薬剤師の職務経歴書の書き方とアピールポイント|例文も紹介

薬剤師としての就職・転職活動において、あなたの専門性と貢献意欲を鮮やかに示す職務経歴書は、採用を勝ち取るための決定的な鍵となります。この記事では、採用担当者の心を掴み、「ぜひこの薬剤師を採用したい」と思わせるための職務経歴書の書き方を徹底解説します。
薬剤師の職務経歴書作成のポイント

職務経歴書には、どれくらいの期間、どのような取り組みを行い、その結果どのような業績を上げたのかを具体的に盛り込みましょう。採用担当者は、職務経歴書に書かれた内容から求める実務のスキルや知識を持ち合わせているかを判断しています。
履歴書の志望動機や自己PRとの一貫性を持たせることはもちろん、履歴書の内容を深掘りして具体的にどのような成果を上げたのか明確に記しましょう。応募先にとって求めている人材だと思ってもらえるよう、しっかりアピールすることが大切です。
薬剤師の職務経歴書の書き方を項目別に解説
ここからは、職務経歴書の書き方を項目別に詳しく解説します。細かい注意事項も併せて確認しましょう。
標題・日付・氏名
表題は「職務経歴書」とし、本文よりも大きな文字で最上部の中央に記載します。日付は、郵送の場合は投函日、面接に持参する場合は持参当日の日付を入れてください。
履歴書と同時に提出する場合は、同じ日付にします。書類内に記載する日付は、和暦または西暦で統一し、混在しないようにしましょう。
職務要約
これまでの職歴を、簡潔にまとめます。職務要約の欄は、あくまでも導入部分です。詳細に記載し過ぎず、3~5行程度、150文字以内の文章にまとめましょう。読みやすくするために、箇条書きにしてもかまいません。勤務先の名称だけでなく、役職や経験した業務内容も盛り込みます。
職務経歴
職務経歴の欄に記載するのは、勤務先の名称、在籍した期間、雇用形態、事業内容、対応していた処方箋枚数、処方科目、役職、職務内容、実績などです。勤務先の名称は、略称を使わず正式名称で記載します。
職務経歴は、内容が単調で文字の羅列になりがちです。勤務先名や在籍期間を、太字にしたり下線を引いたりといった工夫をすると、読みやすくなります。
実績や成果といった、数値で示せるものは積極的にアピールしましょう。前職が病院の場合は、病院の規模がわかる病床数、職員数、診療科、薬局であれば応需している科目や店舗数、一日の処方箋枚数を具体的に記載します。店長やエリアマネジャー、管理薬剤師といった役職も、重要なアピールポイントです。
活かせる経験・知識・技術
ご自身の知識や能力、技術、経験をアピールする欄です。箇条書きでわかりやすく記載します。
薬剤師としての業務スキル以外に、PCやコミュニケーションのスキルなど、応募先で行う業務に関連させた内容が盛り込めると効果的です。例えば、コミュニケーション能力であれば「服薬指導や健康相談を1日〇件、△年間担当」といった具合に、具体的に記載します。
資格・免許
資格や免許は、取得した年月日の古い順に記載します。資格の名称は、一般的に使われている略称ではなく、正式名称を記載しましょう。認定・専門薬剤師の資格を取得している場合は、必ず記載しておきます。
英検やTOEICなど語学スキルの資格は一見薬剤師と関係ないように感じますが、製薬会社や一般企業で優遇されるケースもあります。
自己PR
職務経歴書の中で、一番重要な部分です。これまでのルキルや経験、能力や知識をしっかりとアピールします。応募先で貢献できることや、採用後に挑戦したいことも関連付けて、ご自身の強みとしてアピールしましょう。
長所や強みに関しては、実績やエピソードを盛り込むと、より具体的にイメージしやすくなります。アピールポイントを複数記載したい場合は、項目を分けてまとめます。
職務経歴書での薬剤師のアピールポイント

ここからは、職務経歴書で薬剤師としての強みをどのようにアピールするのかを職種別に解説します。ご自身の職歴と照らし合わせながら、参考にしてください。
自分のアピールポイントを考えるには?
ご自身のアピールポイントを押さえるには、職務経歴書を作成する前に以下の準備が必要です。
アピールポイントを考える時の準備
・対応してきた1日あたりの処方箋枚数や人数を具体的に洗い出す
・リーダーや教育担当など薬剤師以外の業務についても経験として書き出しておく
・応募先に相応しい人材だと思われるようなエピソードがあれば挙げておく
準備した内容を踏まえて、職務経歴書に記載しましょう。
病院勤務のアピールポイント
病院勤務の経験では、以下の点がアピールできます。
病院勤務のアピールポイント
・勤務先の診療科目
・1日の処方箋枚数
・チーム医療の経験
・役職
・病棟業務の経験
病院での勤務経験は、他の職種との関りや病棟業務といった病院独自の業務、役職や院内での委員会業務もアピールポイントになります。
チーム医療の経験者や資格保有者を限定して募集している場合は、関連業務に携わった経験や成果、実績を強くアピールしましょう。
要因勤務は、医療全般の高い専門性と知識習得への意欲が求められる勤務のため、継続的に学んだ分野があれば積極的に記載すると好印象です。
調剤薬局のアピールポイント
調剤薬局勤務の経験では、以下の点がアピールできます。
調剤薬局のアピールポイント
・1日の応需処方箋枚数
・薬剤師の人数
・主な診療科目
・かかりつけ薬剤師としての実績
・コミュニケーションスキルの高さ
・レセプト業務
・在宅医療の経験
・役職
調剤薬局の勤務経験では、1日にどれくらいの処方箋に対応していたのかが、大きなアピールポイントです。1日の応需処方箋枚数や、何人の薬剤師で対応していたのかを具体的な数字で示します。調剤薬局が応需していた主な診療科目や、在宅医療やかかりつけ薬剤師としての経験があればアピールしましょう。
調剤薬局を利用する患者様は、小さな子どもから高齢者まで幅広い年代層です。会話の中から困りごとを読み取ったり、ニーズをくみ取ったりする高いコミュニケーション能力が求められます。
「かかりつけ薬剤師として〇名を担当」と、具体的な数字と併せてアピールできると良いでしょう。
企業勤務のアピールポイント
企業勤務の経験では、以下の点がアピールできます。
企業勤務のアピールポイント
・医薬品の知識
・提案力
・担当業務
・業績面での実績
企業での勤務経験は、担当していた業務で多くのアピールポイントがあります。担当業務は、MR、WEBサイトのコンテンツ作成、のように採用担当者がイメージできるよう具体的に記載しましょう。
製薬会社の勤務経験では、医薬品に関する豊富な知識や相手先への提案力がアピール可能です。社内での実績や表彰歴も積極的にアピールしてください。
第〇位という順位だけでなく、「取引先の医療スタッフの方が疑問に感じた点について深く調べ、資料にまとめて情報提供を繰り返し行った」「新薬についてわかりやすい資料を作り、勉強会を行った」という取り組みや、その結果信頼を得て実績につながったことをアピールしましょう。
職務経歴書が不備なく簡潔にまとまっていると、ビジネスマナーの面からも好印象を与えられます。
ドラッグストア勤務のアピールポイント
ドラッグストア勤務の経験では、以下の点がアピールできます。
ドラッグストア勤務のアピールポイント
・担当業務
・業績面の実績や表彰歴
・コミュニケーションスキル
・マネジメント力の高さ
ドラッグストアの勤務経験では、具体的な担当業務の内容がアピールポイントです。店舗管理やマネジメント、教育担当の経験があればアピールします。
店舗の接客業務で培ったコミュニケーションスキルも、重要なアピールポイントです。店舗の売り上げ実績や表彰歴がある場合は、「OTC販売実績で全国〇位」といった具体的な業績に加え、どのような取り組みを行ったのかも含めて記載しましょう。
【例文】採用担当者の心を掴む自己PR

ここからは、自己PRのポイントを踏まえて作成した例文をご紹介します。しっかりポイントを押さえて書くことで、採用担当者の目に留まる職務経歴書が作成できます。
自己PRのポイント
自己PRでは、表彰やOTC販売実績〇位など、輝かしい経歴があれば積極的にアピールしましょう。
表彰された事実だけでなく、成果につながったプロセスやエピソードがあれば具体的に記載します。採用担当者の興味を引くには、「一生懸命頑張った」という抽象的な表現でなく、数値も盛り込んだ文章にすると具体性がアップして効果的です。
自己PRを作成する際は、応募先の企業理念や事業の方向性を確認しておきます。求められる人材や業務内容を理解した上で、採用されたらこれまでの経験をどのように活かして貢献できるのかを盛り込むことも大切です。
例文1|これまでの豊富な経験をアピール
これまでの経験を強みとしてアピールするには、勤務実績や勤務中の学び、工夫したことを記載します。採用されたら応募先にどのような形で貢献できるのか、具体的にアピールしましょう。
これまでの豊富な経験をアピールする自己PRの例文は、以下のとおりです。
自己PRの例文
私は、総合病院に7年間勤務して培った、コミュニケーション能力が自身の強みだと思っております。前職場では、病棟での服薬指導を担当しておりました。服薬指導では、患者様に効果や効能の他、副作用の可能性、副作用に対する対策などをわかりやすく説明する必要があります。正しい知識を深めることはもちろん、患者様の不安を取り除く説明が求められるため、自作でイラスト入りの説明書を作成して対応いたしました。患者様との対話を大切にし、他部署とのコミュニケーションを取りながら担当業務を行う中で、業務を円滑に運べるコミュニケーション能力が身についたと自負しております。貴院に採用された際には、これまで以上に日々の学びを深め、持ち前のコミュニケーション能力を活かして業務に対応していく所存です。
例文2|薬剤師としての志や仕事への姿勢をアピール
薬剤師としての志や仕事に対する姿勢をアピールしたい場合は、前職の経験を軸に記載します。前職で積極的に取り組んだ具体的な事例や学びを挙げ、応募先でどのように業務につながるのか記載しましょう。薬剤師として、常に学ぶ姿勢を持ち続けている点も記載しておくと好印象です。
薬剤師としての志や仕事に対する姿勢をアピールする自己PRの例文は、以下のとおりです。
自己PRの例文
医療に関する知識の習得には終わりがなく、薬剤師として日々の業務に尽力する傍ら、学びの姿勢を持ち続けております。前職の調剤薬局では在宅医療を担当していたため、薬剤の知識のみならず、患者様にお伝えする服薬方法や保管の工夫まで、幅広く知識を習得することを心がけました。患者様の中にはサプリメントを摂取している方も多く、薬剤との相互作用についてアドバイスが必要な場面がありましたので、サプリメントアドバイザーの資格を取得しました。貴院においても、薬剤師として正確に業務を遂行しながらも、さらなるスキルアップを目指して日々精進いたします。
例文3|自身の長所や人柄をアピール
長所や人柄を薬剤師の仕事に直接活かすことは、採用担当者に伝わりにくいかもしれません。前職での患者さんとのやり取りや、取り組みによって改善された事例を、具体的なエピソードを交えて記載しましょう。応募先の業務内容につなげて、今後どのように活かせるのかという点もアピールできるとより良いアピールになります。
自身の長所や人柄をアピールする自己PRの例文は、以下のとおりです。
自己PRの例文
私の強みは、持ち前の明るさと親しみやすさです。新卒で勤務した前職の病院では、知識や経験の面では先輩方にかないませんが、明るい笑顔だけは絶やさないよう心がけました。何気ない挨拶の際の笑顔や、患者様一人ひとりの声に耳を傾けて気持ちに寄り添った対応が「いつも笑顔で元気がもらえる」「しっかり話を聞いてくれるから、相談しやすい」といった声となって返ってきたときは、とても嬉しかったことを覚えています。貴院でも患者様の不安を取り除き、安心して治療を受けていただけるよう、笑顔を忘れず業務に励む所存です。
キャリアをしっかりアピールして採用につなげよう

職務経歴書は、薬剤師としてのスキルや経験をアピールできる大切な書類です。まずは、これまでの経験や具体的なエピソードを洗い出してみましょう。職務経歴や自己PRでは、具体的な数値やエピソードを盛り込みながら、応募先でどのような形で貢献できるのかにつなげます。
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