社を志望する理由は、顧客の満足度を徹底的に追求できると確信しているからです。現在私は不動産会社で営業を担当し、個人向けの賃貸物件の紹介や中古マンションの販売を手がけています。顧客の生活を支援する仕事に喜びを感じてきましたが、既存物件の販売では、お客様のご要望に完全に沿えないことがあり、不満を感じていました。そこで、お客様のご要望に応えられる住宅や、お客様の個性を反映できる住宅を提供したいという思いが強くなり、注文住宅販売を主軸とする貴社の営業職に興味を持ちました。これまでの賃貸や販売物件の取り扱い経験を活かし、お客様に最適な提案をすることで、理想の住まいづくりのお手伝いができると考えています。顧客満足度を最優先にした営業を目指し、貴社の事業に貢献したいと考えています。

これまでのキャリアを棚卸しする

職務経歴書を記載するためには、業務経験や実績、スキルなどの要素を整理することが大切です。自身の強みとして、特技や長所、資格などを挙げ、仕事をする上で自分がどれだけ貢献できるかを示しましょう。

また将来のビジョンや目標、入社後に挑戦したい業務など、キャリアの方向性もしっかり考え、整理することが重要です。

応募先企業をリサーチする

応募先企業の分析は企業理念や業績だけではなく、求人情報や公式サイトからその企業が求めている人材に関する情報も徹底的に収集することが大切です。収集した情報を自らの経験やスキルと結びつけ、自分らしさをアピールできるポイントを見出しましょう。

得られた情報を過不足なくまとめて、職務経歴書へ効果的に反映させることが必要です。

職務経歴書をまとめるときの注意点

職務経歴書を適切にまとめるためには、いくつかの点に注意が必要です。以下で、具体的な注意点を確認しておきましょう。

最初にキャリアの全体像を書く

職務経歴書は自らのキャリアを整理し、必要な情報を採用担当者に理解しやすい形で提示しなくてはなりません。

職務経歴書の役割は、採用担当者に自身のキャリア全体像を提供することです。キャリアには特定の会社や部門での勤務期間やポジション、事業内容、組織の規模、具体的な仕事内容、成果とそれを得るための工夫が含まれます。各所属企業や部署ごとに、これらの基本的な情報を漏れなく伝え、採用担当者が全体像を理解できるようにすることが大切です。

アピールポイントを強調する

職務経歴書ではアピールしたいポイントが明確に伝わるように、重要な経歴を強調して記載しましょう。全体の長さよりも、採用担当者にとって重要な情報が十分に書かれていることの方が重要なので、特に重要でない経歴はコンパクトにまとめる必要があります。

また、転職先での方向性や希望にかかわらず、長い経験を持つ仕事に焦点をあてましょう。過去の経歴をすべて詳細に書くのではなく、特に「直近の仕事」や「難易度の高い仕事」に絞り込み、重点的にアピールすることが重要です。

読みやすい余白・行間・フォントを心がける

職務経歴書の作成では、余白、行間、フォントの設定に注意が必要です。適切な余白や行間がないと、読み手に圧迫感を与え、見づらくなる可能性があります。

フォントは基本的には明朝体、もしくはゴシック体を使用し、文字サイズやレイアウトは見やすさを優先して調整しましょう。文字数・行数は40文字×40行程度、余白は上20㎜~35㎜程度、下20㎜~30㎜程度、左右20㎜~30㎜程度、フォントサイズは本文10~12ptが適切です。

見出しの工夫や箇条書きを活用する

職務経歴書の作成では、見出しやタイトルに大文字や太字、下線、斜体などの工夫を施して目立たせ、読み手にわかりやすくアピールポイントを伝えることが重要です。本文中で箇条書きや見出しを活用し、情報を整理してわかりやすく記入しましょう。

1つの項目でページを変えない

職務経歴書では同じ項目内で改ページせず、まとまりを持たせることが重要です。改ページがあると話の流れが途切れ、読み手が理解しにくくなるため、文章が続くように工夫しなくてはなりません。

Wordなどを使用して改ページ位置を調整し、2ページ目の書き出しが適切な箇所にくるようにしましょう。

ホッチキスでまとめない

職務経歴書をまとめる時は、ホッチキスの使用を避け、取り外しの容易なクリップを利用するほうが無難です。採用担当者が書類を保管する際、ホッチキスを外す手間がかかるため、負担をかけないよう心がけましょう。

クリップの使用は手軽で、取り扱いが簡単なため、採用担当者にとっても便利です。

同じ職務経歴書を使いまわさない

職務経歴書は応募企業ごとに合わせて作成する必要があります。各企業の求める人材を応募要件やホームページなどから把握し、応募企業に適したスキルや経験を強調してアピールするとよいでしょう。

同じ職務経歴書を使いまわすと、企業の求める条件に合わない内容となる可能性があるため、注意しましょう。

職務経歴書を2枚にまとめるコツ

職務経歴書は記載項目が多いため、2枚にまとめるのは困難だという方も多いでしょう。ここでは、職務経歴書を2枚にまとめるコツをご紹介します。

職歴が多すぎる場合

職歴が多く、2枚にまとめることが難しいときは、応募先企業に活かせる経験やスキルを中心にまとめることが重要です。応募する業務に関連がある経験やスキルを重点的にアピールし、関連性の少ない部分は要約しましょう。

また転勤や異動が多い場合は、転勤先や部署、会社ごとではなく、スキルごとにまとめるとよいでしょう。

職歴が少ない場合

職歴が短く、2枚に満たない場合は、応募する仕事に関連する経験やスキルを重点的に伝えます。研修や学習経験も積極的に記載し、具体的なエピソードを交えて、アピールしましょう。

社会人経験以外でも大学時代の研究テーマやインターンシップ、留学などをアピール材料として積極的に利用するのもおすすめです。

アピールポイントを絞り込み職務経歴書を2枚でまとめよう

一般的に職務経歴書は2ページ以内にまとめることが推奨されています。この範囲内であれば、採用担当者が重要な情報を迅速に把握でき、かつ詳細な経歴やスキルも十分に表現することが可能です。職務経歴書を作成する際には、キャリアのハイライト、重要な実績、およびスキルセットを明確に示すことを心がけましょう。

また、読みやすさを保つために、適切なフォーマットを選び、クリアな構成、余白、そして視覚的な要素を考慮することも大切です。職務経歴書は、自分自身を効果的にアピールするツールであるため、状況に応じて柔軟に調整し、最も適した形式で自己の経験と実績を伝えることが求められます。

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