工場で働くことを希望する場合、履歴書の志望動機の部分をどのように書けばよいか悩んでしまうこともあるでしょう。特に初めて応募するときは、基本的なポイントを押さえておくのが大切です。
この記事では、工場の志望動機の書き方を分野別・職業別に解説します。実際の例文も紹介するので、志望動機をまとめるときの参考にしてみてください。
工場で勤務することを希望する際は、まずどのような人材が求められているのかを把握しましょう。求められる人材像を理解しておくほうが、志望動機をまとめやすくなるからです。
採用側から見たときのポイントを解説します。
工場勤務で求められる人材としては、長く働き続けられる人が好まれる傾向にあります。工場の仕事は業種にもよりますが、立ちっぱなしの作業や力仕事に耐えられるだけの体力、健康が重視されやすいです。
軽作業もありますが、健康に問題がない点をアピールすることで、採用側に長く働ける印象を与えられるでしょう。そのため、普段から運動をしている点や過去のスポーツ経験などを伝えてみると、志望動機としてよい印象を持たれやすくなります。
加えて忍耐力や持続力、自己管理能力があることも伝えてみると、よい評価を得られやすいといえます。
工場では同じことを繰り返し行う作業が多いため、地道に仕事に取り組める姿勢を志望動機でもアピールしてみましょう。集中して作業に打ち込んだ経験や同じ作業が苦にならない点などを志望動機に盛り込んでみると、よい評価を得られるはずです。
また、丁寧に仕事ができる部分や飽きずに最後まで続けられる部分をアピールしてみることも意識してみましょう。今までの仕事の経験や趣味で取り組んでいることなどの具体的なエピソードを交えて書くことで、どのような人物であるかを伝えることができます。
工場勤務は一人で黙々と作業を行うものと考えがちですが、チームで作業に取り組むこともあります。他の人と共同で作業を行うことに問題がなく、協調性がある点を志望動機では伝えるようにしましょう。
仕事やスポーツ、ボランティア活動の経験など、他者と一緒に行動して目標を達成したエピソードなどを伝えれば、チームでの作業にも問題がない人だと判断されやすくなります。今までの経験を整理して、どのようなアピールができるのかを考えてみましょう。
志望動機を書くときには、どうして工場で働きたいのかを明確にしておく必要があります。具体的なポイントとして、次のような点が挙げられます。
志望動機を書くときのポイント
・なぜ工場(製造業)で働きたいのかを伝える ・応募先の企業である理由を明確にする ・職種に応じた自分の強みを書く ・人柄が分かるエピソードを盛り込む ・関連する資格をアピールする |
それぞれのポイントについて解説します。
志望動機を書くときは、「なぜ工場(製造業)で働きたいのか」の理由を明らかにしてみましょう。漠然とした理由ではなく、数ある仕事のなかでも工場勤務を選ぶ理由を伝える必要があります。
説得力を持たせた文章を書くには、具体的なエピソードを交えて書くと効果的です。例えば自動車系の企業に応募するのであれば、「小さい頃から車が好きで、車の製造に直接携わる仕事がしたかった」などの理由を挙げてみるとよいでしょう。
ものづくりに携わる仕事がしたい、機械に興味があるなど関心の高さをアピールしていくことが大切です。
採用担当者を納得させる志望動機を書くには、応募先の企業の会社概要や事業内容を事前に調べておくことが大事です。企業によって求めている人材像は異なるため、ミスマッチを防ぐために志望動機との擦り合わせが欠かせません。
例えば企業側が「長く働いてくれる人材を求めている」なら、仕事を継続する粘り強さや忍耐強さなどをアピールする志望動機を作成するほうが、印象に残りやすいでしょう。どうしても応募先の企業で働きたいという熱心な姿勢をアピールするために、事前のリサーチがとても重要です。
応募する職種によって、志望動機を書き分けることも大切です。一口に工場勤務といっても、募集されている職種は幅広くあります。組立作業などの製造ラインに関わる仕事と、事務作業では求められるスキルや経験などが異なります。
そのため、職種ごとの業務内容を理解して、自分の強みと希望する職種を結びつけることが重要です。製造ラインに携わる職種に応募するなら、体力面やチームワークなどをアピールできるエピソードを志望動機に盛り込んでみるとよいでしょう。
一方、事務職に応募するのであれば、根気強く取り組んでいけるエピソードなどをアピールしてみましょう。職種ごとにどのような人材が求められるのかを理解して、採用担当者にアピールすることが大事です。
工場勤務においては「長く働き続けられる」「地道な作業を得意としている」「協調性を備えている」といった人材像が求められています。そのため、具体的な長所を人柄としてアピールするために、志望動機にエピソードを盛り込むことが大事です。
エピソードは具体的なほどイメージが湧きやすくなりますし、前職までの経験などを伝えれば説得力のある文章になるでしょう。ただし、熱心にアピールをしようとして、たくさんエピソードを盛り込むのは避けたほうが無難です。
複数の話題を志望動機に盛り込むよりも、1つのエピソードを深く掘り下げていくことを心がけてみましょう。今までの経験を踏まえたうえで、自分の言葉で書くことができるエピソードを精査してみてください。
応募する職種に関係する資格を保有しているときは、大事なアピールポイントになるので、志望動機に書くようにしましょう。例えば、業種にもよりますが工場勤務に役立つ資格として、危険物取扱者・フォークリフト運転技能者・アーク溶接作業者・衛生管理者などの資格が役立つといえます。
現在資格を保有しておらず、今後資格の取得を目指す場合でも、アピールできる材料になります。応募する職種にマッチした資格の取得を目指しているのであれば、熱心に働きたいという姿勢のアピールにつながるはずです。
応募を検討している職種で、どのような資格や技能を求められているかをリサーチし、志望動機を考えてみましょう。
工場で働くといっても、分野別にアピールポイントは異なってくるため、応募する分野に合わせた志望動機を作成する必要があります。ここでは、例文も交えながら分野別の志望動機のポイントを解説します。
自動車の製造に携わる工場では、プレスや溶接、塗装、組立、検査の作業などを担うことになります。自動車について興味・関心が高い方や耐力に自信のある方に向いている業種だといえるでしょう。
履歴書の志望動機を書くときには、どのようなきっかけで自動車に興味を抱いたかや、スポーツ経験などをアピールすると効果的です。また、チームとして作業が行える協調性もうまく伝えていくとよいでしょう。
例文
私が自動車に関心を抱くようになったのは、父が自動車関係の仕事に携わっていたからです。父の話を聞くうちに、自動車の製造に携わる仕事がしたいという気持ちが強くなり、貴社を志望いたしました。 学生時代においては野球部に所属していたため、体力には自信があります。また、チームメンバーとの協力を重視し、困難な課題もみんなで乗り越えていくことができ、県大会では準優勝という結果に結びつきました。 自動車の製造は初めての経験ですが、職務を通じて社会生活に欠かせない自動車の魅力を多くの人に伝えていければと思っております。今までの経験を活かしながら、貴社に貢献できればと考えています。 |
精密機械の代表的なものとしては、時計・カメラ・医療機器・スマートフォンの組立作業や検査作業などが挙げられます。細かな部品を複数取り扱う場面が多いため、丁寧な仕事ぶりや集中して1つの作業に取り組める点を志望動機に盛り込んでみましょう。
また、取り扱う製品に対してどのような関心があるのかなども大事なアピールポイントです。趣味でものづくりを行っている場合は、手先の器用さなどを伝えてみましょう。
例文
私は小さな機械に興味があり、幼い頃から時計に興味を抱いておりました。時刻を調べるだけならスマートフォンでも確認できますが、時計は単に時間を見るためのものではなく、贈り物として購入される方が多い製品でもあります。人から人へと気持ちをつなげていくためのものだと私は捉えており、時計の製造メーカーとして全国的に知られている貴社を志望いたしました。 家族や友人からは手先が器用だといわれることが多く、アクセサリーづくりやDIYなどを趣味としています。家族の誕生日プレゼントに手作りのアクセサリーを送り、とても喜ばれたことが印象深いです。貴社の職務において、手先の器用さと人を喜ばせる気持ちを大切にしながら、貢献できればと考えております。 |
食品系の工場においては、主に食品の調理・加工や仕分け・梱包作業などの仕事に携わることになります。繰り返しの簡単な作業が多いため、未経験者であっても比較的取り組みやすいのがポイントです。
志望動機では、食品をつくることにどういった経緯で興味を持つようになったのかを伝えるようにしましょう。
例文
私の実家は飲食店を営んでいるため、子どものときから食に対する関心が強くありました。お客様のために調理を行う両親の姿を見て育った経験から、いつか自分も取り組んでみたいと考えるようになり、貴社を志望いたしました。 貴社が開発されている食品は私も普段から口にする機会が多く、メディアなどを通じて以前より関心を抱いておりました。食品工場で働いた経験はありませんが、料理を趣味としているため、人のために食べ物をつくることの喜びを大切にしています。貴社の職務を通じて、食についてさらに深く学ばせていただけると幸いです。 |
分野別の志望動機の書き方を押さえた後には、職種別の書き方についても把握しておきましょう。製造・組立作業・検査作業・軽作業のそれぞれのケースで解説します。
製造に携わる職種は、工場のなかでも多くの人員が割り当てられるのが特徴です。原材料を加工したり、製品をつくるために必要な部品を製造したりと、作業内容は広範囲にわたります。
一口に製造の仕事といっても、工場によって製造しているものは違っているため、事前に応募先のことをよく調べたうえで志望動機を考える必要があります。加えて、製造業で働きたいという点をアピールするために、ものづくりに対して関心が高いことをアピールしてみましょう。
例文
私がものづくりに興味を抱いたのは、テレビのドキュメンタリー番組を通じて医療機器の製造に関心を持ったからです。命を預かる医療現場ではミスが許されないものであり、患者さんの安心・安全を支えているのが、貴社の医療機器であることを知りました。 製造業の仕事は初めてですが、私は工業高校出身ということもあり、機械については強い関心があります。機械を通じて、人の暮らしを豊かにしていく仕事に携わりたいという想いから貴社を志望いたしました。 |
組立作業とは、ラインで流れてくる部品同士を組み合わせて、製品を組み立てていく作業をいいます。組立作業といっても、自動車の組み立てと精密機器の組み立てでは求められる能力が異なるため、応募先の製品についてあらかじめリサーチを行い、志望動機を練ってみましょう。
例文
私はラジオやパソコンの組み立てなどを趣味で行っており、製品がどのような構造でつくられているのかに強い関心があります。どのような製品であれ、もとは1つひとつの部品から成り立っているため、モノを初めから組み立てていく作業がとても好きです。 普段から電化製品の簡単な修理を頼まれることがありますが、故障の原因を調べるうえで、製品の構造に関する知識はとても役に立っています。貴社は多くの電化製品を製造されており、機能性だけでなくデザイン性にも優れていることに強い興味があります。持ち前の好奇心の強さから、どのような業務にも幅広く対応していきたいと思っています。 |
検査作業の職種は、出来上がった製品を最終的にチェックする作業をいいます。不良品を取り除くスキルが求められるため、仕事に対する丁寧さや集中力などがアピールポイントになるでしょう。
例文
私は絵を描くことや本を読むことが好きであり、一度取り組み始めると終わるまで夢中になる部分があります。周りの人が根を上げてしまうような場面でも、私にとっては細かな作業を行うことは苦ではなく、繰り返し1つのことと向き合っていく時間を楽しく感じています。 製品の検査に携わる仕事は初めてですが、集中力を切らさずに物事に取り組める性格を活かして、早めに技術を身につけられると思います。 |
工場での軽作業とは、主に製品の仕訳や梱包作業などを指します。作業手順がマニュアル化されている場合が多いので、未経験者でも応募がしやすい職種だといえるでしょう。
過去に軽作業の経験があるのなら、志望動機に盛り込むことで採用されやすくなるはずです。また、フォークリフトの資格などを取得もしくは取得予定の場合も、積極的にアピールしてみましょう。
例文
以前、ECサイトを運営する会社で働いていた経験があり、主に商品の仕分けや梱包などを担当しておりました。大学で流通に関する勉強をしているため、物流に関心があり、貴社を志望いたしました。 また、大学の先輩からの薦めもあり、現在フォークリフトの資格取得を目指しています。無事に資格を取得し、貴社の製品が多くのお客様の元へスムーズに届くように、私も貢献できればと考えております。 |
履歴書の志望動機をスムーズにまとめるには、基本的な作成手順を理解しておくことが大切です。志望動機を作成するときのステップとして、以下の点が挙げられます。
志望動機を書くときの基本ステップ
・応募企業や業界のリサーチを行う ・結論から書くことを心がける ・プロセスを丁寧に書く ・空欄を残さない |
各ステップのポイントを解説します。
志望動機はいきなり書き始めるものではなく、まずは応募先の企業や業界のことを詳しく調べるところから始めましょう。特に初めて製造業に応募をするのであれば、時間をかけて調べたほうが必要な情報を得られるので、結果として志望動機もまとめやすくなります。
また、得られた情報や知識を整理することで希望する職種を決めやすくなりますし、応募を検討している企業の比較なども行えるでしょう。リサーチに時間をかけることによって、どのような人材像が求められているのかを知る機会にもなります。
積極的に人材採用を行っている企業ほど多くの情報を発信しているものなので、丹念に調べることが大事です。調べていくうちに、興味が湧く職種や企業を見つけることにもつながります。
工場は基本的に多くの人手を必要としているため、幅広く採用活動を行っていることも珍しくありません。人気の企業や職種ほど応募数が多くなる傾向があり、限られた時間で採用担当者は選考を行わなければなりません。
採用担当者の負担にならないように、履歴書の志望動機は結論から先に書くように意識してみましょう。結論に至るまで長い文章になっていると、最後まで読んでもらえない恐れがあるため、簡潔に文章をまとめることが大切です。
伝わりやすい文章としては結論を述べた後に志望する理由を書き、今までの経験や得られた学び、そして仕事に活かせるスキルや経験などの順で話を構成すれば、一貫性のある文章だと思われるでしょう。
志望動機は自らの体験などをエピソードとしてまとめるものですが、第三者が読むことを意識して書きましょう。自分では理解している部分はつい、省略してしまいがちになるため、プロセスを丁寧に書くことを心がけてみてください。
5W1Hを意識して、順序立ててエピソードをまとめることが大事です。複数のエピソードを盛り込むと前後の関係が不明確になりがちなので、できるだけ1つのエピソードに絞り込みましょう。
また、志望動機を作成したら、身近な友人や家族に読んでもらうのもよい方法です。他の人に読んでもらうことで、自分では気づかない点に意識が向くようになるはずです。
志望動機をまとめることに苦手意識を持っている場合、空欄のまま提出してしまうケースがあります。しかし、いくら経験やエピソードがないからといって、空欄が目立つ履歴書だとマイナスの印象を与えかねません。
無理に長文を書く必要はありませんが、たとえ短い文章であっても応募者の人柄などが伝わる内容であれば問題はないといえます。うまくテーマが見つからないときには、もう一度題材を探しなおしてみましょう。
特別な体験などがなかったとしても、自分の考えや価値観などを織り交ぜることで、オリジナルの体験としてアピールできます。粘り強くエピソードを選定してみましょう。
履歴書の志望動機を書くときには、いくつかの注意点をあらかじめ把握しておく必要があります。主な注意点として、次の3つが挙げられます。
志望動機を書くときの3つの注意点
・似たようなエピソードになっていないか ・消極的な印象を与える内容になっていないか ・待遇面などを理由に挙げていないか |
それぞれの注意点で気をつけるべきポイントを解説します。
履歴書の志望動機を作成するときの注意点として、どこかで見たような文章になっていないか気をつける必要があります。書籍やインターネットの情報を参考にするのは有効な手段ではありますが、そのまま使用することは避けたほうが無難です。
志望動機として書くべきエピソードや経験がないと悩んでしまいがちですが、特別な経験がなかったとしても、文章を差別化することは可能です。採用側は応募者の人となりを知りたいため、自分の考えや価値観を経験と結びつけて文章を作成してみると、独自のエピソードを生み出しやすくなります。
志望動機をいきなり書き始めるのではなく、まずは今までの体験や感じたことなどを紙に書き出して、自分の言葉で伝えやすい内容を選ぶことが大事です。
志望動機で書いた内容が、消極的な印象を与えるものになっていないかをよく確認しておきましょう。どのような仕事であっても、積極的に働こうとする人を企業側は採用したいと考えるものなので、受け身の印象を与える内容は避けたほうが無難です。
また、積極的なアピールとはいっても、「スキルを身につけたい」「自分自身を成長させたい」といった自らのことだけではなく、仕事を通じてどのように企業側へ貢献できるのかも伝えるようにしましょう。志望動機で前向きな内容を盛り込むのは大事ですが、全体のバランスを見て文章を整えてみましょう。
企業に応募する志望動機として、待遇面や労働条件に関する部分は理由として挙げないほうがよいでしょう。あくまで仕事に対するやりがいや、どのように仕事と向き合っていくのかをアピールしていくことが大切です。
待遇面などを理由として挙げてしまうと、他によい条件の企業や仕事が見つかれば、そちらに転職してしまうのではないかと企業側は考える恐れがあります。応募先の企業の事業内容や職種などの理由を中心に、志望動機を考えるようにしましょう。
工場で働くことを希望する場合、どのような人材が求められているのかを理解したうえで志望動機をまとめることが重要です。応募する分野や職種などの違いを踏まえながら、自分のアピールポイントやエピソードなどを整理してみましょう。
初めて工場勤務に応募するときは、志望動機の作成手順や注意点なども理解しておくことが大切です。作成後はきちんと見直して、しっかりとアピールできているかをチェックしましょう。
建築業界での転職時に好印象を残せる履歴書の書き方について、より詳しく知りたい方はこちらの記事も参考になります。
参考:製造業の志望動機の書き方とは?大卒・高卒別の注意点や例文も公開 | しごとウェブ転職
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