歯科衛生士の職務経歴書|書き方の例文も徹底解説

歯科衛生士が転職する際は職務経歴書が必要です。履歴書とは異なり、職務経歴書は自由なフォーマットのため、書き方に悩む方も多いでしょう。また、歯科衛生士の技術や携わってきた専門分野をどのように記載するかによって、応募先医院からの印象が変わることがあります。
この記事では、職務経歴書の基本構成や歯科衛生士として書くべき重要なポイントを詳しく解説します。職務経歴書の作成に悩んでいる歯科衛生士の方は、ぜひ参考にして採用につながる書類を作成しましょう。
職務経歴書を作成する際のポイント

応募先医院に採用されるためにも、ほかの応募者との差別化や自分の強みをしっかり伝えることが重要です。ここでは、職務経歴書を作成する際に歯科衛生士として心がけたい3つのポイントを紹介します。
歯科衛生士としての専門性を際立たせる
職務概要欄や職務経歴欄で業務内容を書く際に、歯科衛生士としてこれまで担当した業務や実績を詳細かつ具体的に記載すると、自身の専門性やスキルの高さをアピールできます。
単に「予防処置」と書くのではなく、具体的な処置内容・件数を記載すると、採用担当者がイメージしやすくなるでしょう。
専門性の記載例
SRPを月間100件、PMTCを月間150件担当など
患者様の年齢層や疾患、具体的な症例などを記載すると専門性が伝わりやすくなります。
専門性の記載例
小児患者のフッ化物塗布、高齢者患者の義歯清掃指導、歯周病患者の重度歯周炎のケアなど
歯科衛生士として使用経験のある専門的な機器や器具を具体的に記載します。医療機器のメンテナンスや管理経験もあれば追加することがポイントです。
自己PRの例文
エアフロー、口腔内カメラなどの使用経験があります。ユニットやタービンなどの始業前点検を欠かさず行っていました。
得意な分野や力を入れてきた分野があれば、具体的なエピソードを交えてアピールします。
自己PRの例文
歯周病治療に注力し、患者様の歯周組織の改善に貢献しました。
歯科医療における貢献をアピールする
職務経歴欄や自己PR欄で、歯科衛生士としてどのような貢献をしてきたかを強調することも大切です。数値で表せる実績があれば、具体的に記載します。自身が取り組みを行った結果、実績につながった点を積極的に説明すると熱意が伝わりやすくなります。
自己PRの例文
患者様へ定期的な予防や検診の重要性を案内し、再来院率が10%向上しました。
歯科医療はコミュニケーション能力が重要です。歯科医師や歯科助手とのチームワーク、患者様への指導や信頼関係構築など、貢献してきたことが分かるエピソードを具体的に記載しましょう。
自己研鑽の姿勢を示す
自己PRを書く際に、歯科衛生士としてどのようにスキルアップに取り組んできたかを具体的に伝えます。たとえば、参加した研修やセミナーの名称、内容、研修で得たスキルをどのように業務に活かしてきたかなどがあげられます。学会発表や論文執筆の経験もあれば、忘れずに入れておきましょう。
自己PRの例文
前職では院内研修に積極的に参加。最新の診療技術や患者様が安心できる対応などを学び、高品質な歯科医療を提供できました。
ホワイトニングコーディネーターなど、歯科衛生士として活かせる資格を取得したことや、取得に向けて取り組んでいることを記載するのもおすすめです。自己研鑽の姿勢を示すことで、歯科衛生士としての熱意や意欲が伝わります。
歯科衛生士の職務経歴書の書き方【例文付き】
ここでは職務経歴書の基本的な書き方を解説します。歯科衛生士としてアピールできる例文も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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表題・日付・氏名
一般的に最上部中心に表題「職務経歴書」と大きめに記載し、次の行で日付と氏名を右詰めで記載します。日付は面接時に渡す場合は提出日、郵送の場合は投函日を記入してください。履歴書と同時に提出する場合は同じ日付を記入し、和暦または西暦の表記を統一しましょう。
表題・日付・氏名の例文
職務経歴書 令和◯年◯月◯日 氏名 山田 花子 |
職務概要
職務経歴を3~4行程度に要約し、簡潔にまとめます。職務概要を記載するかは任意ですが、記載しておくと採用担当者が職務経歴を読む前にある程度の流れを把握しやすくなります。
転職回数が多い方や幅広い業務を行ってきた方は、特にアピールしたい内容に絞るとよいでしょう。
職務概要の例文
■職務概要
専門学校卒業後、歯科衛生士として医療法人社団◯◯歯科医院に◯年間勤務しました。予防処置や診療補助、保健指導を通じて患者様の口腔衛生の向上に貢献。特に歯周病患者様への対応に注力し、初期治療としてのSRPの実施や、ブラッシング指導を通じたセルフケアの定着支援を行いました。
職務経歴
職務経歴書のフォーマットには次のものがあります。
フォーマットの例
編年体形式 | 古い順から経歴を記載 |
逆編年体形式 | 現在から過去にさかのぼって経歴を記載 |
キャリア形式 | 職種や業務内容単位で経歴を記載 |
一般的には編年体形式で一社ごとに次の内容を記載します。
職務経歴の記載内容
・勤務先名(正式名称)
・雇用形態
・在籍期間
・事業内容
・診療科
・役職
・担当業務
・実績など
具体的な数字やエピソードを記載することで、採用担当者が応募者の能力を把握しやすくなります。
勤務先の情報
勤務先の従業員数や患者様数など具体的な数字を記載すると規模感が明確になり、採用担当者が求めている人材に近いか把握しやすくなります。
職務経歴の例文
■職務経歴
□令和◯年◯月~令和◯年◯月 医療法人◯◯会 ◯◯歯科医院
雇用形態:正社員
所属人数:医師◯人、歯科衛生士◯人、歯科技工士◯人、歯科助手◯人
患者数:外来:1日◯人、訪問:1日◯件
業務内容
使用器具や対応した治療方法などは具体的に記載しましょう。専門スキルを具体的に記載することで即戦力となる点がアピールできます。
業務内容の例文
【業務内容】
<担当業務>
〇以下の歯科業務に従事
・予防処置(SRP、シーラント、歯周ポケット検査など)
・診療補助(レントゲン撮影補助、バキューム操作など)
・保健指導(ブラッシング指導、生活習慣改善指導など)
・器具の準備・滅菌・消毒
・受付業務
実績
業務の実績は具体的な数字を記載すると、技術力がより伝わりやすくなります。詳細なエピソードや歯科医院へどのように貢献できたかなどの内容を盛り込むのもおすすめです。
実績の例文
【実績】
・訪問口腔ケア:◯年勤務(年間平均◯件対応)
・歯科医師の手術補助:◯年間で◯件の手術に従事
・口腔ケア指導マニュアルを作成し、予防処置の実施率を前年比◯%向上。患者様の定期的な口腔ケアの定着にも貢献
資格・資格
資格や免許は古く取得したものから記載します。歯科衛生士に関連する資格のほか、訪問診療に対応している歯科医院の場合は運転免許も記載しておくとよいでしょう。
履歴書に記載しきれなかった内容は、職務経歴書に記載することでこれまでの経験やスキルが明確になるため、担当者によりアピールできます。資格や免許は正式名称で記載し、以下のルールに沿って使い分けてください。
免許の場合:取得
免許証が交付されるものは「取得」と記載します。「歯科衛生士免許 取得」「普通自動車第一種運転免許 取得」のように記載しましょう。
試験の場合:合格
合格証明書が交付される場合は「合格」と記載します。「歯科医療事務管理士技能認定試験 合格」のように記載しましょう。
研修・講義の場合:修了
研修などを受講し修了証や認定証などが交付される場合は「修了」と記載します。「感染症予防歯科衛生士講習会 修了」などと記載しましょう。
活かせる経験・知識・技術
歯科衛生士としての実務経験や資格以外に活用できる能力がある場合は、任意で「活かせる経験・能力・知識」などの項目を作成します。
活かせる経験・知識・技術の例文
チームワーク向上や新人への教育指導、事務作業の経験などの詳細なエピソードがあれば記載しましょう。
例文
■活かせる経験・知識・技術
・パソコン操作◯年:院内システムや電子カルテの使用方法を熟知
・コミュニケーション能力:患者様一人ひとりに合わせて丁寧に対応し、不安や疑問を取り除いて信頼関係を築いた
自己PR
自分の強みや長所などアピールポイントを記載します。過去の実績やエピソード、応募先で貢献できること、将来の目標に向けて取り組んでいることなどを具体的に盛り込むと、仕事への熱意を伝えられます。
自己PRの例文
例文
■自己PR
小児歯科での勤務経験から、子どもが安心できる対応を心がけてきました。歯磨き指導や保護者へのアドバイスを通じて、家庭での口腔ケア習慣の定着を支援してきました。
歯科衛生士の職務経歴書を書く際の注意点

歯科衛生士としてより丁寧で、自分のスキルを伝えるための職務経歴書を作成する際は、次の2点に注意しましょう。
略語・略称を使用しない
職務経歴の勤務先名や資格・免許は正式名称を記載することが大切です。
たとえば勤務先名の場合「医療法人 △△病院」ではなく「医療法人財団◯◯会 △△歯科医院」のように記載します。資格・免許の場合は「自動車免許」ではなく「普通自動車第一種運転免許」のように記載してください。
過去の職場で独自に使用していた歯科業務の略語を記載した場合、別の病院では通じない可能性があります。正式名称を使用することで誰にでも理解しやすくなり、丁寧な印象も与えられます。
歯科衛生士としての業務内容を深掘りして書く
歯科衛生士の業務内容を深堀りして書くと、より伝わりやすくなります。たとえば小児、高齢者、妊婦など、患者層に合わせた対応や工夫を具体的に記載しましょう。
自己PRの例文
泣いて怖がるお子様には、好きなキャラクターのぬいぐるみを見せたり『歯をキレイにする道具だよ』など事前に何を行うのかを分かりやすく教えたりして、安心させる対応を心がけました。
歯科医院では院内感染に細心の注意を払う必要があります。感染対策に関する知識や、具体的な取り組みを記載するのもポイントです。
感染対策に関する知識や具体的な取り組みの例文
器具の滅菌・消毒を徹底、口腔外バキュームの活用、顎模型を使用した患者様への指導
歯科衛生士の職務経歴書に関するよくある質問
ここでは、歯科衛生士が職務経歴書を書く際によくある質問を4つ紹介します。歯科衛生士としての自分をより強く印象付けるためにも、ぜひ参考にしてください。
歯科衛生士の業務内容の書き方で特に意識すべきことは?

職務経歴では業務内容のほか、歯科医院の規模感や1日に対応した患者数、貢献してきた実績などをなるべく具体的に記載しましょう。
多岐にわたる業務の中で、特に力をいれてきた分野や経験を書くことが重要です。自身の経験や応募先の歯科医院に合わせてアレンジしましょう。
自己PRの例文
前職では予防歯科に力を入れ、患者様に定期検診を積極的に推奨した結果、担当患者の80%以上で口腔内状態の改善が見られ、再来院率も20%向上させました。
応募先の歯科医院への貢献意欲を具体的に示すには?
志望動機では応募先の歯科医院の理念や方針を理解し、共感する点や一緒に取り組んでいきたいことを具体的に伝えます。
また、応募先の歯科医院の課題やニーズを理解することも重要です。自身の経験やスキルでどのように貢献できるのかを提案するとよいでしょう。
志望動機の例文
貴院の「歯と口腔を生涯健康に」という理念に共感し、応募いたしました。前職では予防歯科を通じて患者様のQOL向上に貢献し、貴院でもその経験を活かせると考えています。
経験が少ない場合、職務経歴書に何を書けばよい?
歯科衛生士としての経験が少ない場合は、自己PRとして学生時代やブランク期間中に力を入れたことを記載しましょう。実習経験や育児、介護などで得た学びやエピソードを伝えることで、就業経験が少なくてもこれまでに取り組んできたことや真摯な姿勢がアピールできます。
自己PRの例文
家族の介護を通じ、口腔ケアが全身の健康に与える重要性を実感しました。介護期間中は高齢者の口腔衛生管理の難しさや必要性を学び、日々の介護で嚥下障害防止の体操や口腔ケアなどを実践してきました。
実習経験はどのように書けばよい?
職務経歴に実習経験を記載する際は、臨床実習先の情報(歯科医院名、診療科目、実習期間など)、実習内容(予防処置、診療補助など)を詳細に記載します。
自己PRには、実習を通してどのような知識や技術を習得し、応募先の歯科医院でどのように活かせるのかを記載することで、仕事に対する意欲が伝わるでしょう。
自己PRの例文
臨床実習では一般歯科に加え、矯正歯科や小児歯科、高齢者施設での対応を経験しました。特に小児患者様への対応では、円滑なコミュニケーションに手応えを感じました。貴院が力を入れている小児歯科において、この経験を活かしていきたいと考えています。
提出前の職務経歴書のチェックポイント
職務経歴書を書き終えたらそのまま提出するのではなく、ミスや改善できるポイントがないか確認しましょう。職務経歴書全体および自己PRでチェックするポイントがそれぞれあります。
①職務経歴書全体のチェックポイント
・職歴や実績を簡潔にわかりやすく伝えているか
・住所やプロフィール、連絡先に誤字脱字がないか
・使用可能ツールやスキルが記載できているか
・経験者は関わった案件の規模、経験が伝わるように書けているか
例:担当した患者数、ユニット数、関わった治療内容など
②自己PRのチェックポイント
・自己PRは応募先の企業に合わせたか
・専門分野(歯周治療、小児歯科など)や得意な処置があれば、具体的に記載したか
・自己PRとして自分が貢献できることが記載しているか
経験やスキルを効果的にアピールできる職務経歴書を作ろう

履歴書に十分に書けなかったことを職務経歴書に具体的に記載することで、歯科衛生士としてのこれまでの経験や培った技術、専門性を効果的に伝えられます。
職務経歴書作成ツール「ワンポチ」では、スマホやパソコンから手軽に職務経歴書を作成可能です。歯科衛生士向けの自己PR例文も用意しているため、参考にしながらスムーズに記入できるでしょう。
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【ディスクリプション】
歯科衛生士の職務経歴書は適切に書くことにより、自分の経験や技術を効果的に伝えられます。この記事では職務経歴書の基本的な構成から、歯科衛生士として採用されるための重要なポイントを詳しく解説します。例文もあるため、どのように記載すればよいか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。