転職活動では履歴書はもちろんのこと、職務経歴書が必要になる場合がほとんどです。本記事では、転職活動の経験が少ない方に向けて、履歴書と職務経歴書の違いを紹介するとともに、職務経歴書の書き方と例文も併せて紹介します。採用担当者に興味を持ってもらえる職務経歴書を作成できるようポイントを押さえておきましょう。
職務経歴書とは、自分がこれまでどのような会社で働いてきたか、どのような業務に携わっていたかを詳しく記入した書類です。
就職活動においては、面接時に履歴書とあわせて提出するケースが一般的になります。アルバイトの面接ではあまり必要とされませんので、正社員として転職活動する際に、初めて準備するという方も多いでしょう。
職務経歴書を作成するために自分のキャリアを振り返ることは、これまでの経歴だけでなく、自分の強みや長所、スキルなどに気づくきっかけにもなります。
これまで働いた会社の名前を漠然と振り返るだけではなく、志望動機や自己PRにつなげられる職務経験はないか意識をしてみましょう。
履歴書とは、氏名や住所・電話番号、学歴など、自分の基本情報を記入した書類です。基本的なプロフィールだけでなく、取得資格や志望動機、自己PRなども履歴書に記入します。
職務経歴書は、所属した企業での具体的な取り組みを記入する書類になります。履歴書にも職歴を記入する欄が設けられていますが、一般的に職務経歴を記入するスペースは少なく、自身のスキルや経歴を満足に伝えきることは難しいです。職務経歴書はそんな履歴書では伝えきれない経歴を伝える書類になります。
企業の採用担当者は、履歴書で大まかな経歴を把握して、職務経歴書ではより具体的な情報を入手しているというイメージを持ちましょう。
職務経歴書と一口にいっても、形式には主に3つのタイプがあります。こちらでは、以下3つのタイプと特徴について紹介します。
・編年体式
・逆編年体式
・キャリア式
履歴書を適切に書けるよう、まずはタイプの違いを理解しましょう。それぞれの特徴から自分が書きやすい職務経歴書かどうかを考えてみてください。
編年体式の職務経歴書は、時系列に沿って古い方から順番に、企業名や部署、業務内容などを記入します。編年体式は、職務経歴書の中でも一般的なタイプであることから、初めて転職活動をする人や、社会人経験が浅い人におすすめです。業務内容や実績を順番通りに記入していくため、自分の成長過程を伝えやすいのもポイントです。また、履歴書の内容と照らしあわせやすいこともメリットといえます。
逆編年体式の職務経歴書は、現在から過去にさかのぼって職歴を記入します。編年体式ではアピールしたい部分が最後になってしまう特徴がある一方、逆編年体式は最初に直近の情報を伝えられます。直近の経歴をアピールしたい人は逆編年体式がおすすめです。
なお、逆編年体式を使用する場合は直近の情報では具体的な数値や経験を重点的に記入し、古い経歴は業務内容や概要にとどめ、メリハリをもたせると直近の情報が伝わりやすいでしょう。
キャリア式の職務経歴書は、時系列順ではなく職務内容や分野ごとに経歴を記入します。自らが関わったプロジェクトや実績をもとにして分野ごとにまとめ、応募した企業にアピールしたい職歴から優先して並べていきましょう。キャリア式は、自らの実績を強調しやすい形式ですが、経歴が時系列順になっていないため、やや見づらい場合があります。
職務経歴書は市販されているものを購入して手書きでも作成できますが、近年は、インターネット上で多くのフォーマットやテンプレートが提供されています。上述のとおり職務経歴書の形式は主に3種類あり、それぞれ無料でフォーマットのダウンロードが可能です。Word形式やExcel形式をダウンロードし、パソコンで作成すれば、メールでデータを送付したり、印刷して郵送したりなど柔軟に対応可能です。
職務経歴書に記入する基本的な項目は、以下のとおりです。
・経歴の要約
これまでの社会人経験をまとめる項目です。応募企業が求める人材像にあわせて、職務経験をアピールしましょう。
・職務経歴
職務経歴には、勤務先の企業名や業務内容、実績などを記入します。それぞれ具体的にどのような業務を担当したかを明確に記入したうえで、具体的な数値をもとにした実績を記入すると、説得力が増して適切な評価を得ることができます。
・経験やスキル
応募企業の業務にマッチしたスキルや経験を優先して記入しましょう。経験やスキルは、箇条書きで問題ありません。
・資格や免許
免許や資格は、必ず正式名称で記入します。免許や資格がない場合でも、「特になし」などと記入することで、記入漏れではないとわかるようにします。
・自己PR文
自己PR文は、職務経歴書の中でも重要な項目です。自分の強みをアピールするとともに、応募企業に入社した際にどのような貢献ができるかを記入します。採用担当者に興味を持ってもらうためにも、企業にマッチした自己PR文の作成が必要です。
こちらでは、職務経歴書作成時のポイントを4つ紹介します。ポイントを押さえて、数ある職務経歴書の中から、採用担当者の印象に残る書類を作成しましょう。
職務経歴書を作成する際は、初めに作成する目的を理解する必要があります。職務経歴書は「企業に自分の経歴を伝え、どのように業務内で役立つか」を伝えるためのものです。自分の一方的な考え方を記入するのではなく、企業側が求めているものが何かを把握したうえで記入する必要があります。自己PRという意識よりも「このようなスキルを持っていることから貴社に貢献できます」という気持ちで作成すると、企業側の印象に残りやすい文章になるでしょう。
複数の企業に応募する際、同じ経歴であっても応募する業界や業種ごとに少しずつ変化をつけたいものです。同業他社に転職する場合は、似通った内容でも問題ありませんが、未経験の分野に応募する場合は、その業界に合わせた内容に変更します。
なお、未経験職種への転職の場合は、専門的なスキルを持っていないことから職歴の中からどの仕事でも共通して使えるスキルをアピールすることが大切です。たとえば、業務の効率化や顧客対応の改善などは、どの業界にも共通して必要なスキルといえるでしょう。
職務経歴書は、履歴書よりも内容を詳細に記入します。履歴書は、基本的な情報を伝えるものであるため、箇条書きで簡単に記入するスペースしかありません。一方、職務経歴書は、履歴書の内容を踏まえて、より具体的に実績を伝えることができます。採用担当者が理解しやすいよう、具体的な数値や役割、成果を記入しましょう。
職務経歴書に記入する内容は、面接で質問されるものを想定して作成しましょう。箇条書きでも問題ない基本的な情報以外の項目は、面接でも話せるよう具体的な内容を記入しておきたいところです。職務経歴書の中で面接官から質問がありそうな部分は、事前に回答を考えておくと、面接で聞かれた時に慌てず対応できます。
こちらでは、職務経歴書を提出する際のルールを紹介します。どんなに職務経歴書の内容を充実させて採用担当者にアピールできるものに仕上げたとしても、第一印象が悪ければ、マイナスからのスタートになってしまいます。面接前にネガティブな印象を与えないように、提出パターンごとのルールをチェックしましょう。
職務経歴書や履歴書を郵送する場合は、送付状を添えましょう。送付状には、日付や宛先、自分の氏名や住所などの情報を記入します。送付状に記入する文章の例は、以下のとおりです。
拝啓 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、このたび〇〇の紹介により、貴社の〇〇職に応募させて頂きたく、応募書類を送付させていただきました。
私は、これまで〇年間人事部において〇〇として〇〇業務を担当し、その中で〇〇を身につけてまいりました。
これまでに培った経験と能力を活かして、貴社の事業に貢献したいと考えております。
同封いたしました履歴書および職務経歴書をご高覧いただき、ぜひ面接の機会を頂けますようお願い申し上げます。 敬具
なお、郵送の場合は、封筒の左下に「応募書類在中」と赤字で記入しましょう。
職務経歴書を面接時に持参する場合は、クリアファイルを活用しましょう。職務経歴書が折れたり濡れたりした状態で提出するのはマナー違反となりますので、必ずクリアファイルに書類を入れてから封筒に入れましょう。なお、持ち運びの際に使用する封筒は白色のA4サイズが好ましいです。手渡しの場合でも、封筒の裏面に氏名と住所、表面には赤字で応募書類在中と記入します。
採用面接がオンラインで行われる場合は、事前に職務経歴書をメールで送付するのが一般的です。メールで職務経歴書を送付する場合は、件名と本文がポイントです。要件は「履歴書の送付」「選考書類の送付」などと簡潔に記入します。添付ファイルはさまざまなデバイスで開きやすいPDF形式がおすすめです。
本文には、応募先の企業名と担当者の部署名・氏名がわかれば一緒に記入しましょう。本文の例文は、以下のとおりです。
ホームページから〇〇職に応募させていただきました、〇〇と申します。
メールにて履歴書と職務経歴書を送付させていただきますので、ご査収いただきますようお願い申し上げます。
お忙しいところ恐れ入りますが、ご確認ご検討いただき、一度面接の機会をいただけますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
メールでは、件名の内容がわかりにくいと、採用担当者が見逃してしまう可能性があります。件名から職務経歴書であることを明確にし、採用担当者に気づいてもらえるような工夫をしましょう。
こちらでは、職務経歴書の記入方法を紹介します。今回は下記4つの職種について実際に活用できる例文を紹介します。
・営業職
・技術職
・事務職
・販売職
職務経歴書の記入方法にお悩みの方はぜひ参考にしてください。
法人向け営業の職務経歴書であれば、実績に裏打ちされた提案型営業をどのように工夫して行ってきたかをアピールできると良いでしょう。企画提案力や課題解決力などは数値では表しにくいスキルですが、数値として具体的に記入できない能力をどのように職務経歴書内でアピールできるかがポイントです。
例文として営業職の自己PR文を紹介します。
営業職において、クライアントとの信頼関係を円滑に構築するための重要な要素は、「訪問」と「レスポンス」です。この点を常に意識して行動に移すことで、クライアントからの高い信頼を得られると自負しています。
さらに、単なる御用聞きにならずに、クライアントのニーズを正確に把握することで、積極的に提案を行う営業を心がけてきました。これらの取り組みは、メンバーとしてだけでなく、マネジメントの立場でも実践し、高い実績を残しました。
技術職の転職では、これまでの経験やスキルが問われます。自分が持ち合わせているスキルや経験を理解してもらうために、情報を整理して相手が見やすい並びを心がけて記入しましょう。
例文として技術職の自己PR文を紹介します。
私はこれまで、JavaやPHPを中心としたWebアプリケーションの開発に携わってきました。また、StrutsやSpringなどのフレームワークを使用した開発経験もあり、Javaに関する深い知識を持っています。
常に最新の技術動向にアンテナを張り、Rubyを含む新しい技術にも興味を持ち、日々エンジニアとしてのスキル向上に努めています。
一般事務では、書類作成やデータ入力などの事務作業全般を行うため、基本的なPCスキルや知識をアピールできると良いでしょう。
例文として事務職の自己PR文を紹介します。
経理・営業部門での事務処理経験を通じて、業務について深く思慮し行動に移す大切さを学びました。特に、営業アシスタント業務では、電話対応を通じて顧客と直接接点を持つことから、言葉遣いやマナーはもちろんのこと、相手の要求を素早く理解して迅速に対応することが求められました。
また、営業担当者が働きやすい環境を作るために、積極的に挨拶などの声がけをしたり、不在時の進捗をこまめに報告したりするなど、細部に気を配り信頼関係を構築する努力をしてきました。
販売職は、業務経験や個人の仕事のスタイルをわかりやすくするために、取扱商品や店舗の売上実績だけでなく、「店舗レイアウトの工夫で売上前年比◯%達成」といった個人的に工夫して取り組んだ内容も記入しましょう。
例文として販売職の自己PR文を紹介します。
私は全国展開の店舗で店長を務め、顧客ニーズに合わせた独自の商品構成作りや店舗レイアウトの刷新などに取り組みました。店長として一つの店舗の経営を任されることで、接客から販売促進、店員の採用からマネジメントまで、店舗運営全般に携わることができました。
営業職の実務経験はありませんが、商品知識の研修を実施したり、複数メーカーの商材を仕入れる取り組みを始めたり、取引先との交渉にも積極的に取り組んでまいりました。
以上のことから、数値目標達成への意欲と行動力、周囲を巻き込み推進する力、そして必要な知識やスキルを習得するための向上心を持ち合わせていると自負しております。
本記事では、職務経歴書のフォーマットや履歴書との違いなどを紹介しました。今回紹介した例文やポイントをもとに、採用担当者から好印象を持ってもらえるような職務経歴書を作成しましょう。
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