看護職への転職や就職を考えている人にとって、履歴書の提出は自分をアピールする大切な機会のひとつです。
しかし、「志望動機をどのように書けば良い?」「看護師としての経験やスキルはどうやって伝えるのが効果的?」といった悩みがある人も少なくないでしょう。
この記事では、看護師向けの履歴書における基本的な記入方法や、印象に残る志望動機の書き方、効果的な自己PRの作成方法などを詳しく解説していきます。
新卒として就活をはじめる人はもちろん、経験豊富なベテランの看護師まで、自分自身の魅力が伝わる履歴書の書き方をマスターしましょう。
履歴書の項目ごとの書き方はこちら
履歴書簡単作成ツールのワンポチを使ってみる
初めて履歴書を作成する人はもちろん、履歴書を作成したことがある人でも、基本情報の書き方は忘れやすいものです。ここからは、履歴書の基本情報の書き方を項目ごとに詳しく解説します。
日付欄には、提出する日付を記入します。履歴書を送付した日(投函した日)が基準であり、履歴書を作成した日ではない点に気を付けましょう。
記入する日付は西暦・和暦のどちらでも問題ありませんが、履歴書全体でどちらかに統一することがポイントです。
氏名欄には、フルネームを漢字で記入します。苗字と名前の間にはスペースを入れ、見やすいようバランスよく書きましょう。
また、ふりがなも忘れずに記入してください。履歴書にひらがなで「ふりがな」と記載されていればひらがなで、カタカナで「フリガナ」と記載されていればカタカナで記入します。
なお、印鑑を押す欄があれば、必要に応じて押印してください。
証明写真は直近3ヶ月以内に撮影したものを使用します。証明写真のサイズは、縦4cm×横3cmが一般的です。
なお、背景は白色または無地が望ましいとされています。担当者が履歴書をコピーした際、背景が暗い色だと背景と顔の境目がぼやけてしまうため注意が必要です。
出典:厚生労働省「履歴書・ 職務経歴書セミナー」P8
生年月日は日付欄に記入した表記で統一してください。年齢欄には履歴書を提出する日の年齢(満年齢)を書きます。誤りがないかを確認し、正確に記入しましょう。
住所欄は、住民票に記載されている住所を記入するのが一般的ですが、実際に住んでいる場所が住民票記載の住所と違う場合、居住している住所を記入しても問題ありません。
住所は都道府県から記入し、マンション名・部屋番号も省略せずに書きます。番地を記入するときは、「1-2-3」のようにハイフンは用いず、「◯丁目◯番地◯号」といった正式な表記を使用しましょう。
電話番号は記入欄が複数ある場合、固定電話・携帯電話の両方を記入します。採用担当者が見やすいよう市外局番を含めて記入し、番号はハイフンで区切りましょう。
携帯電話しか持っていない場合は、携帯電話の電話番号のみを記入すれば問題ありません。
日中に繋がりやすい電話番号が基本ですが、在籍中の会社から貸与されている携帯電話の番号を記入するのは適切ではありません。プライベート用の電話番号を記入しましょう。
学歴は義務教育以降の入学・卒業の年を明記するのが一般的ですが、転職の場合は高等学校から入学年・卒業年を記入しても問題ありません。
職歴は、学歴を記入したあと、1行空けて中央に「職歴」と記載し、次の行から具体的な職歴を記入します。「◯◯法人◯◯総合病院◯◯病棟」といった形式で、診療科も含めて経験した領域がわかるように明記しましょう。
現在の状態を最終行に書いたあと、最後に「以上」と記入して締めます。職歴がない場合は学歴のみの記入で問題ありません。
履歴書の作成時に職歴を忘れてしまった時の対処法は?
取得済みの資格は、取得年月が古いものから正式名称で記入しましょう。現在取得中の免許や資格がある場合、見込み取得年月日を記入してください。
なお、看護師免許は「看護師免許証」に取得年月が記載されています。国家試験に合格した月ではない点に注意しましょう。
勉強中の資格は履歴書に書くべき?資格を書く時のポイントと注意点を解説
志望動機は、志望した理由→過去の経験→今後の展望の順で作成するのが基本です。
まずは施設の理念や特徴を織り交ぜた志望理由などを簡潔に述べ、その後、志望理由に至った経緯やエピソードを示します。
最後に、入職した際に貢献したいことや看護師としての将来の目標も具体的に言及しましょう。
具体的な志望動機の例は以下の通りです。
私は、貴院の「患者さんの声に寄り添う看護」を重視する理念に共感し、患者さん一人ひとりに寄り添いながら心のケアもできる看護師になりたいと思ったので、貴院を志望しました。
大学の実習では、患者さんの不安を和らげるコミュニケーションの重要性を学び、高齢者医療に特に興味が湧きました。
貴院での経験を通じて、専門性を高め、地域に密着した看護師として貢献したいと考えています。また、チーム医療を通じて他の職種との連携を強化し、患者さんに最良のケアを提供したいです。
【例文12選】看護師の志望動機の書き方|ポイントや注意点をわかりやすく解説
志望動機と同様に自己PRも、結論→過去の経験→入職後の展望の順で作成するのが基本です。
まずは冒頭で自分の強みやアピールポイントを簡潔に述べたあと、その強みやアピールポイントを裏付けるエピソードを説明します。このとき、具体的な実績を交えつつアピールすることがポイントです。
エピソードを説明したあとは、そのエピソードで学んだことや得たスキルを述べましょう。最後に過去に学んだことや得たスキルを、入職後にどのように活かすのか説明します。
具体的な自己PRの例は以下の通りです。
私の強みは、コミュニケーション能力の高さです。
大学の看護実習では、患者さんとの信頼関係を築くために常に相手の立場に立って考え、コミュニケーションな対話を心がけました。特に、長期入院の患者さんが抱える不安や孤独に寄り添い、日々の小さな変化にも敏感に対応したことが評価され、患者さんからも信頼を得ることができました。
この経験を通じて、患者さんに安心感を与えるコミュニケーション力が身についたと感じています。入職後は、この強みを活かし、患者さん一人ひとりに最適なケアを施し、医療現場で信頼される看護師を目指します。
履歴書の趣味・特技は、無理に立派なことを書く必要はありません。もちろん、間接的でも仕事に役立つ趣味・特技があるとベターですが、採用担当者は人柄を知りたいと考えているので、正直に書きましょう。
趣味について書く際は、趣味を一言で書くだけでなく、「趣味に取り組む頻度」や「エピソード」など、自己アピールにつながる短い補足文を入れることで、採用担当者に好印象を抱いてもらえる可能性が高まります。
特に記載する内容がない場合は、「貴院の規定に従います」と記入しましょう。「特になし」と書くよりも、「貴院の規定に従います」と記載するほうが面接官に丁寧な印象を与えられる可能性があります。
一方で、勤務地や入職日など、絶対に譲れない条件がある場合は、本人希望欄に具体的に記入しましょう。
なお、待遇や給与に関することを記載すると採用担当者からマイナスな印象を持たれる場合もあるので、本人希望欄には記入せず、面接のタイミングで確認することをおすすめします。
履歴書の本人希望欄は「休み希望」を書いてもいい?書く場合のポイントと例文を紹介
履歴書を作成するときには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。
採用担当者にプラスの印象を得られるよう、忘れずにチェックしましょう。
履歴書サイズはA4とB5の2種類がありますが、基本的にはA4サイズがおすすめです。
指定がなければB5の履歴書でも問題はありませんが、A4の履歴書は記載スペースが広く、自分のスキルや経験などを詳細に伝えられます。
また、職務経歴書や送付状など、他の資料もA4サイズが一般的なので、履歴書もA4に統一したほうが採用担当者から好印象を抱かれる可能性があります。
なお、A4は二つ折りしたときのサイズのことを指すので、広げたときのサイズはA3になることを覚えておきましょう。
自筆の指定がある場合は、手書きで作成する必要がありますが、指定がなければ手書き・パソコンどちらで履歴書を作成しても問題ありません。
ただし、人柄やマインドが重視される新卒採用では手書きが推奨される傾向があります。手書きで作成する際は、採用担当者が読みやすいよう丁寧に書くことを心がけましょう。
なお、パソコンで作成する場合、見やすいフォントと文字サイズで作成することが重要です。一般的には、フォントを明朝体、文字サイズを10.5~11ptに設定します。
履歴書の項目はすべて埋め、空欄がないようにしましょう。
空欄があると記入漏れがあると判断される場合があるため、記載する内容がなければ「特になし」と記入してください。
特に、志望動機や自己PR欄が未記入だと、信頼性を欠くおそれがあります。志望動機や自己PR欄は、全体の8割程度を埋めることを意識し、バランスよく記載しましょう。
履歴書に空欄はNG?印象が悪くならない書き方と対処法
履歴書を作成中に記入ミスした場合でも、修正テープや修正液は使わないほうが無難です。誤字脱字などがあれば新しい用紙に書き直しましょう。
また、履歴書自体が汚れないようにすることも重要です。特に、鉛筆で記入すると、あとから消えてしまったり汚れてしまったりする可能性があるので、基本的に鉛筆は使わず、油性のボールペンや万年筆を使用してください。
なお、パソコン作成の場合は、変換ミスなどの誤りがないか最終確認を入念に行いましょう。
志望動機と自己PRが矛盾しないように、内容に一貫性を持たせることも履歴書を作成するときのポイントです。
例えば、志望動機で「患者さんに寄り添った看護を提供したい」と記載した場合、自己PRでも「患者さんの気持ちに寄り添うコミュニケーション能力が強み」とすることで一貫性が生まれます。
志望動機に記載した目標や想いに沿ったスキル・経験を自己PRで裏付けられると、説得力が増す場合もあるでしょう。
さらに、入職後にその強みをどのように発揮し、志望動機で述べた目標をどう達成するのかを具体的に示すことで、応募者の入職に対する姿勢が明確になります。
志望動機や自己PRには、即戦力になることや長期勤務の意欲を伝えることが重要です。
例えば、「看護師としての経験はありませんが、貴院で学びながら成長したいです」といった表現だと、場合によっては準備不足な印象を与えてしまう可能性があります。未経験の場合は、成長して貢献したいことや成し遂げたいこともセットで説明することがポイントです。
また、「さまざまな専門分野に挑戦したいと考えています」といった、一見チャレンジ精神が旺盛と思える内容でも、場合によっては長く勤務する意欲が感じられず、短期的な転職や離職のリスクがあると判断されるおそれもあります。
特に転職回数が多い人やブランクがある人は、長期的な勤務への意欲や継続性を伝える表現を心がけましょう。
履歴書を郵送するときは、封筒の書き方・封筒に入れる書類の順番・添え状の書き方の3つの観点でマナーに気を付ける必要があります。ここからは、履歴書を入れる封筒・添え状のマナーについて解説します。
郵送で履歴書を送付する際は、A4サイズの履歴書が入る角形2号の封筒を使用します。履歴書を入れる封筒の宛名は基本的に縦書きです。
住所は、封筒の右側に都道府県から番地まで省略せず記入します。番地は「◯丁目◯番◯号」と漢数字で書き、ハイフンの使用は避けます。郵便番号も忘れずに記入しましょう。
宛名は封筒の中央に大きめに記載します。施設名や部署名は省略せず、左側に担当者名を書きます。宛名は施設名より少し下から書き始めて、メリハリをつけましょう。
封筒の左下に赤ペンで「履歴書在中」と、縦書きで記載することも忘れてはいけません。四角で囲んで目立たせるほか、スタンプを使う方法もあります。
裏面の左下に自分の郵便番号・住所と名前を小さめに記載すれば、封筒の準備は完了です。
封筒に書類を入れるときは、上から添え状(送付状)・履歴書・職務経歴書・その他の応募書類の順番で重ねます。
各書類は汚れないようクリアファイルに収納し、すべて折らずに封筒に入れられるようにしてください。
履歴書を郵送する際は、添え状を同封する必要があります。添え状とは、応募書類を送る際に同封する挨拶文を記載した用紙のことで、書類の内容や送付の目的を丁寧に説明するためのものです。
添え状には簡潔な挨拶とともに、同封書類の内容と送付の目的を記載します。ほかには、自分の氏名・連絡先などを明記し、日付や宛名などもを忘れずに記入してください。
添え状に記入する項目は、以下を参考にしてみてください。
最近はPDF等のデータをメールやフォームから提出することもあります。データ化する方法やメールで送る方法はこちらの記事をご覧ください。
スマホで履歴書をメール送信する方法!注意点やPDF化の方法も解説
今回の記事では、看護師の履歴書の基本情報から志望動機・自己PRの書き方まで、詳しく解説しました。
履歴書を書く際は、基本的なルールに則って作成することが重要です。また、志望動機・自己PRはもちろん、免許・資格や趣味・特技といった項目でも自分の魅力・人柄を伝えることで、採用担当者に好印象を与えられるでしょう。
とはいえ、履歴書の作成には時間と手間がかかるため、履歴書作成ツールを活用する方法もおすすめです。スマホやパソコンで簡単に履歴書を作成できる「ワンポチ」を活用すれば、効率的に準備を進められます。無料で利用できるので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
参考:【例文付き】派遣看護師の履歴書・職歴の正しい書き方|注意点も解説|キャリアビジョン協会