歯科衛生士の人材採用にあたって、志望動機は特に重要視されやすい書類の1つです。履歴書や職務経歴書と異なり、まとまった文章で応募者の考えを示す必要があるため、強みや真剣度を確かめるのに欠かせない資料となります。
今回は歯科衛生士の志望動機をテーマに、書き方のポイントや注意点、ケース別の例文をご紹介します。
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志望動機で自分の強みや熱意をアピールするには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。ここでは、志望動機を書く際のポイントを5つに分けて見ていきましょう。
まずは、「なぜ歯科衛生士として働きたいのか」を明確に表現する必要があります。それには、自身がどのような分野で活躍していきたいのかを検討することが大切です。
一口に歯科衛生士といっても、具体的な業務分野には一般歯科や小児歯科、訪問歯科、インプラントといったさまざまな種類があります。自分が志望する専門分野を明確にしたうえで、どのような点に魅力を感じ、なぜ働きたいのかをまとめましょう。
志望動機では、自身の強みやスキルをきちんとアピールする必要があります。しかし、単にスキルや経験を羅列するだけでは、医院側に採用することでどのようにプラスに働くのかが伝わりません。
説得力のある志望動機を書くには、培った経験やスキルをもとに、どのように応募先の業務へ活かせるのかを明示することが大切です。また、自身の強みや価値観については、具体的なエピソードと紐づけながら記載するのもポイントです。
実際に経験した事柄を交えて説明することで、内容に個性や説得力を持たせやすくなります。
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説得力のある志望動機を書くには、あらかじめ応募先についてよく調べておくことも大切です。歯科医院は数多く存在するため、単に歯科衛生士として働きたいという理由では、応募先に熱意を伝えることができません。
応募先によって経営理念や事業方針、得意とする分野などが異なるため、まずは丁寧に情報収集を行いましょう。そのうえで、自身の経験や価値観を踏まえながら、どうしてその応募先を選んだのかを明確に示す必要があります。
応募先の情報や業務内容を詳しく調べれば、どのような人材が求められているのかも把握しやすくなります。しっかりとリサーチを行えば、面接時の質疑応答などにも自信を持って臨めるでしょう。
採用を行う歯科医院からすれば、少しでも長く働いてもらえる人材のほうが採用する価値が高いと判断できます。採用してから戦力として活躍してもらうまでには、一定の時間と教育コストが必要になるため、人材が定着しなければ大きな損失につながってしまいます。
そのため、志望動機では、これからのライフステージの変化なども含めてどの程度働けるのかを明示するのもポイントです。「子育てが落ち着いてきて長期継続的に働ける環境を求めている」などの事情がある場合は、長く働ける点をアピールすることで、好印象を与えられる可能性もあるでしょう。
また、必要に応じて雇用形態などを考えることも大切です。選考通過率を高めるには、なるべく応募先が必要とする就労条件に沿うように心がけましょう。
歯科診療の技術は年々進化しているため、治療に携わる歯科衛生士にも新しいものを進んで学んでいく探究心が求められます。自身の積極性や主体性をアピールするためには、入職後にどのようなキャリア形成をしていくのかについても触れておくと、高評価につながりやすくなるでしょう。
そのためには、やはり応募先の求人情報や経営理念、ビジョンを確認しておく必要があります。医院の方針とマッチした形でキャリア形成を希望するほうが、採用側としても入職後に活躍してもらえるイメージを膨らませやすくなります。
また、5年や10年といった長期的なスパンでのキャリアビジョンを伝えれば、「長く働いてもらえる」という印象を与えることも可能です。
歯科衛生士として応募する際に、志望動機をまとめるときは例文を参考にしながら作成していくとスムーズです。ここでは、キャリア別の志望動機の例文を紹介します。
新卒採用で応募するケースの例文は、次のとおりです。
貴院を志望する理由は、「患者様に寄り添ったケアを行う」という診療方針に強い関心を抱いたからです。以前に貴院を訪れた際に、患者様1人ひとりにスタッフの方がお声がけしている姿を拝見し、患者様とのつながりを大事にされている印象を強く抱きました。
歯科衛生士として技術や知識を身につけることは大切ですが、患者様によって抱えられている不安はさまざまなものがあります。貴院での勤務を通じて、1人ひとりの患者様と向き合っていけるプロとして活躍していきたいと感じております。
新卒採用では、過去の勤務経験がないため、応募先のリサーチや実際に訪れたときのエピソードなどを志望動機に盛り込むことが大切です。
中途採用で応募するケースの例文は、次のとおりです。
私が貴院に応募した理由は、スタッフの研修を積極的に行い、常にスキルアップしている印象を受けたからです。前職では新人教育に携わりながら、私自身は独学で学ぶことが多く、スキルアップに限界を感じていた部分がありました。
新しい知識や技術が求められる歯科業界において、絶えずスキルを高められる環境に身を置くことはとても重要なものと認識しております。貴院での勤務を通じて、最新の技術を習得し、専門性の高い歯科衛生士として活躍していきたいと思っています。
中途採用で応募をするときは、スキルの向上といった前向きな理由を記載するほうが、志望動機をうまくまとめられるでしょう。
ブランクがある場合に応募するケースの例文は、次のとおりです。
貴院が掲げる「虫歯や歯周病などの口内の病気を未然に防ぐ歯科診療」という考えに強く共感し、志望しました。
私は以前、歯科衛生士として働いていましたが、出産や育児などで3年ほどのブランクがあります。幸いにもパートナーや両親の協力が得られるようになり、もう一度仕事に復帰したいと考えております。
子育ての経験を通じて、子どもが安心できる歯科診療のあり方について考える機会を得られました。特に予防歯科の重要性を認識しており、貴院が長年取り組まれている予防歯科の業務に携わることで、知識や技術を高め、一員として活躍していきたいと思っています。
子育ての経験を仕事に活かすといった流れで志望動機をまとめてみると、ブランクの期間があっても説得力のある文章になるといえます。
雇用形態を変えて応募するケースの例文は、次のとおりです。
貴院が掲げる「いつでも相談できる歯科医療を目指す」という診療方針に共感し、志望しました。
私は以前、歯科衛生士としてフルタイムで勤務をしておりましたが、両親の介護を機にパートタイムでの勤務を希望しています。一時期は仕事から離れることも考えましたが、今まで培ってきた経験やスキルを活かしたいと感じており、無理のない範囲で働けたらと考えております。
貴院は仕事と家庭を両立しながら働いているスタッフの方が多いとうかがっています。私もチームの一員として、仕事と家庭の両方を頑張りたいという他のメンバーをサポートし、明るく前向きに働ける職場づくりに貢献したいです。そして、患者様にとって地域の身近なクリニックとして頼られる存在になるよう努めたいと考えています。
なぜ雇用形態を変えて働きたいかの理由を盛り込み、どのような貢献ができるのかをまとめてみましょう。
歯科衛生士として応募するとき、志望動機の書き方は応募先によっても違ってきます。ここでは、応募先別に志望動機の例文を紹介します。
一般歯科に応募するケースの例文は、次のとおりです。
貴院を志望した理由は、「負担の少ない治療」という診療方針に共感したからです。貴院を見学させていただいたときに実感したのは、治療後の患者様がみなさん笑顔だったことで、大きな感銘を受けました。
歯の治療は、痛みで気分が沈んでしまいがちなところがありますが、貴院では最新の治療方法を常に研究されており、患者様にとってより負担の少ない治療を行われているものと認識しています。私も貴院での勤務を通じて、知識や技術を習得し、患者様が安心して通える環境づくりに貢献したいと思っています。
応募先の診療方針や治療の様子を把握しておくことで、志望動機をまとめやすくなるはずです。
小児歯科に応募するケースの例文は、次のとおりです。
貴院を志望した理由は、歯科衛生士が管理栄養士など他の専門家と連携しながら患者様と向き合っていることに素晴らしさを感じたからです。
歯科衛生士と働くうちに、小さなお子さんの治療にあたる機会もありました。「できるだけ痛くない治療をするにはどうすればいいか」といった研究を行っていくうちに小児歯科に興味を持つようになり、歯の健康や食育についても関心を抱き始めました。
他の専門家と連携し、歯の治療だけでなく、体の健康そのものを改善していく取り組みに共感しており、私もスタッフの一員として貢献していきたいと感じております。
小児歯科での勤務を志望する場合、特有の課題点などにふれておくと説得力のある文章になるでしょう。
審美歯科・矯正歯科に応募するケースの例文は、次のとおりです。
貴院が掲げる「歯科診療を通じて、心もケアする」という考えに強く共感し、志望しました。
私は一般歯科で長年勤務しておりましたが、多くの患者様と接するうちに、歯並びについて悩みを抱えている方が多いことに気づきました。独学で勉強を重ねているうちに、審美歯科について興味を抱くようになり、貴院の取り組みを知ることにつながりました。
貴院では、歯並びで悩みを抱えている女性の患者様に対し、女性の歯科衛生士が対応する仕組みを整えられています。患者様が安心して通院できる環境づくりに深く共感しており、私もこれまでの経験を活かしながら、1人ひとりの患者様に寄り添ったケアを行っていきたいと考えています。
審美歯科に通う人がどのような悩みを持っているかを把握したうえで、志望動機を書いてみると説得力を持たせることができます。
口腔外科に応募するケースの例文は、次のとおりです。
他分野の専門家と連携することで、知識を得られることに魅力を感じ、貴院を志望いたしました。
貴院は口腔外科の診療において、チーム医療を掲げられており、多くの患者様から支持を受けていることを知りました。さまざまな専門家がチームを組み、患者様やご家族のケアにあたられる姿勢を見て、私自身が長年考えていた理想の診療スタイルだと感じております。
前職では交通事故による外傷の治療を多く経験しており、そうした経験やスキルを貴院でも活かしてまいりたいと考えています。
口腔外科とは歯科疾患のことを指し、診療の対象となる範囲は幅広いのが特徴です。どの分野で活躍していきたいかを志望動機に盛り込んでみましょう。
訪問歯科に応募するケースの例文は、次のとおりです。
長年にわたって訪問歯科に力を入れている貴院を志望した理由は、歯の治療を行うだけでなく、患者様のご負担を軽減するために専用の往診車を導入し、きめ細やかな診療にあたっている点に感銘を受けたからです。
高齢社会の進展と共に、訪問歯科の重要性を改めて実感しております。私の祖父は自宅で転倒したことがきっかけで歯科医院に通うことが難しくなったため、訪問歯科を利用するようになりました。
丁寧に対応してくださるスタッフの方の様子を見て、私も歯科衛生士として何か役に立ちたいと強く感じるようになりました。
高齢社会である日本において、今後も訪問歯科の需要は高くなることが予測されます。訪問歯科にどのようなニーズが求められているかを理解して、志望動機を考えてみましょう。
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志望動機は基本的に自由に書くことができますが、記載することで評価を下げてしまいかねないNG表現があるのも確かです。ここでは、志望動機の記載時に意識しておくべき注意点について見ていきましょう。
志望理由や自己アピールを行う際は、できるだけ具体的な表現を心がけることが大切です。
「歯科衛生士として役に立ちたい」「コミュニケーションが得意」といった抽象的な表現では、どうしても採用担当者に魅力を伝えることはできません。
内容に具体性と客観性を持たせるためにも、志望に至った背景や強みを身につけた経緯は、具体的なエピソードを交えながら説明するようにしましょう。また、スキルや経験をアピールするうえでは、応募先の仕事でどう活かせるのかまで具体化する必要があります。
書いたものを読み返したり、周囲の人に読んでもらったりして、内容をブラッシュアップするとよいでしょう。
志望動機では基本的にネガティブな表現は避けるべきといえます。たとえば、転職の場合であれば、前職への不満に当たるような内容は控えるほうが無難です。
過去のマイナス要因に言及するよりも、新たな環境に身を移すにあたり、歯科衛生士として、どのような働き方をしたいのかを前向きにまとめるほうが印象はよくなるでしょう。また、自身の特性について触れる際も、不用意にネガティブな表現を使うのは避けるべきです。
志望動機を書くのは大変な作業ですが、複数の応募先で使い回しをすると、どうしても志望度が低く見られてしまう可能性があります。どこにでも当てはまるような内容では、「ほかの医院でもよいのではないか」と判断され、採用時に不利には働く恐れがあるので注意が必要です。
入職の意思をきちんと示すためにも、応募する際はその都度医院の特性に合わせて志望動機をまとめることが大切です。そのためには、事前の丁寧な企業研究が必須といえるでしょう。
志望動機は読み手の視点に立ってまとめ、読みやすい構成と表現を心がける必要があります。文章の長さにも気を配り、あまり長くなり過ぎないよう300字程度を目安にまとめましょう。
また、専門用語を用いる際は、正確な意味を理解したうえで記載することが大切です。業界用語の誤用があれば、それだけでスキルや経験の説得力が失われてしまうので、理解があいまいな状態で多用するのは避けましょう。
歯科衛生士は全国どこでも必要とされる職種であるため、活躍の場は多いといえるでしょう。しかし、希望するところに勤めるためには、他の応募者との差をつけて選考を勝ち抜いていく必要があります。
特に志望動機はじっくりと時間をかけて作成することが大切であり、ツールをうまく活用していくことも重要です。履歴書や職務経歴書をスマホから手軽に作成できる「ワンポチ」を活用すれば、志望動機の作成をスムーズに進めやすくなるでしょう。
多くの業種・職種に対応したテンプレートが用意されており、歯科衛生士として応募書類を作成するときも役立つはずです。志望先が決まったら、ぜひワンポチを活用してみましょう。
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