法務の職務経歴書の書き方|基本的なポイントと注意点を解説

法務の職務経歴書の書き方|基本的なポイントと注意点を解説


法務の仕事に応募する際は、今まで積み上げてきたスキルや経験を分かりやすく伝えるために、職務経歴書を作成する必要があります。書き方には一定のルールがあるので、基本的なポイントや注意点を押さえて書き上げてみましょう。

職務経歴書をしっかり仕上げておけば、その後の面接対策にもつながるので、じっくりと取り組むことが大切です。この記事では、法務の仕事における職務経歴書の書き方や記入例を詳しく解説します。

法務の職務経歴書の例文サンプル



法務の仕事に応募するための職務経歴書を作成するときは、主に職務要約、職務経歴、経験、スキル・資格、自己PRの順に内容を構成していくほうが読みやすいでしょう。まずは基本的な職務経歴書の記入例を紹介すると、次のとおりです。

職務経歴書の例文サンプル

20××年×月×日

氏名:〇〇 〇〇


■職務概要

私は大手電機メーカーにて、法務担当者として7年間の経験を積んでまいりました。主に携わっていた業務は、契約法務や商事法務に関するものですが、事業戦略としてのM&Aやコンプライアンスに関する組織体制の構築にも関わった経験があります。行政書士の資格を保有しており、会社法については知識だけでなく、実務でのとらえ方を深く身につけています。


■職務経歴

□20××年×月~20××年×月 〇〇株式会社

◆事業内容:電気機器の製造、販売

◆資本金△△百万円 売上高△△百万円 従業員数△△△名


【業務内容】


<担当業務>

・契約書や約款の作成

・文書のリーガルチェック(年間約400件)

・契約に関する社内マニュアルの作成、ルールの作成、実施

・コンプライアンスに関する社内研修の企画、実施

・株主総会事務局の責任者としての運営業務

・M&Aに関する戦略法務

・法改正への対応


■活かせる経験・知識・技術

・契約書の作成、リーガルチェック

・社内マニュアルの整備

・株主総会の運営に関する商事法務

・最新の法改正への対応

・Microsoft Officeの基本的な操作

・電子契約書等のクラウドソフトの取り扱い


■免許

・行政書士試験(20××年×月合格)

・ビジネス実務法務検定試験1級(20××年×月合格)


■自己PR

主に、契約法務や商事法務を中心にキャリアを築いてきたため、民法・商法・会社法に関する法務実務において経験と知識があります。前職では法務担当者として、契約書作成や法律相談、リスク管理に関する業務に携わってまいりました。また、M&Aやコンプライアンスといった事業戦略そのものに関わる業務経験もあります。貴社においては、今まで培ってきた幅広い知識や経験を活かして、貢献してまいりたいと思います。



次に、職務経歴書の各項目のポイントや書き方を見ていきましょう。

法務の職務経歴書の書き方・項目別の解説

法務の職務経歴書の書き方・項目別の解説


法務の仕事に応募するための職務経歴書をスムーズに作成するには、書き方の基本的なポイントや項目ごとの意味をきちんと理解しておく必要があります。ここでは、項目別に記載する内容を解説します。

職務要約

職務要約とは、職務経歴書に記載した経歴のあらすじをまとめたものであり、採用担当者の目に留まるように3~5行程度で書きましょう。自らの強みの中でも特にアピールしたい点を端的にまとめて、短い文章で書き上げることが重要です。

前職までの経験における対応や、応募する職種で必要とされるスキルや経験をもとに内容を整理していくと、良いアピールにつながるはずです。

職務経歴

職務経歴は今まで経験してきた仕事を時系列的に書いていくのが一般的ですが、複数の仕事を経験しているときはカテゴリー別にまとめるほうが読みやすいでしょう。また、勤務したことがある企業情報の概要や事業内容について、データを用いて示したほうが分かりやすいといえます。

ただ、あくまで概要を伝えればよいので、あまり細かな点まで書く必要はありません。記憶だけに頼ってしまうと間違った情報を書く恐れがあるので、各企業のホームページで情報を確認してから記入しましょう。

業務内容

今までに経験した業務内容については、職務経歴の箇所にひとまとめにして問題ありません。採用担当者が必ずしも法務に関する業務に詳しいとは限らないので、できるだけ専門用語を使わずに誰にでも分かるように書いていくことが大切です。

法務に関する主な業務内容としては、契約法務・商事法務・戦略法務・コンプライアンス・社内の法律相談窓口・訴訟法務・知財といったものが挙げられるでしょう。過去の経験と照らし合わせて、しっかりと記入してみましょう。

スキル・資格

スキルに関しては、職務経歴の内容を踏まえて、今まで担当した業務を通じてどのようなスキルが身についたのかを箇条書きでまとめてみましょう。細かなものまで書こうとすると文章が長くなるため、主な内容を整理して書くことが大事です。

また、法律に関する免許や資格を取得しているときは、取得年月とあわせて記載しましょう。免許や資格の名称は省略せずに、正式名称を主催団体のホームページで確認をして正しく書きます。

複数の免許や資格を持っている場合は、応募する職種に関連性のあるものを優先させて書きましょう。また、法務の仕事が未経験であっても、PCの操作スキルや語学力といったものは幅広い職種で求められる能力でもあるため、積極的にアピールしてみましょう。

自己PR

職務経歴書における自己PRは、自らの強みや人柄を採用担当者に知ってもらうために作成するものです。ただ、今まで経験してきたことを単に「書類作成に自信があります」といったように書くのではなく、「営業スタッフと連携し、速やかに見積書や契約書が作成できるよう、社内で使用するテンプレートやマニュアルの作成に取り組みました」と書くほうが、説得力のある文章になるといえます。

具体的なエピソードを紹介しながら、応募先の企業や職種でどのようにスキルや経験を活かし、貢献できるのかを整理してみてください。また、今後挑戦したい目標やキャリアプランがあれば、具体的に書いておくほうが貢献意欲のアピールにつながるはずです。

自己PRの文章は長々と書いてしまうと読みづらいだけでなく、アピールしたいポイントが曖昧になってしまうので、具体的なエピソードを1つに絞って簡潔に内容をまとめてみましょう。

法務の職務経歴書を書くときのポイント

法務の職務経歴書を書くときのポイント


法務の仕事に関する職務経歴書を書くときは、次のようなポイントを押さえておく必要があります。

法務の職務経歴書を書くときの3つのポイント

・法務のキャリアを具体的に記載する
・経験から即戦力になることをアピールする
・具体的な数字を盛り込む

各ポイントについて見ていきましょう。

法務のキャリアを具体的に記載する

法務関係の職種に応募するのであれば、法務に関連したキャリアを中心に職務経歴書をまとめるほうがよいといえます。1つの分野で一貫したキャリアがあると説得力が増しやすくなるので、同じ分野での仕事の経験はできるだけ1つにまとめてみましょう。

一方で、複数の分野で仕事の経験があるときは、それらの経験を応用して応募先の企業でどのような貢献ができるのかを自己PRに書いておくことが大切です。自分の強みとなる点がどこにあるのかを整理してみましょう。

経験から即戦力になることをアピールする

法務の仕事は専門分野の領域でもあるため、経験したことがある業務であれば、入社後すぐに即戦力として活躍できる場合があります。募集要項の内容を確認して、どの業務であれば自分のスキルや経験を活かせるのかを整理してみることも重要です。

一般的な企業においては、商事法務や契約法務といった業務が多いので、応募先の企業でそうした業務経験が求められているかを確認してみましょう。また、複数の企業に応募するときは、それぞれの応募先に合わせて、求められている法務のキャリアを整理してみてください。

具体的な数字を盛り込む

職務経歴書を書くときに気をつけておきたいのが、実績をできるだけ数字で示す点が挙げられます。文章だけで内容をまとめるよりも伝わりやすいため、数字に置き換えて説明できるところがないかを確認してみましょう。

数字に置き換えるのが難しい場合でも、「書類作成のプロセスを見直すことで業務効率化につながり、30%の業務削減につなげました」といったように、書き方は工夫できます。具体的な数字を明示するほうが、採用担当者の中でイメージがしやすくなり、印象に残りやすいといえます。

【分野別】法務の職務経歴書の例文サンプル

法務の職務経歴書における分野別の例文


法務の仕事に応募するときは、自分が得意とする分野別に書き分けていく必要があります。スムーズに作成を進めていくためにも、分野ごとの書き方を解説します。

商事法務

商事法務は、主に株主総会や取締役会の円滑な運営を行うための業務です。会社法に関する基本的な理解といった点がアピールポイントになるでしょう。

職務経歴書の例文サンプル

20××年×月×日

氏名:〇〇 〇〇


■職務概要

私は外国語大学卒業後に総合商社に入り、主に株主総会に関する運営業務や取締役会の実施に関する業務を担ってまいりました。外国人株主の割合が多い企業であったため、英文で書類を作成することも多く、語学力は実務レベルで身についております。


■職務経歴

□20××年×月~20××年×月 〇〇株式会社

◆事業内容:総合商社

◆資本金△△百万円 売上高△△百万円 従業員数△△△名


【業務内容】


<担当業務>

・株主総会、取締役会の運営業務

・会社資料の翻訳業務

・弁護士や公認会計士等の専門家への相談対応


■活かせる経験・知識・技術

・英文での文章作成スキル

・英語での問い合わせ対応

・各種専門家との調整対応

・株主総会、取締役会の運営


■資格

・実用英語技能検定1級(20××年×月合格)

・ビジネス実務法務検定試験2級(20××年×月合格)


■自己PR

私は学生の頃から語学に関心が強く、大学の卒業後は外資系の総合商社で勤務しておりました。株主総会や取締役会の円滑な運営に関する業務に携わり、英文で書類を作成する経験も多く積んでまいりました。貴社においては、今後海外での事業展開を促進させるとのことであるため、前職までに培った知識や経験が活かし、貢献していきたいと思います。


契約法務

契約法務は、一般的な企業において法務の仕事のメインとなるものであり、契約書の作成件数や審査を行った数は実績としてアピールしやすいものです。どのような書類を処理してきたのかを具体的に書いてみましょう。

職務経歴書の例文サンプル

20××年×月×日

氏名:〇〇 〇〇


■職務概要

大手化学メーカーに就職後、約6年にわたって法務担当者として、企業のリスク管理に携わってきました。取引先様との契約書の作成業務やリーガルチェック、リスク管理に関する業務全般に携わった経験があります。年間のリーガルチェックの件数は500件を超えており、専門分野として得意としております。


■職務経歴

□20××年×月~20××年×月 〇〇株式会社

◆事業内容:化学製品の製造、販売

◆資本金△△百万円 売上高△△百万円 従業員数△△△名


【業務内容】


<担当業務>

・契約書の作成(年間300件以上)

・リーガルチェック(年間500件以上)

・リスク管理に関する業務(企画立案、年間の実施計画の策定、改善の提案)

・社内研修の実施(新入社員や中途採用者向け)

・コンプライアンスに関する業務


■活かせる経験・知識・技術

・日常的な契約書の作成、リーガルチェックのスキル

・企業の内部統制に関するリスク管理やコンプライアンスの知見

・法令遵守に関するリテラシーの向上のための社内研修の実施、指導

・最新の法改正への対応


■資格

・普通自動車第一種運転免許(20××年×月取得)

・ビジネス実務法務検定試験2級(20××年×月合格)


■自己PR

私は化学メーカーに6年勤務した経験から、日常的な契約法務を得意としています。契約書の作成やリーガルチェックといった正確性が求められる業務をミスなく処理するだけでなく、作業効率化のためにマニュアルの作成や部署間の連携のあり方を見直すことにも取り組みました。業務効率化の取り組みによって、契約法務に関わる全体的な作業時間を40%削減することにつなげました。貴社においても、今までの知識や経験をもとに、契約法務だけでなく業務効率化の面でも貢献してまいりたいと考えています。



コンプライアンス

企業のコンプライアンスの課題は、近年さまざまな業界で話題となっています。どのように内部体制の構築に貢献してきたのかを記載してみましょう。

職務経歴書の例文サンプル

20××年×月×日

氏名:〇〇 〇〇


■職務概要

私は大学卒業後、システム開発会社において主にコンプライアンスに関する業務を担当してきました。コンプライアンス研修の実施やマニュアルの整備に取り組み、予防法務に関する多くの実務を担ってまいりました。また、訴訟対応やクレームに関する対応に迅速に対応し、企業価値を守る役割において貢献しました。


■職務経歴

□20××年×月~20××年×月 〇〇株式会社

◆事業内容:システム開発

◆資本金△△百万円 売上高△△百万円 従業員数△△△名


【業務内容】


<担当業務>

・コンプライアンス研修の実施(管理職、関連会社向け)

・社内マニュアルの作成と周知

・訴訟対応

・クレーム対応

・弁護士等の専門家への相談対応


■活かせる経験・知識・技術

・最新の法改正への対応業務

・管理職向け、関連会社向けの研修の実施

・企業価値を守るための訴訟対応、専門家との調整

・SNS等のクレームへの対応

・Microsoft Officeの操作スキル


■資格

・20××年×月 普通自動車第一種運転免許(20××年×月取得)

・20××年×月 ビジネス実務法務検定試験1級(20××年×月合格)


■自己PR

システム開発会社において、コンプライアンスに関する業務やSNSでのクレーム対応に従事してまいりました。日頃から法的なトラブルができるだけ発生しないように努める一方で、実際にトラブルが生じたときは速やかな訴訟対応に取り組んでおりました。貴社においても企業価値を守り、高めていくために貢献したいと考えており、今までの知識や経験を活かしていきたいと思います。


知財

知財法務に関する経験は、特に開発部門を持つ製造業で注目される点だといえます。知的財産権に関する専門性をアピールしてみましょう。

職務経歴書の例文サンプル

20××年×月×日

氏名:〇〇 〇〇


■職務概要

私は大学卒業後に、大手アパレルメーカーに就職し、主に知財法務の担当者として10年以上の経験を積んできました。著作権や特許権といった知的財産に関わる分野で専門知識を身につけており、訴訟対応にも携わってきました。知財法務の仕事は、契約法務のメンバーと連携しながら動くことも多く、コミュニケーションやチームワークを重視して仕事に取り組んできました。


■職務経歴

□20××年×月~20××年×月 〇〇株式会社

◆事業内容:アパレル事業

◆資本金△△百万円 売上高△△百万円 従業員数△△△名


【業務内容】


<担当業務>

・国内特許の出願に関する業務

・外国特許の出願に関する業務

・調査業務(出願前調査、特許侵害調査)、調査報告書の作成

・知財ライセンス契約に関する業務

・特許侵害への訴訟対応


■活かせる経験・知識・技術

・知的財産権に関する専門知識

・学術機関との技術研究の連携

・調査業務におけるリサーチ力

・訴訟対応に関するスキル

・Microsoft Officeの操作スキル


■資格

・知的財産検定1級(20××年×月合格)

・弁理士資格(20××年×月合格)


■自己PR

私はこれまでに知的財産に関する多くの業務を担ってきた経験から、企業価値を守るための役割に努めてまいりました。国内外の特許出願に関する業務や、学術機関や専門家との連携、特許侵害への訴訟対応といった形で、幅広い経験があります。貴社においても、知的財産戦略を積極的に推し進めていくために、知的財産活動の体制をしっかりと構築できるように貢献してまいります。



法務の職務経歴書を提出する前のチェックポイント

法務の職務経歴書を提出する前のチェックポイント


職務経歴書を作成したら、すぐに提出するのではなく、記載内容の誤りや記入漏れがないかをきちんとチェックしてみましょう。誤字脱字や年号の誤りといった点は、履歴書を作成している段階では気づきにくいものなので、作成後に少し時間を置いてから確認することが大切です。


また、職務経歴書の内容に問題がなくても、履歴書といった他の応募書類と内容に齟齬が生じるケースもあります。時間をかけて見直すと同時に、身近な友人や家族にも協力してもらって確認をするほうが、ミスを防ぐことができるはずです。

職務経歴書の書き方の基本を押さえて、法務の仕事に応募しよう

職務経歴書の書き方の基本を押さえて、法務の仕事に応募しよう


職務経歴書を作成するときは、一定のルールに沿って書いていく必要があるので、まずは基本的なポイントを押さえておくことが重要です。そのうえで、応募先の企業が求める人材像や、応募する職種の内容に合わせて書いていきましょう。

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