人事は履歴書のどこを見る?人事目線で作成時の注意点を解説

履歴書は、応募先に自分をアピールする大切な書類です。学歴や職歴など基本的な情報と合わせ、志望動機や自己PRも選考を左右する項目のため、慎重な作成が求められます。しかし、履歴書の作成経験が少ない方は「どのように書けば人事担当者に評価してもらえるのだろう」と悩むことも多いでしょう。担当者が履歴書のどこを見るのか気になります。


本記事では、転職活動を控える方に向けて人事担当者が履歴書のどこに注目しているか、またどのようなポイントに注意して作成すべきかを解説します。履歴書作成のポイントをおさえて内定を勝ち取りましょう。


企業が書類選考を行う目的

企業が行う書類選考には、応募者を絞り込む目的があります。応募者が複数にわたる場合、採用選考を効率的にするために実施します。


人気企業や新規事業開始で多くの応募者がいると、数十人と面接するのは労力がかかります。そのため、書類で最低限の応募資格を満たしているかをチェックしているのです。書類選考で自社の希望に適した人材を数人ピックアップし、その後に面接を行います。



人事が履歴書で注目する4つのポイント

人事は、企業にとって「どんな強みを活かして業務に貢献してくれるか」を考えながら履歴書を見ています。これから紹介する人事が履歴書で注目するポイントを意識して、説得力のある内容のものを作成しましょう。

経験

企業や人事の方は、応募者の経験に注目します。特に、応募先と以前勤めていた会社が同業他社の場合は、「どれくらい経験があるか」が重視されるでしょう。「〇〇の業務に▲年間従事して責任者として働いていました」といった内容を記載し、即戦力として活躍できる旨をアピールしましょう。経験が浅いのであれば、モチベーションの高さや学ぶ意欲をアピールします。

スキル

経験とスキルは、似通ったもののように思えますが、スキルにはより具体的な自分の力を記載します。具体的な資格を持っているならば、履歴書の免許資格欄に記載し、自己PR欄でもアピールすると良いでしょう。


経験がどのような業務に何年間ついていたか、といった大まかなものを記載するのに対して、スキルにおいては「エンジニアとして3年間アプリの開発を行っていました。プログラミング言語は主にPythonを利用し、現場からクライアントワークまで一貫して対応を担いました。」と、より具体的に記載します。


仕事の成果

履歴書の自己PR欄では、これまでの仕事の成果を記載すると良いでしょう。仕事の成果は職務経歴書でも記載しますが、履歴書の自己PR欄で述べると、履歴書のみを確認した場合でも把握してもらえるため、選考で有利に働きます。


応募者が多数の求人では、職務経歴書まで目を通す前に履歴書で判断される可能性もあります。具体的な数値を記載できるのであれば、自己PR欄に必ず盛り込みましょう。


志望動機

志望動機は履歴書で最も重視したいポイントです。なぜその企業を選んだか、どのように貢献できるかを志望動機に盛り込みましょう。人事担当者は、履歴書の中でも志望動機や自己PRを特に注視しています。特に、同業他社が多い業界では、なぜこの会社を選んだかを明確にしなければ、志望動機に説得力を持たせられません。


なぜ、その企業を選んだかについては、業界研究と企業研究を行うことで明確な答えを見いだせます。業界全体の特徴を掴んだうえで、応募先企業のビジョンや理念、事業内容を確認し、応募先企業ならではの特徴を志望動機に盛り込みましょう。


志望動機には合わせて自分がどのようなスキルで応募先企業に貢献できるかも必ず記載します。志望動機は、文字数が多すぎると読んでもらえない可能性があるため結論から述べ、全体で300文字程度を目安に作成しましょう。

履歴書で面接官の心を掴むコツ

ここからは、履歴書で面接官の心を掴む4つのコツを紹介します。人事担当者や面接官は、多くの履歴書を確認していることから、履歴書に対する判断基準が高くなっています。そのなかで求められるのは、具体的な経験が記載されていたり一緒に働きたいと思える様子を含んでいたりする人材です。具体的なスキルや数値を記載し、面接官の目に留まる履歴書を完成させましょう。


経験を応募先に適したものにする

転職回数が複数ある場合は、経験が豊富で履歴書に記載する内容が多いこともあるでしょう。経験が豊富な方は、応募先に適した経験を記載すると好印象を持ってもらえます。例えば、事務職への応募であれば、コミュニケーション能力や営業の売上実績よりも、パソコンスキルや正確な業務遂行能力を求められる傾向があります。


「5年間の接客業を通じて高いコミュニケーション能力を培いました」といった内容よりも、「小売店舗で発注と売上管理を行っていたため、細かな数字を適切に扱うことが得意です」といった内容の方が、企業の求める人材像と親和性が高いでしょう。今回は、事務職において経験をアピールする際の、自己PR欄の記載方法を紹介します。


私は、これまで小売業で店舗の売上管理や受発注を担当していました。これらの業務は、ルーティンワークのため、毎日確実にこなす必要がありました。私は自身でマニュアルを作成し、ミスが起こらないよう業務に取り組んでいました。また受発注管理で金額や在庫数など数字を扱う機会が多かったことから、貴社の事務職においても確実に業務を遂行できると自負しております。


記載する文章は、ストーリー性を意識すると面接官が読みやすくなるでしょう。


スキルを具体的に明記する

スキルは、職務経歴書からは読み取れない強みを具体的に記載します。以下のように箇条書きで書くと相手方も見やすく、簡潔に伝えられます。

・論理的思考

立場や利害が異なる場面でも、事実や数字に基づいた説得力のある議論を展開するよう心がけています。


・英会話

TOEIC800点獲得。会議や電話において、ビジネス上の英語を用いたスムーズなコミュニケーションが可能です。


スキルには、具体的な数値を含めるとより説得力が高まります。


仕事の成果を数字で記載する

仕事の成果を数字で記載すると、企業は応募者がどのような業務に適しているかを判断しやすくなります。具体的な記載方法は下記の通りです。

1年間に新規顧客を30件獲得(営業職)

売上目標の150%を達成(企画・マーケティング職)

製造効率を120%向上(技術・開発職)


数値化できない成果であれば、具体的なエピソードを盛り込みましょう。例えば、苦手な業務を克服するためにどのような取り組みを行ったか、周りと比較して秀でている強みをどのように活かすかなどです。


志望動機は応募先にメリットがあるものを記載する

志望動機は、なぜその企業で働きたいかだけでなく、応募先にメリットがある内容を記載しましょう。志望動機が「貴社のビジョンに憧れて応募しました」と一方的なものでは、採用側のメリットが感じられません。


なぜ入社したいかとあわせて、自分を採用することで企業がどのようなメリットを享受できるかも記載しましょう。具体的な例文は下記の通りです。

私はこれまで接客業で学んだ顧客対応能力を活かし、貴社で営業として働きたいと考えています。私は接客業を行うなかで、常にお客様の気持ちや考えを最優先して行動してきました。


お客様が店舗で悩んでおられると分かったらすぐに声をかけ、適切な商品を提供したりアドバイスを行ったりしました。この経験は、貴社の営業においても活かせると考えています。営業においてはただ商品を売るのではなく、お客様の困りごとを確認したうえで、自社商品が適切であれば提案するといった流れで業務を遂行したいと考えています。


接客業で身に付けたスキルを活かし、顧客との信頼感を構築しながら売上獲得に貢献したいと考えています。


応募先企業に適したメリットは、企業の公式サイトやSNSから確認できます。また、採用情報においても「〇〇人を募集しています」といった文言がある場合は、そのフレーズと自分が持つ強みをリンクさせ、メリットを考えましょう。


外せない細かな3つの注意点


ここからは、履歴書全体において知っておきたい3つの注意点を紹介します。良い内容に仕上げていても、他のポイントでマイナスのイメージを持たれては、採用に不利に働きます。文章から写真まで、細部まで丁寧に作成しましょう。


文章の丁寧さ

履歴書において文章や文字の丁寧さは、重視したいポイントです。内容が良いものであっても、文字が汚く読みづらい文面であれば、読み飛ばされてしまう可能性もあります。


また、実績が豊富でも、文章の記載方法が適切でなければ何を伝えたいかが分からなくなってしまうでしょう。反対に文章のボリュームが少なくても、丁寧に書かれていれば印象に残る可能性があります。丁寧かつ見やすい文章を書くには、下記のポイントを重視しましょう。


・1文字ずつ丁寧に書く

・文章は結論ファーストで書く

・誰が読んでも分かりやすい文章か確認する


履歴書を書き上げた後は、友人や家族に一度確認してもらいましょう。自分以外の人が読むことで文章の違和感に気づいてもらえたり、より良い表現方法を提案してもらえたりします。


写真の明瞭さ

履歴書に貼り付ける写真は、明瞭なものを選びましょう。基本的に、写真館や証明写真機で撮影したものを使用します。また用意した写真を貼る際は、傾けずにまっすぐ貼ることが大切です。


撮影時の服装は、新卒中途採用問わずスーツを着用しましょう。勤務が私服の企業や面接で私服可能といわれている企業でも、履歴書の証明写真はスーツを着用するのが好ましいです。履歴書において証明写真は、自分の印象を唯一相手に伝えられる情報です。相手に不快感を与えない服装と髪型で写真撮影しましょう。


年齢や住所

履歴書の志望動機や自己PRに注力しすぎて基本情報をおろそかにすると、「社会人としてのルールがなっていないのでは」と懸念される可能性があります。年齢や住所をはじめとした基本情報は、丁寧かつ正確に記載しましょう。


採用担当者は年齢欄から、企業が求めている人材の年齢に合っているかをチェックする意図があります。また、住所欄から、自宅から会社までの通勤距離が適切かを確認しています。企業によっては、年齢や通勤距離を重視して採用する可能性もあるため正しい年歴を記載しましょう。また、住所は省略せずに番地やアパート名まで記載し、年齢は数えでなく実年齢で書くようにします。


次に、住所において注意したいのがふりがなです。住所が読みやすいからといって、ふりがなを振らずにいると「履歴書を作り込んでいない」と思われ、ネガティブな印象を与えます。履歴書の左側にある基本情報欄は、正確に記載しましょう。

履歴書は細部まで丁寧に記載しよう

履歴書はなかなか作成する機会が少ないため、基本ルールや選考で有利になる記載方法が分からず悩みます。しかし、履歴書全体において相手が見やすく理解しやすい書き方や文章の内容を意識すると、まとまりがあって説得力のある書類に仕上がります。


履歴書は、企業と初めて接点を持つ重要な書類です。自分の強みを的確にアピールし、内定獲得を目指しましょう。


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