就職活動において履歴書は最初の関門であり、企業に自分を売り込む重要なツールです。しかし、せっかくの努力も、ちょっとした書き方や言葉遣いで台無しになってしまう可能性があります。本記事では履歴書に書いてはいけないNGワードと、より良い印象を与えるための注意点について解説します。
ここでは、履歴書の基本的な書き方と、書いてはいけないNG表現について、項目別にご紹介します。
履歴書の日付は、応募書類を提出する日を記入します。作成した日ではなく、郵送の場合は投函日、面接で手渡しする場合は面接日となります。
正しい書き方
「令和〇年〇月〇日」:和暦でシンプルに
「2024年3月20日」:西暦でシンプルに
「令和〇年〇月〇日」:元号と西暦を併記
NG表現
「本日」:具体的な日付が不明確でNG
「作成日」:提出日と異なるためNG
「令和〇年〇月〇日(水)」:曜日まで記載すると冗長
履歴書の住所は、正確かつ丁寧に記入することが重要です。
正しい書き方
「〒〇〇〇-〇〇〇〇 東京都渋谷区〇〇町〇〇番地 〇〇号〇〇マンション101号」
郵便番号、都道府県、市区町村、町名、丁目、番、号、マンション名、部屋番号を全て記入します。
NG表現
「東京都渋谷区〇〇町〇-〇-〇」:ハイフンではなく、丁目、番、号を用いる
「渋谷区〇〇町」:都道府県を省略しない
「〇〇マンション」:マンション名も省略しない
履歴書の学歴は、一般的に中学校卒業から現在までを時系列順に記入します。
正しい書き方
「20XX年3月 〇〇市立〇〇中学校 卒業」:学校名、卒業年月を省略せずに記入
「20XX年4月 〇〇県立〇〇高等学校 入学」:入学年月も記入
「20XX年3月 〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 卒業予定」:卒業見込みの場合は「卒業予定」と明記
「20XX年4月 〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 入学」:現在の状況も記入
NG表現
「中卒」:正式名称で「中学校卒業」と記入
「〇〇高等学校」:正式名称で「〇〇県立〇〇高等学校」と記入
「〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科」:正式名称で「〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 卒業見込み」と記入
「〇〇予備校」:塾や予備校、英会話教室などは記入不要
履歴書の職歴は正社員だけでなく、インターン経験も記入します。アルバイトは職歴に含まないので注意しましょう。
正しい書き方
「20XX年4月~20XX年9月 株式会社〇〇 営業部 勤務」:会社名、部署名、勤務期間を省略せずに記入
「営業事務」:具体的な職種を記入
「顧客対応、資料作成、データ入力」:具体的な業務内容を記入
「20XX年7月~20XX年8月 株式会社△△ インターン」:長期インターンの経験は職歴として記入
職歴ごとに、会社名、部署名、勤務期間、職種、業務内容、成果などを記入します。読みやすく、簡潔にまとめましょう。
履歴書の免許欄は、仕事に役立つ免許を正確かつ丁寧に記入しましょう。原則として取得年月日順に書きます。
正しい書き方
「普通自動車運転免許」:免許名を正式名称で記入
「20XX年3月」:取得年月日を記入
「大型自動車免許」:複数免許を持っている場合は、取得年月日順に記入
「フォークリフト運転技能講習修了」:運転免許以外にも、仕事に役立つ資格があれば記入
車で通勤を考えている人は運転免許などを記載しましょう。
NG表現
「普通自動車免許」:正式名称で「普通自動車運転免許」と記入
「大型免許」:正式名称で「大型自動車免許」と記入
「二輪」:正式名称で「自動二輪免許」と記入
「取得年月」:取得年月日を省略せずに記入
「通勤用」:免許の取得理由を記入する必要はない
履歴書の資格は、原則として取得年月日順に記入します。
正しい書き方
「20XX年1月 実用英語技能検定 準1級 取得」:資格名、取得年月日を省略せずに記入
「20XX年4月 日商簿記検定2級 取得」:複数の資格を持っている場合は、取得年月日順に記入
資格名は正式名称で記載しましょう。
NG表現
「英検」:正式名称で「実用英語技能検定」と記入
「簿記2級」:正式名称で「日商簿記検定2級」と記入
「パソコンスキル」:具体的なスキルを記入
なにもない場合は「特になし」と記載します。
志望動機は大きく3つの要素で構成されます。
・なぜその業界・職種を志望するのか
・なぜその企業を志望するのか
・入社後にどのように貢献したいか
これらの要素を明確に伝えることで、説得力のある志望動機になります。単に「○○の仕事に興味がある」というだけでは、なぜその企業なのかが伝わりません。応募企業の特徴や強みや過去の経験やスキル、入社後に実現したいことなどを具体的に書き、その企業でなければいけない理由を明確にしましょう。
NG表現
「安定志向」: 安定志向が悪いわけではないが、他に志望理由がないように見えてしまう可能性がある
「給与が良い」: 給与は重要な要素だが、それだけが志望理由だと熱意が伝わらない可能性がある
「家から近い」: 通勤距離は考慮されるが、それだけが志望理由だと本気度が伝わらない可能性がある
「ブラック企業ではない」: ネガティブな表現は避ける
自己PRは大きく3つの要素で構成されます。
・自分の強み
・強みを裏付ける具体的なエピソード
・強みを活かして、どのように企業に貢献できるか
これらの要素を明確に伝えることで、説得力のある自己PRになります。
抽象的な表現ではなく、具体的なエピソードを通して自分の強みを伝えましょう。数字や成果などを盛り込むと、より説得力が増します。
NG表現
「努力家です」: 努力は大切だが、具体的にどのような努力をしたのかを伝えないと説得力がない
「協調性があります」: 協調性があることは良いが、具体的なエピソードがないと、単なる自己満足に聞こえる
「コミュニケーション能力が高いです」: コミュニケーション能力が高いとしても、どのような場面でどのように発揮したのかを伝えないと説得力がない
履歴書全体を通して、書いてはいけないこともあります。ここでは、履歴書を作成するうえで知っておきたい、書いてはいけないことをご紹介します。
御社・御行は話し言葉、貴社・貴行は書き言葉です。話し言葉と書き言葉を混同しないように注意しましょう。
面接や電話などの話し言葉: 御社・御行
履歴書や職務経歴書などの書き言葉: 貴社・貴行
例文
面接:
「本日はお忙しい中、面接の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。御社の事業内容に大変興味があり、ぜひ貢献したいと考えております」
履歴書:
「志望動機:貴社の革新的な技術力と高い成長率に魅力を感じ、ぜひ自分のスキルを活かして貢献したいと考えております」
ら抜き言葉は丁寧さや知性がない印象を与えてしまうので、ビジネスシーンでは不適切です。可能形の「られる」を意識したり、言い換えを検討したりして、ら抜き言葉を使わないようにしましょう。日常的に使用していると、書き言葉でも出てしまう可能性が
あるので注意が必要です。
ら抜き言葉の例
・食べれる
・見れる
・来れる
・寝れる
・始めれる など
履歴書や職務経歴書などの書類作成時には、特に注意しましょう。ら抜き言葉は地域によっては方言として使われている場合もありますが、フォーマルな場面では標準語の使用が望ましいとされます。
履歴書や職務経歴書などの書類では、略称ではなく正式名称を使うのが一般的です。学校名なども正式名称で書きましょう。
略称の例
学校名:〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科
〇〇高等学校
〇〇中学校
〇〇小学校
会社名:(株)〇〇 → 株式会社〇〇
資格名:ITパスポート → 情報処理技術者試験 基本情報技術者試験
免許名:普通自動車免許 → 普通自動車第一種運転免許
履歴書では、以下のような抽象的な表現はできるだけ使わないようにしましょう。
・さまざま
・いろいろ
・多様な
・豊富な
・幅広い
・多くの
これらの表現は、具体的な内容が伝わりにくいため、アピールポイントが不明瞭になり、採用担当者に誤解を与えてしまう可能性があります。
例文
正しい表現
営業部にて、新規顧客開拓、既存顧客への提案、顧客フォローなど、幅広い業務を担当しました。
目標達成のために、毎日2時間以上の自主学習を行い、スキルアップに努めました。
NG表現
・さまざまな業務に携わりました。
・いろいろと努力しました。
・さまざまなスキルを習得しました。
敬語表現も間違えやすいポイントです。ここでは、敬語表現の種類や使い方をご紹介します。
日本語には、相手への敬意を表すために、丁寧語、尊敬語、謙譲語の3種類の敬語表現があります。
1.丁寧語
話し相手への敬意を表す表現
・です・ます
・ご
・お
・〜ください
・〜させていただきます
2.尊敬語
相手や相手に関わる人や物事を敬う表現
・〜いらっしゃる
・〜なさる
・〜られる
・お〜になる など
・謙譲語
自分が相手に対してへりくだる表現
・〜いたします
・〜させていただきます
・〜伺う など
これらの言葉遣いを適切に使い分けることで、相手への敬意を伝えることができます。不安な場合は、辞書などで確認しましょう。
ここでは、履歴書の本人希望欄に書いてはいけない言葉をご紹介します。
履歴書や職務経歴書の本人希望欄には、給与・待遇などの希望は基本的に書かないことが一般的です。一方的に希望を伝えるのは、わがままな印象を与えてしまう可能性があります。
企業側が提示する条件と希望が大きく異なる場合、書類選考で落とされる場合も考えられます。給与・待遇は、面接や内定後の交渉で決めることが一般的です。給与・待遇は、企業によって大きく異なるため、事前にしっかりと情報収集することが重要です。
志望動機は「志望動機欄」に、自己PRは「自己PR欄」に記入し、本人希望欄には書かないようにします。専用欄以外の場所に記入すると、書類が読みづらくなり、良い印象を与えません。書類がきちんと作成できない人間として、書類選考で落とされる可能性もあります。
また、他の項目と混ざり合い、内容が伝わりにくくなるでしょう。ただし、応募書類の書き方は、企業によって異なる場合があるので、指示に従って記入しましょう。
本人希望記入欄に特に希望がない場合は、「貴社の規定に従います」と記載するのが一般的です。「貴社の規定に従います」と書く理由は以下のものが挙げられます。
・希望がないことを明確に伝える
・丁寧な印象を与える
・書き漏れと思われるのを防ぐ
「特になし」は、そっけない印象を与えてしまう可能性があるので避けましょう。また、空欄にすると記入漏れと思われたり、不誠実な印象を与えたりする可能性があります。
ここでは、履歴書の自己PR欄に書いてはいけない言葉をご紹介します。
一見メリットに見える「頑張り屋」「リーダーシップ」なども避けた方が無難です。理由は以下の通りです。
1.頑張り屋
・誰でも使える抽象的な表現
・具体的なエピソードがないと、説得力がない
・単に長時間働けるだけという印象を与えてしまう
2.リーダーシップ
・具体的なエピソードがないと、ただの自己主張
・リーダーシップを発揮した結果が伴わないと意味がない
・トラブル仲裁話などはプラス材料になりにくい
抽象的な表現は、かえってマイナスの印象を与えてしまうため、具体的なエピソードがなければ書かない方が良いでしょう。
好きなことを書くだけでは、アピールにはなりません。多くの人が好きなことを書いても差別化にならないためです。また、それが仕事にどのように活かせるのかが伝わりにくく、単に自己満足に終わってしまいます。
好きなことを仕事に活かせる理由を具体的に説明することで、熱意と能力をアピールできます。
例文
好きなこと: 旅行
エピソード: これまでに20ヶ国以上を訪問し、さまざまな文化や価値観に触れてきました。
活かせること: 旅行で培ったコミュニケーション能力と異文化理解力を活かして、貴社のグローバル化に貢献したいと考えております。
履歴書に業界用語を書くのは避けましょう。採用担当者が理解できない可能性や誤解を招く可能性があります。また、不必要に専門性を強調しているように見えてしまいます。業界用語ではなく、正式名称で書くことで、誰でも理解できるようにしましょう。
どうしても業界用語を使う必要がある場合は、説明を加えることがおすすめです。また、業界用語が正式名称として広く使われている場合は、併記しても問題ありません。
「なんでもできます」という文言は誰でもできるため、差別化できないことにより推奨されません。また、具体的な経験やスキルが示されていないため、実際に仕事ができるかどうか疑問を持たれる可能性があります。単になんでもできると言っているだけでは、企業への貢献意欲や熱意が伝わらないでしょう。「なんでもできます」ではなく、自分の強みや経験を具体的にアピールしましょう。
例文
「私は、コミュニケーション能力と問題解決能力に自信があります。学生時代は、イベント実行委員としてチームワークを重視し、メンバー間の意見を積極的に聞き取り、円滑な運営に貢献しました。貴社でも、これらの能力を活かして、チームワーク向上に貢献したいと考えております」
履歴書の自己PRが自慢話にならないようにしましょう。採用担当者に傲慢な印象や協調性がない印象を与えてしまう可能性があります。自慢話ではなく、自分の能力をアピールできる文章を心がけましょう。具体的なエピソードに基づいて、自分の能力がどのように仕事に役立つかを伝えることが大切です。
例文
「私は、前職でトップセールスを達成した経験があります。その経験で培った顧客との信頼関係構築スキルを活かして、貴社でも顧客満足度向上に貢献したいと考えております」
ここでは、履歴書を書く際の細かい注意点をご紹介します。
履歴書を書く際には、語尾を統一することが重要です。語尾は、「である調」または「ですます調」のどちらかに統一しましょう。
である調: 簡潔で明快な印象を与える
ですます調: 丁寧で柔らかい印象を与える
一般的には、「ですます調」の方が丁寧な印象を与えるためおすすめです。
語尾が混ざっていると、以下のような印象を与えてしまいます。
読みづらい: 文章がまとまらず、読みづらくなってしまう
丁寧さが欠ける: 丁寧な言葉遣いをしていないように見えてしまう
不誠実: 誤字脱字が多いように見えてしまう
履歴書の空欄をできるだけ埋めましょう。空欄が多いと、以下のようなマイナス印象を与えてしまいます。
志望度が低い: 応募企業への関心が低いと思われてしまう
準備不足: 履歴書作成に十分な時間を割いていないと思われてしまう
不誠実: 誤字脱字が多いように見えてしまう
学歴、職歴、資格、免許など、記入できる項目はできるだけ埋めましょう。経験やスキルがなくても、関連する内容があれば記入します。ただし、空欄を埋めるために、小さい字でびっしりと書くのは避けましょう。読みづらく、丁寧さが欠けるように見えてしまいます。
履歴書に修正ペンやテープを使うことは避けましょう。修正ペンやテープを使った履歴書は、雑で準備不足というマイナスな印象を与えてしまいます。
修正箇所がある場合は、一から書き直すことがおすすめです。時間がかかっても、丁寧に作成することが重要です。手書きの場合は黒のボールペン、パソコンの場合は読みやすいフォントで記入します。いずれも、誤字脱字がないように注意しましょう。
履歴書は、採用担当者に自分のスキルや経験をアピールする重要な書類です。しかし、そこにNGワードを書いてしまうと、マイナス印象を与えてしまう可能性があります。代表的なNGワードを知り、書き終えた後はしっかりとチェックを行いましょう。
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