中退は履歴書にどう書く?理由の正しい書き方や例文をもちいて解説

高校や大学を中退したことがある方は、「中退は履歴書にどうやって書くの?」と悩まれるのではないでしょうか。本記事では、就活生や転職活動中の方へ向けて、中退の事実がある場合に履歴書にどう書くべきか、中退理由の書き方について例文と併せて解説します。中退のことをどうやって履歴書に書いたらよいか悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

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中退は必ず履歴書に書くべき

中退したのであれば、履歴書の学歴欄に必ず書かなければいけません。学歴に事実を記載しなければ、それは学歴詐称になってしまうためです。

高校や大学は義務教育ではないため、人によっては何らかの事情により中退することもあります。「中退は恥ずかしい」「面接でマイナスになりそう」などの理由から、履歴書に書きたくないと考えるのも仕方ないことかもしれません。しかし、就活や転職活動において応募者は誰もが履歴書を正確に書かなければいけません。中退である事実を隠すことは、公平な就活・転職活動における明らかなルール違反であるためです。隠すための手段として、中退ではなく「卒業」と書く、大学中退を知られないために「高校までの学歴」までを書くといったこともルール違反なので絶対にやめましょう。

履歴書には、中退の有無だけでなくその他学歴に関すること、職歴・免許や資格・アピールポイントなども嘘偽りなく書くことが大切です。嘘の内容はバレてしまうリスクが大きく、自分自身が後になって罪の意識に苛まれる可能性があるため、中退の事実は必ず記載するようにしましょう。

中退を書かずにバレるとどうなる?

もし履歴書に中退と書かずに偽ったことがバレると、内定取り消しなどはもちろん最悪の場合、犯罪として罪に問われる可能性もあります。

そもそも、履歴書とは公文書扱いの書類であるため、履歴書には事実のみを記載しなければいけません。嘘を書いたり事実を隠したりすれば、経歴詐称として文書偽造罪や軽犯罪法違反、詐欺罪などの法的な罪に問われる可能性があるのです。

また、中退が後からバレてしまうと、企業側から専攻中止や内定取り消しを通達されたり、民事訴訟を起こされて損害賠償請求されたりすることもあります。入社後であれば、同僚からの信用が失われることはもちろん、解雇・懲戒処分などの対象になる可能性が高いです。さらに、自分の能力に合わない高度な仕事を割り当てられるなどのミスマッチが起こるきっかけにもなります。

中退を隠して後からバレると、さまざまな問題が発生するため、中退した事実があるならば、履歴書へ誠実に記載することが大切です。

中退理由の書き方と例文

「中退したことはマイナスになる」そう思う方は多くいます。しかし、やむを得ない事情や前向きな理由などがあれば、中退は必ずしもマイナスになるとは限りません。隠したことがバレた際のデメリットを考えれば、中退した事実は書くべきです。そして、中退に至ったやむを得ない理由があればそれを正しく書き、できる限り中退がマイナスに働かないようにすることが大切です。ここでは、ケースごとの中退理由の書き方や例文を解説します。

やむを得ない事情による中退

「家庭の事情」「病気」「親の介護」などの理由で中退する方もいることでしょう。このような、本人に学ぶ意思はあるものの中退せざるを得なかった、やむを得ない理由が採用担当者に正しく伝われば、マイナスに働くことはありません。以下に履歴書の学歴欄に中退理由を書く際の例文を紹介しますので参考にしてください。

【家庭の事情】

学歴

20◯◯年

9月

◯◯大学◯◯学部◯◯学科 中途退学

(在学中に父が亡くなり、経済的に学業の継続が困難となったため)

 

【健康・病気】

学歴

20◯◯年

9月

◯◯大学◯◯学部◯◯学科 中途退学

(在学中に◯◯という病気に罹患し、その治療と療養のため)

 

【親の介護】

学歴

20◯◯年

9月

◯◯大学◯◯学部◯◯学科 中途退学

(在学中、交通事故によって親が要介護となったため)

 

上記の通り、やむを得ない事情を補足として書くとともに、現在の状況などを書くと採用担当者はプラスのイメージを持ってくれるかもしれません。たとえば、「親が要介護になったことをきっかけに介護の資格を取得するために勉強している」「病気のため退学したが現在は完治している」などです。現在プラスに向いているものがあれば、ぜひ記載しましょう。

前向きな理由での中退

中退する理由はさまざまです。中にはポジティブな理由で中退する人もいることでしょう。たとえば、将来の夢を実現するために大学を辞めて語学留学や海外の専門校に行くなど、勉学のために退学するケースもあります。また、やりたいことが見つかって、いち早くその経験を積むために退学して社会人になるといったケースもあり得ます。こうした前向きな理由であれば、中退した事実がマイナスに働くことは少なく、理由によってはプラスに働くことも多いです。以下でそれぞれの例文を紹介します。

【勉学のため】

学歴

20◯◯年

9月

◯◯大学◯◯学部◯◯学科 中途退学

(英語習得を目的に、アメリカへ語学留学をするため)

このケースでは、語学留学の成果も補足として入れておくとより高感度を高めやすいです。たとえば「◯年の留学後、上級ビジネス英語を習得」とすれば、努力を認められることでしょう。

【社会人として経験を積むため】

学歴

20◯◯年

9月

◯◯大学◯◯学部◯◯学科 中途退学

(パティシエの夢実現を目指し、◯◯ホテルに入社するため)

この例文では、中退の理由とともに実務経験についても言及しています。このケースであれば、応募企業がお菓子メーカーなど専門性のある人材を欲している場合は、好感触を得られる可能性が高いです。

中退理由がネガティブな場合

もちろん、中退理由がネガティブな理由の場合もあるでしょう。「出席日数が足りなかった」「暴力行為をしてしまった」などの場合は、その理由を素直に伝えるとマイナスイメージがついてしまう可能性が高いため、中退した事実だけを記載しましょう。理由を書く場合は「一身上の都合」とだけ書くのがベストです。

ですが、マイナスな中退理由であってもプラスに変換できそうであれば、理由を記載するのも悪くありません。たとえば、「深夜のアルバイトで起床できず、出席日数が足りなくなった」という場合、「将来的に接客の仕事に就きたいと思い、経験を積むために知り合いの店で働いていた」といえば、プラスになるかもしれません。応募企業の職種にあわせて、うまく変換できるのであれば面接にて口頭で説明してみましょう。

高校中退したものの高卒認定を得た場合

何らかの理由で高校を中退したものの、その後に高卒認定(大検)試験に合格するケースもあるでしょう。高卒認定に合格すれば、高卒程度の学力があると認められますし、採用担当者には努力したことが伝わるでしょう。

ただし、高卒認定試験は高校卒業とは異なります。一般的には高卒認定合格だけであれば、高等学校中途退学までを学歴に記載し、高卒認定試験は資格欄に書くことが多いです。しかし、さらに進学したのであれば最終学歴は大学や専門学校になります。以下に記入例を紹介しますので参考にしてください。

【高卒認定試験まで】

学歴

20◯◯年

9月

◯◯高等学校◯◯学科 中途退学

(一身上の都合により)

 

資格

20◯◯年

◯月

高等学校卒業程度認定試験 合格

 

【高卒認定試験合格後、大学入学・卒業】

学歴

20◯◯年

◯月

◯◯高等学校◯◯学科 中途退学

(一身上の都合により)

20◯◯年

◯月

高等学校卒業程度認定試験 合格

20◯◯年

◯月

◯◯大学〇〇学部◯◯学科 入学

20◯◯年

◯月

◯◯大学〇〇学部◯◯学科 卒業

 

【高卒認定試験合格後、大学入学・中退】

学歴

20◯◯年

◯月

◯◯高等学校◯◯学科 中途退学

(一身上の都合により)

20◯◯年

◯月

高等学校卒業程度認定試験 合格

20◯◯年

◯月

◯◯大学〇〇学部◯◯学科 入学

20◯◯年

◯月

◯◯大学〇〇学部◯◯学科 中途退学

(一身上の都合により)

面接時に中退理由を聞かれた場合の対策

中退した事実を履歴書に記載すると、それを見た採用担当者が面接時に理由を聞いてくることがあります。採用担当者は応募者の過去の背景とともに、その人となりを判断する目的で理由を聞いています。果たしてこの場合はどのように答えるのが正解なのでしょうか。以下で、中退理由を聞かれたときの対策を解説します。

長々と言い訳するようなことはしない

面接時に中退理由を聞かれた場合、長々と話すのはおすすめできません。マイナスイメージを払拭できるどころか、逆に言い訳のように聞こえてしまう可能性があるためです。採用担当者は履歴書の内容を見た上で、応募者の受けごたえの仕方や人となりなどを見ています。中退理由を回りくどく長々と話していると「何か隠したい事実があるのでは?」と勘ぐってしまうかもしれません。こうした疑念は、面接終了まで響いてしまうため、なるべく簡潔にわかりやすく答えるようにしましょう。

また、中退理由は聞かれやすい質問です。スムーズに受けごたえできるように、あらかじめ答えを用意しておくことをおすすめします。

誠実・簡潔・ポジティブに答える

面接で中退理由を聞かれたら、誠実かつ簡潔に、そしてポジティブな方向に変換して答えるようにしましょう。

採用担当者は中退した理由はもちろんですが、応募者がその後どのような行動をしたのか知りたがっています。嘘をついたりごまかしたりせず、誠実な受け答えができるか見ているため、誠実・簡潔・ポジティブな回答が大切です。

前述の通り、中退理由がやむを得ない事情であったり前向きな理由であったりすれば、問題なく回答できるでしょう。しかし、ネガティブな理由の場合はそのまま伝えるとよくありません。たとえば、「単位を落としてしまった」ことが中退理由だったとしても、その後に「一念発起して資格取得のために努力した」などポジティブな行動を伝えましょう。

中退理由の深堀りへの対策

中退理由を一度答えたものの、さらに深堀りしてくるケースもあります。このような場合は、嘘やごまかしはせずに誠実に答える姿勢を保ちましょう。

採用担当者が深堀りしてくるのは、回答が腑に落ちなかった場合もありますが、多くは「応募者の受け答え」「落ち着き具合」「誠実さ」を見ています。

中退理由は深堀りされることが少なくありませんので、受け答えに自信がなければあらかじめ想定質問に対する回答をいくつか用意しておきましょう。中退した後の行動、当時の自分の悪かったところの反省、中退経験が自分に何をもたらしたかなど、さまざまな角度で応えられるようにしておけば安心です。このようにあらかじめ準備しておけば、しどろもどろになることなく、落ち着いてスムーズに答えられることでしょう。

中退を履歴書に書くときのポイントと注意点

履歴書は公文書であり、中退した事実は隠すことなく必ず書かなければいけません。では、中退を履歴書に書く場合はどうすればよいのでしょうか。ここでは、中退の事実を履歴書に記載する際のポイントや注意点について解説します。

中退した年月日を正しく書く

履歴書には中退した年月日を間違わないように書きましょう。履歴書の学歴には、略称ではなく学校の正式名称を記載し、入学・卒業の年月も正しく書かなければいけません。これは、履歴書が公的文書であり、正確さが求められるためです。

もし、中退の年月を間違えて記載してしまうと、内定後にそれを指摘されることもあります。提出した退学証明書と年月が違うのはなぜか、偽るつもりだったのではないかなど、疑われることもあるため注意が必要です。

中退した年月を忘れてしまったりあやふやだったりする場合は、年号計算をしてみましょう。また学校に事情を説明して問い合わせれば、確実な年月を知ることができます。

和暦・西暦を統一して正式名称で書く

中退した年月を書く際には、和暦・西暦どちらであってもかまいません。ただし、履歴書全体で統一するルールに則ることを忘れないようにしましょう。たとえば、学歴欄で和暦を使っているならば、中退した年月も和暦にしてください。漢数字・算用数字もどちらかに統一して、採用担当者にわかりやすいように表記しましょう。

また、一般的には「中退」といいますが、これは口語表現です。正式には「中途退学」であり、履歴書にはこちらで記載するのが一般的です。「中退」でももちろん伝わりますが、「ビジネスマナーができていない」という印象を与える可能性が高いので避けましょう。


面接時の対策もしておく

中退を履歴書に記載するのと同時に、面接時の対策も必ずしておきましょう。

中退した事実を履歴書に書けば、ほとんどの場合に面接でその理由を聞かれます。場合によっては、かなり深堀りされることもあるでしょう。そのような場合に備えて、事前に想定される質問に対する回答を用意することがおすすめです。

前述の通り、中退理由を答える場合は誠実・簡潔・ポジティブに答えるのが基本です。中退が自分にどのような経験をもたらしたのか、中退後どのような行動を取ったのかなど、できる限りポジティブな回答を用意しておきましょう。

 

中退を履歴書に書くときのよくある質問

履歴書に中退やその理由を記載するのにともない、さまざまな疑問や不安を抱くこともあるでしょう。浪人や留年はどうする?退学は?隠してもいいのでは?など、中退を履歴書に書く際によくある質問・疑問にお答えします。

浪人や留年も履歴書に記載すべき?

浪人や留年したことについては、履歴書に記載する必要はありません。入学したタイミングと卒業したタイミングのズレにより、採用担当者が推測できるためです。

履歴書に中退の事実を記載せず、口頭でも説明しなければ、当然ながら採用担当者がその事実を知ることはありません。ただし、だからこそ記入せずに提出してしまうと、学歴詐称に当たる可能性があります。しかし、浪人や留年の場合は別です。たとえば、浪人中に通っていた予備校は正式な学歴としては扱われません。正しい入学年月と卒業年月が記載されていれば、留年した事実は採用担当者に間違いなく伝わるため、浪人や留年については記載しないのが一般的です。

ただし、家庭の都合・自身の病気などの理由があるならば、備考として補足してもかまいません。


退学も履歴書に記載する?中退との違いは?

退学も中退と同じように記載しなければいけません。記載しなければ、経歴詐称となって後々問題になる可能性があります。

前述の通り、中退は正式名称を「中途退学」といいます。つまり、退学には学校を辞めたという意味があるため、中退も退学も似たような意味合いと捉えられます。しかし、厳密には、中途退学とは自ら学校を辞めるという意味であり、退学とは何らかの問題があって学校側から辞めさせられたという意味があります。つまり、似ているようでも退学は能動的であり、退学は受動的であるというわけです。

いずれの場合であっても、履歴書に記載する場合は「中途退学」と書くのが一般的です。「中退」「退学」と書かないように注意しましょう。


中退を隠してもバレないのでは?

中退した事実を履歴書に記載せず、面接でも口にしないで隠してしまえば、確かにバレにくいかもしれません。企業側が事前調査したとしても、中退した事実を知るのは難しいためです。

近年、個人情報保護の観点から、正当な理由なく第三者が、学校側を通じて個人の情報を得ることはできないため、中退した事実を隠すことができるケースもあります。しかし、内定後に企業側から卒業証明書などの提出を求められることがあり、それがきっかけでバレることは少なくありません。

もし中退の事実を隠していたことがバレてしまえば、前述の通りさまざまなデメリットがあります。法的な罪に問われるなど、大きなダメージを受ける可能性があるため、中退した事実は履歴書に記載すべきです。


中退理由は隠さず正しく記載して面接の準備もしておきましょう

今回は、中退は履歴書にどう書くべきなのか、中退理由の書き方の解説や例文を紹介しました。履歴書は公的文書であり、中退した事実を書かないことは経歴詐称となってしまうため、隠すことなく中退した年月とともに正しく記載しましょう。

また、履歴書に記載下事項は面接で深堀りされることがあるため、スムーズに受け答えできるように、あらかじめ回答を用意しておきます。

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